先週、人生で初めてアフィリエイトの勉強会のようなものに参加してきた。
リアルでもネットでも友達が少ない僕は当然、たった一人で人目を忍ぶように参加してきたのだが、僕以外の参加者はどうやら知り合い同士だった人も多くいたようで、休憩時間に仲良さそうに雑談していた。
ぼっち参加の僕は休憩中に話す人間などいるはずもなく、いつものようにツイッターでクソリプを送って遊んでいたのだが、ふっと横の席での会話が聞こえてきた。
「motoさんって知ってますか?」
......motoさん?
「ツイッターで有名な、『転職アンテナ』ってサイトを運営してる...」
motoさん!!!!!
まさかツイッターの外の、ある意味ではリアルな場で、motoさんの名前が聞けるとは!
耳をダンボにして彼らの会話を盗み聞いた。
できることならすっと立ち上がり、彼らの前にスタスタと歩き、スマホを見せつけ、こう言いたかった。
「motoさんと相互フォローの者だが、何か質問ある?」
しかし、「誰かと知り合いであることを自慢する奴は100%小者扱いされる」という苦い経験があったため、なんとか踏みとどまった。
何を隠そう、中学時代の僕はいつも番長の名前を出して、
「俺は後藤(番長の名前)の友達なんだが」
とアピールしていたものの、出会う人全てに軽んじられた男だ。
突然、motoさんの相互フォローをアピールしても同じように軽んじられ、疎んじられるに違いない。
何もせず、ツイッターを見ながら聞き耳を立てていた。
「『転職』で12位を取っているサイトです」
「はてなブログでBANされてから、新規ドメインでWordPressに移っても検索上位に出ているってことは、ツイッターアカウント経由で評価が引き継がれたんじゃないかって思ってて」
作り話に聞こえるかもしれないが、本当にこんな話をしていたのだ。
初めて足を運んだ場所でmotoさんが話題に上がっていたのが嬉しくなったと同時に、みんな似たようなことを考えているんだなぁ、という印象を抱いた。
「ツイッターアカウントの強化がSEOにつながっているのではないか?」
という仮説だ。
以前から「ツイッターからのリンクはnofollowのため、サイトの評価にはつながらない」とは言われていたが、ツイッターにはリンク以外にも様々な情報が詰められている。
特に昨今の「ウェブの信頼性が揺らぐ事件」が立て続けに起こったことを考えると、ツイッター上にある「発信者の情報」を評価材料に使わない理由は無いように思える。
motoさんに限らず、ブログの運営方法を紹介しているヒトデさんのブログなども、ブログ開設まもない頃から検索上位をかっさらっていて、その人達に共通しているのは、「既にウェブで信頼を得ていること」だ。
被リンク数が十分でないうちからビッグワードで上位表示される原因は何か?と考えると、ぼんやりとだが、二つの要因が思い浮かぶ。
「ツイッターアカウントによるE-A-Tの評価」
と、
「指名検索」
である。
E-A-Tとは何か
「GoogleがE-A-Tを重視する」と言われてから久しい。
E-A-Tとは、
- Expertise(専門性があること)
- Authoritativeness (権威があること)
- TrustWorthiness (信頼できること)
の略である。
E-A-Tの重要さが叫ばれてから、「医師が監修しました」などと強調しているサイトが一気に増え始めた。
実際に記事を書いているのはウェブライターだろうし、多忙で本業で十分に稼げる医師がいちいち記事を監修しているのかは定かではないが、「医師が監修」しているように見せれば、専門性があって、権威があって、信頼できるように感じられる可能性は上がる。
それを逆手に取って、医師でもない人が医師のフリをしてサイトを作ったりと、色々と問題が発生していることも事実だ。
「医師が監修しました」「歯科医が内容を保証します」的な、記事内でのE-A-Tをアピールしたサイトが増えまくった結果、それが本当に専門性があるかどうかがわかりづらくなったというのが実情だろう。
ツイッターアカウントによる「E-A-T」強化
ここからは盗み聞きした内容に僕の勝手な仮説を加えたものである。
まず、Googleはサイトを運営する人間のツイッターアカウントを把握しているように見える。
たとえば、Googleで「俺の遺言」と検索すると、二番目に「@cook_hideyoshi」のツイッターアカウントが表示される。
その他にもブログ名で検索すると1ページ目にツイッターアカウントやその人のwikipediaが表示されることが多く、Googleはブログと運営者を紐づけた情報を保持していることが予想できる。
ではGoogleはどうやって、運営者に専門性、権威性、信頼性があるかを判断しているのだろうか。
ツイッターアカウントをカテゴリ分けしてジャンルを把握
仮説その1は、「アカウントにカテゴリのラベルを貼っている説」だ。
その運営者(=ツイッターアカウント)のツイートを自然言語処理して、どんな内容のツイートをしているかカテゴリ分けする。
その中でどうやって専門性、権威性、信頼性を判断するか。
ひとつ目に考えられるのは、その人の発信内容がどれだけ支持されているか、つまりRT数やお気に入り数から判断するというやり方だ。
このやり方は全ツイートのRT、ファボ数を保持したり、一つ一つのツイートをそれぞれカテゴリ分けしなければならないため、おそらくは有効ではない。
転職アカウントが美女についてつぶやいても、それは専門性にはつながらないからだ。
そもそもツイッターでは140字の制限があり、一つ一つのツイートを正確にカテゴリ分けするのは難しいと思われる。
もう一つ考えられるのは、「ウェブの被リンク数と同じ考え方でツイッターアカウントの信頼性を評価する」というものだ。
一定数以上のフォロワー数を持つアカウントにラベルを貼っておき、たくさんのラベルにフォローされている人は信頼できる、という判断の方法である。
要は「良質なフォロワーを持つアカウントにたくさんフォローされているアカウントは信頼に値する」ということだ。
機械的にフォロワー増やしたbotには良質なフォロワーはついていない。
ただフォロワーが多いだけではダメで、
「信頼性のあるアカウントにどれだけフォローされているか」
でそのアカウント自体の信頼性を測るというものである。
あくまで仮説に過ぎないが、個人的にはE-A-Tの判断材料に使えそうな気はしている。
2019年3月にGoogleの検索アルゴリズムが大きく変更された。
3月のコア・アップデートの影響が少ない人はもしかしたら、ツイッター上でE-A-Tを確立していた人なのではないか?とも予想しているが、どうだろうか。
指名検索によるリピーターが評価につながるのでは?
