『金持ち父さん貧乏父さん』で繰り返し強調されていた部分を前回の記事でまとめました。
ものすごく簡単に書くと、「お金を生む資産」を貯めて、資産から得た収入で日々の暮らしのお金を払えるようになりましょう、というものです。
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『金持ち父さん』では「資産を作れ」以外にも会社員に響く自己啓発的な文もありますが、本文自体は物語のように進んでいくため、エッセンスを拾い上げるのに少し時間がかかってしまいます。
何回も読むと、同じことを繰り返していることにも気付くでしょう。
なので今回の記事では『金持ち父さん』で書かれている教訓をコンパクトにまとめ、「金持ち父さんの思想」的な部分に焦点を当てて紹介していきます。
- 恐怖と欲望に支配される人生
- ファイナンシャル・インテリジェンスとは
- 感情に反応するのではなく、自分のために使う
- 自分の心に正直になるべきだ
- お金の知識を身に付けよう
- 資産とは何か
- 学ぶために働く
- 会社で優秀な人が豊かであるとは限らない
恐怖と欲望に支配される人生
朝起きて、仕事に行き、毎月の請求書を支払う日々の繰り返しに生きている人は、恐怖と欲望という2つの感情に走らされ続けている。
恐怖と欲望に支配された人は、たとえお金を多くもらえるようになっても支出が増えるだけで生活パターンは変わらない。
恐怖と欲望によって鞭で叩かれた馬のようにずっと走らされる人生。
これこそが、「ラットレース」である。
ファイナンシャル・インテリジェンスとは
ラットレースから抜け出すためにはファイナンシャル・インテリジェンスを身に付けなければならない。
重要なのは以下の4つの知識だ。
- 会計力
- 投資力
- 市場の理解力
- 法律力
「会計力」で数字を読む能力を身に付ける。
会計力によって、ビジネスの強みと弱みを見極めることができる。
「投資力」はお金を作る能力である。
投資力によって、戦略と方式を決めることができる。
「市場の理解力」は市場を見極める能力である。
いま投資するのが適切かどうかを判断できる。
「法律力」があれば、税の優遇措置や保護といったことに関する知識を得ることができる。
特に有利な税金対策などを駆使することによって、金持ちへの道は急速に開けてくる。
資産を持っている人はできるだけ早く、会社を作ることによって与えられる利益と保護についてくわしく調べてみることをおすすめする。
感情に反応するのではなく、自分のために使う
多くの人は、自分の本当の気持ちを見つめず、お金がなくなったらどうしようと心配ばかりしている。
その恐怖に真正面から立ち向かおうとせず、考えもせず反応している。
恐怖という感情に反応して、何も考えずに働いているだけなのである。
感情に反応してしまう人は、いくらかお金を手に入れたら今度は喜びと欲望、欲張りの感情に流されてしまう。
感情をなくすことはできない。
感情に対してただ反応する人間になってはいけない。
感情を観察して、考える人間にならなければならない。
たいていの人は、自分の行動や思考を支配しているのが感情だということに気づいていない。
恐怖と欲望を大きくするのは無知だ。
人間が自分を知るために情報や知識を求めなくなると、すぐに無知がしのび寄ってくる。
お金がないことに対する恐怖とお金に対する無知に振り回されてばかりの人は、「何も考えずにただ働く」という道を選ぶ。
「他に道はないだろうか?」と考える暇さえない。
彼らの考えを支配しているのは頭じゃなくて感情だ。
仕事は長期的な問題に対する短期的なな解決法にすぎない。
目の前にぶら下がっている問題に振り回されることなく、恐怖に振り回されず、頭で考えて行動を選択しなければならない。
自分の心に正直になるべきだ
ガッツのない人間は人生につつかれるたびに何の抵抗もなく降参してしまう。
まともなことだけをやり、決して起こることのない人生の一大イベントのために一生エネルギーを蓄え続け、退屈しきった老人になって死ぬ。
本当は勝ちたかったのに、負けるのが怖くて勝利の感激を味わおうとしなかった。
自分がそうしなかったことを自分自身は知っている。
自分だけが、心の奥底でそのことを知っている。
自分は安全なこと以外はしない道を選んだのだと。
私たちは誰もが大きな可能性をもっていて、たくさんの才能を内に秘めている。
才能を充分に発揮できない理由の一つは、自分に対する疑いの気持ちだ。
専門的な知識の不足は障害にはならない。
個人の才能の開花を邪魔する最大の要因が、過度の「恐怖心」と「自信のなさ」にある。
リスクを負うこと、大胆になること、恐怖を力と知恵に変えることが大事だ。
お金の知識を身に付けよう
ファイナンシャル・リテラシーがあれば、人生の選択肢が増える。
金持ちになりたければ、お金について勉強しなければならない。
人生で大事なのはどれだけのお金を稼げるかではなく、どれだけのお金を持ち続けることができるかだ。
ファイナンシャル・リテラシーがない人は資産だと思って負債を買う。
住宅ローンを組んで自分たちが住む家を買う人々のように。
お金が多く手に入ったからといって、お金に関する問題が解決することはほとんどない。
宝くじに当たった人はその後、たいていの場合は貧乏暮らしに戻ってしまう。
