Official髭男dism「Pretender」歌詞の意味をクズ男が徹底的に考察する



Official髭男dismの『Pretender』の歌詞が怪しいと評判である。

噂によると、クズ男が浮気相手との恋を曲にしたものらしい。

餅は餅屋。クズの心理はクズ男に聴けという。

そう私こそは、人類史上最大の産業廃棄物と言われた知る人ぞ知るクズ男。

泣かした女は数知れず、逆に恋して泣いたこともある。

浮気のデパート、疑惑の総合商社。

これまで彼女かけられた「疑惑」

見つかった「髪の毛」

誰かと間違えた「歯ブラシ」


犯した罪はキリがない。

そんな私が、同じクズの臭いがする「Official髭男dism」を徹底的に解剖する。

ラブストーリーは一人芝居だ

君とのラブストーリー?
全部演技っしょ。ハハハ





君とのラブストーリー それは予想通り
いざ始まれば ひとり芝居だ
ずっとそばにいたって 結局ただの観客だ

曲の始まりの

「ラブストーリーは始まってしまえばひとり芝居だ」

の部分。

この「一人芝居」にクズ男こと私はピンときた。

芝居をしているのは、我々クズである。

私たちは嘘ばかりついて、いつも芝居をしている。


「好きだよ」

「また会いたいね」

「本当に可愛いと思う。今まで会ったことないくらいに」


マッチングアプリで出会い、ラブストーリーが始まったかと思えば一人で芝居しているみたいだ。

感情を演出しても、本気ではない。

ただのひとり芝居だ。


「付き合おうか」

と、とりあえず交際を始めた女の子。

いつも横にいて、時には身体を交わらせ、ずっとそばにいるけれど、「恋人の演技」をしている自分にとっては「ただの観客」でしかない。

愛してるのは私だけのひとり芝居なの?

こんなに愛しているのになんで振り向いてくれないの?




この歌詞を「ダメ男に振り回されて振り向いてもらえない女性」の目線で見てみよう。

あなたとのラブストーリーが始まった。

毎朝幸せで、LINEが来ただけで気持ちが弾む。

カッコよくて大好きな彼と一緒にいられる幸せ。


でも彼の気持ちが入っていないように感じるのはなぜ?

私が一人で空回りしてるだけ?

このラブストーリーって、私のひとり芝居なの?

金を貢ぎ続けても報われない非モテの悲哀

こんなに貢いでるのになんで俺じゃダメなんだ!!





『Pretender』の歌詞は、「キャバクラに通い詰め、必死に尽くしても全く報われない男」にも当てはまる。

キャバ嬢の営業LINEに胸を弾ませ、給料が入るたびにお店に通い続けた男。

「これ欲しいな」

「いいよ、買ってあげる。ボクたちは恋人同士だからね」

でもお店の外では会ってくれない。

恋人同士なのに、どうして?

結局ボクのひとり芝居なの?

どうして一緒に恋の舞台に上がってくれないの?

どうして観客みたいな顔でボクを見るの?

どうしてどうしてどうして...

恋人だと思っていたのはボクだけなの?

ひとり芝居みたいだ。


感情のないアイムソーリー、口だけの男

ごめんごめん!
次はちゃんとするから!




「ごめんって」

「次からちゃんとするから」

浮気がバレたとき、我々クズ男は気持ちの入らない謝罪をして、反省したフリをする。


「今日は忙しいから会えない」

「明日はちょっと都合悪いかな」

と予定を断るとき、我々クズ男は感情のないアイムソーリーを伝え、別の遊び場に繰り出す。


最初は罪悪感があったはずなのに、慣れてしまえば気にも留めない。

「今日はごめん」
「申し訳ない」
「また今度ね」

本気ではないアイムソーリーを繰り返し、男は成長しない。

そんな「ごめんね」を伝えながら、男は考える。


「そろそろこの子との関係も終わりかな」


君とのロマンスはもう続かないと予感しているのだ。

なんて自分勝手なクズ男!

女の子に愛されても、愛を求められても、どこまでも自己中心的で相手の気持ちなど考えない!

さ、サイコパス...?

でも恋愛ってそういうものなんだ。

恋なんていわばエゴとエゴのシーソーゲーム。

所詮この世は弱肉強食。
強ければ生き、弱ければ死ぬ。


恋愛も同じだ。

魅力があれば愛され、なければ捨てられる。
見る目がなければ遊ばれ、なければ騙される。

「ごめんね」には慣れたよ

私は許すよ。もう慣れてるから




昨日送ったLINE、今日の夜まで返ってこなくて。

いつも待ってるあなたの連絡。

突然鳴ったLINEの音。

見たらそこには「ごめんね」の一言。

いつも通りのアイムソーリー。

慣れてしまえば悪くはないけど。

この恋もそろそろ終わりかなって思い始めた。

どうして会えないんだ?

「ごめん」じゃねぇだろ!ボクの気持ちはどうなる!?




「お店忙しくて返信できなかったの。ごめんね」

といつものように夜中に連絡がきた。

ボクは昨日30万円のバッグをプレゼントしたばかりだぞ?

どうしてちょっとLINEを返信するくらいができないんだ?

ああ、腹が立つ腹が立つ!
こんなに尽くしたボクをないがしろにしたあの女が許せない!

でも...でも...嫌いになれないんだ...

好きなんだよう...