もう一つ、個人的に気になっているのは「指名検索」が検索順位に影響しているのではないか、という説だ。
指名検索とはたとえば、
「俺の遺言 簡単に作れる料理」
のように「ブログ名+キーワード」で検索して、検索結果に表示されるブログを指名する検索方法である。
正確なデータを取っているわけではないのだが、指名検索されている記事は検索順位も上がりやすいように感じている。
「様々なユーザーに指名されているサイトは権威があるサイトである」
とGoogleが判断しているのかもしれない。
プログラミングで困ったときにStackoverflowを指名して検索するように、僕たちは「『必要な情報がそこにある』と信じているサイト」を指名したくなるからだ。
昨年、「Googleがウェブサイトをできる限り踏ませないように進化している今、ブロガーにできることは何か」という記事でも書いたが、サイト自体を指名してもらえる人は、Googleの検索アルゴリズムの変更にも影響されにくい。
上の「ツイッターアカウントのE-A-T」とも絡んでくるが、ツイッター上で露出が増えて、サイト自体に関心を持ってもらえる機会が増えると、それに伴って指名検索も増えるはずだ。
つまり「そのアカウントを信頼しているフォロワーを多く抱えるアカウントがさらに強くなっていく」ということである。
ここまでの話はあくまで仮説に仮説を重ねた予想に過ぎないが、いずれにしても「良質な情報を継続して発信し、フォロワーの信頼を獲得することがサイトの評価にもつながる」というのは至極真っ当な帰結にも思える。
SEOをハックしてGoogleを騙すことはできても、人間をずっと騙し続けることはできないのだから。
関連記事:ツイッターでフォロワーを増やす9つの方法
Googleアカウントの行動履歴を利用している説(追記)
上で「人間をずっと騙し続けることはできないのだから」と綺麗に締めた後での追記です。
SEOコンサルタントのおおきさんのツイートが腹に落ちました。
これは自分も同意です。
— おおき/SEOコンサルタント (@ossan_mini) 2019年5月11日
数値取ってみるとSNSのエンゲージメントと検索順位は正の相関を示すので。
厳密に言うと恐らくSNSでは無く、Googleアカウントにログインしたユーザーの行動履歴を部分的に利用している可能性がありますね。
SNSが突然API制限したら意図せず検索順位が大変動しかねないので。 https://t.co/KKyRPWmcT5
Googleではユーザーの検索履歴を保持しています。
自分が何を検索して、どんなページを開いたかはダウンロードして確認することもできます。
逆に考えると、Googleは「ユーザーがどんな風にウェブを歩んだか」をある程度は把握しているともいえるでしょう。
ツイッターを開く
↓
ツイッターからブログを開く
↓
またツイッターに戻る
などのように、ユーザーの行動を見て、その情報がユーザーのニーズを満たしているかどうかの判断材料に使っている可能性があります。
「Googleが行動履歴を見る」についてもう少し考えてみます。
有名人の名前で検索すると、どうしようもないペラページが出てきたことはありませんか?
「XXXX(人名)の彼氏は?出身大学は?年収はいくらなの?」というタイトルに惹かれてクリックすると、
「調べてみたけど情報はありませんでした」
などと書かれていたりして、パソコンを殴りたくなりますよね。
その後で僕たちが取る行動は、
「ブラウザバックしてもう一度Googleに戻り、別のページを探しに行く」
ではないでしょうか。
これはつまり、「そのページを開いてもユーザーは満足していない」=「ユーザーの検索ニーズを満たしていない」ということになります。
そういうのが積み重なると、Googleはそのページの評価を徐々に下げていくはずです。
それと同じように、SNSのサイトを訪れた後のユーザーの行動も検索順位の評価の参考にしている可能性はあります。
特にAndroid端末の場合は端末自体がGoogleの土壌ですから、検索順位改善のためのデータを必要に応じて取得していても不思議ではありません。
あるいはSNS経由で開いたリンク先のGoogle Analyticsの情報を使って滞在時間を見ている可能性もあります。
(Analytics設置していないサイトの場合は、「リンク先を開いた時間」と「別のページを開いた時間」の差分を取得するとか?)
いずれにしても、ユーザーに良質な情報を継続的に届け、「インターネットで徳を積み重ねること」が検索順位にも良い影響があることは間違いないでしょう。