問題を解決するのは知性だ。
お金に関する知識こそが、その人の人生を救う。
多くの人は自分のうちに潜む知恵、才能を信じることなく、「みんながやっているから」と他の人と同じ方法を選ぶ。
何も考えずに、自分がこれまで言われてきた通りのことをやり続ける。
お金に関する問題の多くは、ほかの人と同じことをしよう、隣のうちに負けないようにしようとするところから生じる。
私たちは恐怖ではなく自分の心の声に耳を傾ける必要がある。
資産とは何か
金持ちは資産を買う。
貧乏人は家計は支出ばかり。
中流の人間は資産と思って負債を買う。
金持ちと中流以下の人間の大きな違いは、中流以下の人間がお金を手にするとまずぜいたく品を買おうとするのに対して、金持ちはぜいたく品を最後に回すことだ。
金持ちはまず最初に資産を築く。
そのあとで、資産から生み出された収入でぜいたく品を買う。
本当の資産とは以下のようなものである。
- 自分がその場にいなくても収入を生み出すビジネス
- 株
- 債券
- 収入を生む不動産
- 手形、借用証書
- 音楽、書籍などの著作権、特許権
- その他、価値のあるもの、収入を生み出すもの、市場価値のある物品など
私たちは誰もが「頭脳」という強力な資産の生産設備を持っている。
頭をうまく鍛えれば、あっという間に富を作り出すことも可能だ。
学ぶために働く
若者にアドバイスするとき、「いくら稼げるかではなく、何を学べるかで仕事を探しなさい」という。
特定の専門を選ぶ前に、ラットレースにはまる前に、将来を見渡しながら、自分はどんな技術を習得したいと思っているかをじっくり考えることが大事だ。
「給料をもらって支払いをする」という、一生続くパターンに一度はまってしまうと、人間は小さな輪の中で走るハムスターと同じになってしまう。
常に「いま毎日やっていることの行き着く先はどこか」を意識して、長い目で見て学び続ける必要がある。
専門知識は両刃の剣だ。
専門性を高めれば高めるほど身動きがとれなくなり、その専門的技能に頼りきりになってしまう。
すべてがどんどん変わっていく現代においては、あなたが何を知っているかはもうあまり意味をもたなくなっている。
問題なのはいかに早く学ぶことができるかだ。
専門を極めるよりは、広く浅く学び、自分より頭のいい人間と仕事をして、そういう人間を集めて一つのチームを作るといい。
様々な専門技術の中でも、「セールス」と「マーケティング」の技能は非常に大事である。
「物を売る能力」にはかぎりない価値がある。
以上が『金持ち父さん』の簡単な要約となります。
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- 作者: ロバートキヨサキ,白根美保子
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会社で優秀な人が豊かであるとは限らない
大学の先輩で、30歳くらいで1000万円分の貯金を貯めた方がいました。
仕事もできて、真面目で、誠実で、とても頭の良い人です。
夜遊びばかりして毎月生きるか死ぬかの生活を続けてきた僕とは大違いです。
そんな先輩も結婚して、高い家を買い、専業となった奥さんを養ってからはちょっと資金繰りが苦しそうです。
僕よりずっと多くの年収を稼いでいるはずの年配の方でも、東京で家を買い、奥さんを養い、子供を育てている人は皆、例外なくカツカツの生活をしています。
奥様に財布を握られ、400円の弁当でお昼を済ませ、夜はコンビニ飯を食べながら遅くまで残業しても、若手に酒を奢ることもできないくらい支出を制限されていました。
そんな姿を見て、当時は「自分の未来の姿はこんな風になってしまうのか...」と働くことに絶望を覚えていましたが、その一方で、全然仕事もできないのにいつも優雅な生活をしているおっさんもいました。
その人は「お金を生み出す不動産」を持っていたのです。
給料が多く、会社で評価されている優秀な人がカツカツの生活を強いられ、たいした仕事もしない人でも資産があれば、豊かで余裕のある生活を送っているのが現実です。
会社で評価されて、多少給料が上がったとしても、豊かになるのは難しい。
お金をどう使っていくかによって、40歳、50歳の生活がまるで変わってくるのです。
ラットレースを抜け出した仕事のできないおじさんは、いつも余裕がありました。
いつもひょうひょうとして、いつ会社をクビになってもいいものだから、会社の福利厚生や休暇制度を最大限活用し、サボりにサボりまくっていました。
いま社会人になって、改めて『金持ち父さん』を読んで気付いたのは、豊かさの差を生むのは真面目さや優秀さ、会社での評価ではなく、ファイナンシャル・リテラシーだということです。
以前の僕は、会社で評価されずにサボっているおっさんをどこか蔑んだ目で見ていましたが、実は彼らこそがお金の面では勝者だったのでした。
会社をサボるのが正義だ!と声高に叫ぶつもりはありませんが、お金の使い方を学ばなければ、どんなに優秀な人でもお金に追われて日々を過ごすことになります。
自分の資産を築いて、資産からお金を生み出すこと。
それをしなければ、いつまで経っても、どんなに会社で評価されても、ラットレースを全力で走り続けることになってしまうのです。