この「ごめんね」も慣れてしまえば悪くはないけど、本当はわかってるんだ。

君とのロマンスは続きはしないって。

ボクのお金がなくなったら終わりだって。



あーあの女ね、呼んだら飛んでくるわ。




なんか客に30万のバッグを買わせたって言ってたけど




そのバッグ、メルカリで売って、俺に財布買ってくれたよ





もっと違う設定で出会えたらよかった

もっと違う設定で もっと違う関係で
出会える世界線 選べたらよかった
もっと違う性格で もっと違う価値観で
愛を伝えられたらいいな そう願っても無駄だから

この辺から『Pretender』の不倫感は加速してくる。

次はチャラ男ではなく、イケメンサラリーマン(総合商社勤務)の不倫男に登場してもらおう。


もっと早く君に出会えたらよかった





部下とホテルで密会中に、彼は言う。


「人目を忍ばず、君と思いっきり恋愛したかったのに」

「出会ったのが遅すぎた」


「出会える世界線を選べたら...僕たちを縛るものなんてなかったのに」


でも僕には妻がいて、子供もいる。

君を愛しているけど、簡単に離婚なんてできない。


もっと思いっきり愛を伝えられたらいいな。

そう願っても「妻子持ち」という現実の前には無意味だから。


不倫して浸ってんじゃねぇよ!ボクはもっとイケメンで生まれたかった!




お店なんかじゃなく、学校であの子と出会いたかった...愛を伝えたかった...





私たち、別の形で出会ってたら、もっとうまくいってたのかな?





クズ男のわかりやすい特徴は、自分の環境にロマンチシズムを感じ、陶酔することである。

「もっと違う設定で、もっと違う環境で出会えたらよかったのに」

と仮定法過去系で物事を捉える。

そして、「もっと別の世界だったら二人っきりで幸せになれたのにね」みたいな「ロミオ&ジュリエット戦法」で相手の女の子の気持ちを燃え上がらせようとするのだ。

クズ男が陶酔に浸って何かを言っても真に受けてはいけない。

人間の本質は行動に宿る。

人間は「何を言ったか」ではなく、「何をしたか」で判断するべきだ。


君は運命の人じゃない、でも離れ難いのさ

グッバイ 君の運命のヒトは僕じゃない
辛いけど否めない でも離れ難いのさ
その髪に触れただけで痛いや いやでも甘いな いやいや

この辺はクズの総集編の様相を呈している。

君が運命の人ではないとわかっているのに離れられないという。

なぜか?

体の相性がいいからだ。

結婚はできない。

付き合うこともできない。

でもその関係は捨てられない。

いわゆる「お体の関係」だけはずっと続けたいということだ。

グッバイ それじゃ僕にとって君は何?
答えは分からない 分かりたくもないのさ
たったひとつ確かなことがあるとするのならば
「君は綺麗だ」


君は綺麗だ




お前はかわいいよ




クズ男が総出で言ってきました


「君は綺麗だ」


そうです。そうなんです。

彼女にできない、結婚できない、それでも君と一緒にいたいのは、君が綺麗だから。

君を抱きたいから。


「僕にとって君は何?」と自分で答えはわかっているのに、

「わかりたくない」

とほざいて現実から目をそらそうとする。


クズの得意技は、徹底した責任回避だからだ。


相手の愛情に責任は持たない。

自分の欲求に忠実に、相手をコントロールしようとする。

だから綺麗な言葉だけを伝え、「僕と君の関係」の答えは「わからない」とはぐらかす。

たった一つ、確かなことがあるとするのならば、

たった一つ、真実を伝えるとするのならば、

「君は綺麗だ」

他人の恋愛に口を出しても意味がない

誰かが偉そうに 語る恋愛の論理
何ひとつとしてピンとこなくて
飛行機の窓から見下ろした 知らない街の夜景みたいだ

世の中では凄まじいまでの不倫バッシングが行われている。

他人の情事に口を出しても何の意味もないのに、連日連夜芸能人の不倫を叩き、ツイッターでは偉そうな恋愛評論家が他人の恋愛を語っている。

そんな風潮を見て不倫男はこう考える。


何ひとつピンとこない





当たり前だ。

世の中の評論家が偉そうに恋愛を語っても、どんなに不倫がバッシングされても、当事者たちにとっては関係ないのだ。

まさに「何ひとつとしてピンとこなくて」である。


評論家は綺麗な世界の一途な恋愛を語る。


今日より良い時も悪い時も、

富める時も貧しい時も、

病める時も健やかなる時も、

愛し慈しみ、そして死が二人を分かつまで貞操を守ることを誓っている...


ような、恋愛小説みたいな綺麗な恋愛を理想とし、「そうあるべきだ」と世間に押し付ける。

しかし不貞を働く男女からするとそんな綺麗事は他人事だ。

「知らない街の夜景みたいだ」

とホテルで笑う。


『Pretender』は自分の感情に正直なダメ男の、魂の嘆きのようにも見えてくる。

「もしも自由に恋愛ができたなら」

「もしも結婚していなかったなら」

「もしも一夫多妻が許されていたら」

などと、得意の仮定法過去で物事を捉え、最終的に

「そう願っても虚しいのさ」

と悟り、「グッバイ」と別れを告げる。


『Pretender』はダメ男が理想通りにいかない現実を嘆き、諦め、受け入れたときの心境を歌った曲なのである。

「好きだ」と無責任に言えない現実を悟り、別れを決意したダメ男のポエムなのだ。