週刊少年ジャンプ25号の表紙に驚いた。
この素晴らしい画力はデスノート時代の小畑健を彷彿とさせる。
作者の名は福田健太郎。
過去作品には『シニギワ』『デビリーマン』があるようだが、ヒットした記憶はない。
今回の『ふたりの太星』が勝負作であるように思える。
ここ数年、少年ジャンプの将棋マンガは惨憺たるものであった。
2016年の『ものの歩』、2018年の『紅葉の棋節』と短命作品が続き、「ジャンプで将棋マンガは鬼門」とまで言われた。
そんな中、また将棋で勝負をかける『ふたりの太星』を第一話目から
「ヒットの予感がする」
と紹介するのは正直、ジャンプ大好き芸人としては大きな賭けである。
でもこの勢いで第二話がうまくいけばきっと、『ヒカルの碁』を超えるヒット作になる...。
そう思わずにはいられないほど、作り込まれた第一話だった。
もちろん僕は泣きながら読んだ。
『ワンピース』の第一話のように熱く、過去の名作『タッチ』を思わせるストーリーだった。
そう、これは将棋界の『タッチ』なのだ。
令和に生きる若者には
「ミナミを甲子園につれてって」
の名シーンは伝わるまい。
以下、ネタバレ注意。
みんなジャンプを買うべし。
ストーリー
主人公の天童太星は二重人格だった。
昼の天童太星と、夜の天童太星は別人なのだ。
昼の人格は「太(たい)」、夜の人格は「星(せい)」である。
二人はジキルとハイドのように昼と夜で入れ替わる。
睡眠時間が若干心配だが、設定上ほとんど寝ることはなさそうだ。羨ましい。
昼の天童太星は「令和の神童」と呼ばれるほどに才能がある棋士だった。
その実力は中学生ながらにプロ試験を受けるほどで、我々の世界だと藤井聡太をイメージするといい。
昼の「太(たい)」と夜の「星(せい)」は4歳の頃から一人一日一手ずつ、ずっと将棋を指してきた。
一つの将棋盤に人間一人。人格は二人で昼と夜で入れ替わり。
昼と夜で一日一手ずつ。
将棋界で神童と呼ばれている「太(たい)」は実は、「星(せい)」に一度も勝ったことがなかった。
しかし「星(せい)」は9歳で突然将棋をやめてしまう。
「将棋は太の居場所なんだ。俺のじゃねぇよ」
ある日、幼馴染の奏に本音を語った。
「つまんねーんだ」
「将棋やめていろいろやってみたけどさ」
「何やってもつまんねーんだよな」
「空に太陽があれば俺の居場所もわかるんかな」
星はずっと居場所を探していたのだ。
昼の世界に出ていけない、自分の居場所を。
そしてプロ試験当日───。
プロ試験は持ち時間が長いため、夜まで対局することも珍しくはない。
突然将棋をやめてしまった星の「次の一手」を待ち続けていた太はプロ試験当日にその盤面を再現した。
そして夜の太に入れ替わり......
.......というのが一話目のストーリーである。
正直、文字で『ふたりの太星』の面白さが伝えられたかはわからない。
少しでも気になった人は、絵と一緒に読んでほしい。
2話目以降も勢いが続くかどうかが勝負
他の人が『ふたりの太星』をどう評価するかはわからないが、僕は3回読んで2回泣いた。
『ヒカルの碁』で佐為が現れた20年前を思い出した。
しかし一話目はどの漫画もたいてい面白いものである。
特に画力がある作家の場合はそれが顕著で、ストーリーをじっくり練る時間がある一話目は抜群に面白いのだ。
勝負は二話目以降である。
『タッチ』や『ヒカルの碁』のような名作を感じさせる勢いをどうか維持してほしい。
息抜き的な話を入れることなく、畳み掛けるようにストーリーを進めていってほしい。
作者の福田健太郎先生の画力はすごい。
現在の連載陣の中でも圧倒的だと思う。
しかしその素晴らしい画力に溺れることなく、
「絵が下手でもなぜか面白い『鬼滅の刃』」
を目指してほしい。
絵が上手だからといって、連載が続くとは限らないのだ。
第二話。
第二話が勝負である。
来週の月曜日、僕は昌文君になりたい。
やはり...私の直感は間違いではなかった。
『ふたりの太星』は『ヒカルの碁』を超える...
超えるぞ...!!
王騎よ───
『ふたりの太星』の成功を祈ってます。