「ドリルを売るには穴を売れ」で学んだ内容の続きです。
前の記事を読んでいない方でもこの記事を読むのに支障はありませんが、気になる方はこちらをどうぞ。
こういう真面目な記事を書こうとするとき、ふざけた恋愛系の記事との反響の違いから
僕に真面目さなど求められていないのではないか?
と割と真剣に悩むことがあるのですが、個人的にはマーケティングの理論はとても面白かったので5分で読めるようにまとめてみました。
前の記事では
「マーケティングとは、『顧客にとっての価値』を売り、その対価として顧客からお金をいただくこと」
と書きました。
顧客が「買う」決断をするのは、顧客が得られる価値が、顧客が払う対価よりも大きいと感じたときです。
なので、売り手側は
顧客が得る価値 > 顧客が払う対価
という不等号を常に維持できるように意識し続けなければいけません。
では、この「価値」とは何でしょうか?
突き詰めると、「価値」とはは人間の欲求・欲望です。
人間の欲求を分析した理論としては、マズローの欲求5段階説が有名ですが、
よりシンプルな「ERG理論」の方がわかりやすいでしょう。
ERG理論とは、人間の欲求は本質的に3つに集約されるというものです。
・Existence(生存)
・Relatedness(他者との関係)
・Growth(成長)
顧客はこの3つの欲求を充足させるためにモノを買います。
問題は、満たしたい欲求は人によって違うということです。
同じ「夕食をとる」という行為でも、
気になる女性と素敵なひとときを過ごしたい人は雰囲気の良いイタリアンに行くでしょうし、
気軽にお腹を満たしたい人は吉野家に行くでしょう。
雰囲気の良いイタリアンにデートしに行ったつもりが、中に入ると突然カジュアルな接客をされて、
店の照明がギラギラに明るく、
「へい!お待ちィ!」
みたいなノリで料理を出されたら、二度とその店には行かなくなるはずです。
「顧客のどんな欲求を満たしたいのか」
をよく考えて、ターゲットとする顧客に狙いをつける必要があります。
このようにターゲットを決めて顧客を分けることを「セグメンテーション」といいます。
セグメンテーションの具体例を見ていきましょう。
最もよく使われるのは「性別と年齢」を軸として狙いを分ける方法です。
・10代の男子高校生向けのアプリ
・20代のOL向けの化粧品
・30代の仕事がノッてきた男性向けの雑誌
など、想像すると色々と浮かんでくるのではないでしょうか。
僕が最近聴いているVoicyというラジオアプリでも、セグメンテーションが上手な人はランキングも上位にいるように思います。
たとえばランキング1位を独走するサウザーさんの
は、
「今の仕事に悶々と不満を抱えながらもどのように現状を打破していいのかわからない20代〜30代のビジネスマン」
に深く刺さる内容となっています。
敬愛するゴッホさんは、「ゴッホのモテラジオ」で
「モテたいけど、まだどうしていいかわからない恋愛初心者層」
に向けた丁寧なアドバイスを毎日発信しています。
身近な人の例を挙げてしまいましたが、明確にターゲットを絞ることで、その人達にグッと刺さる内容を届けることができるのです。
万人受けを狙うと逆に誰にも刺さらない、なんてことにもなりかねないので、
「自分は誰に何を届けたいのか」
をよく考えて商品を提供することが大切です。
なんて書きながらも、このブログは全然ターゲットが絞れてないので心が痛いです。
記事一つ一つではどんな人に読んでほしいか、を考えているのですが、ブログ全体では統一感がないですよね。
余談を続けますが、ブログ全体で一つのテーマについて論じたものを「特化ブログ」といい、ブログ全体で色んな内容を書き散らかすタイプを「雑記ブログ」といいます。
「雑記ブログ」では広く色んなテーマを扱うため、色んな人が集まりやすいのですが、テーマが定まっていないので回遊率は下がる傾向にあります。
一方で「特化ブログ」は「興味がある人しか集まらない」ので、狭くて深いコアなファンが集まります。
ブログのマネタイズを考えている場合は、コアなファンを多く集めることができる特化ブログの方が有利です。
ネットの情報にお金は払わない文化は依然として根強いですが、コアなファンはお金を払っても情報を求める傾向があります。
転職特化ブログやクレジットカード特化ブログなど緻密に作り上げることで、相当な収益を上げている人もいるようです。
余談が過ぎました。
ここまでセグメンテーションによって、狙う顧客を絞ることについて考えてきました。
「顧客を絞る」際には、
・市場が十分に大きいこと
・競合の激しさと自分の強みを考えること
・届けられる価値の必要度が高いこと
を考える必要があります。
誰も顧客がいないところに絞っても誰にも売れません。
「その商品(サービス)を必要とする人がいて、
自分が競合よりも大きな価値を出せること」
これがターゲットを選定する際の原則です。
ここまでで3分くらいでしょうか(汗)
あと2分で差別化を学びましょう。
サクッといきます。
差別化とは、「競合に比べて『提供する価値の差』を生み出すこと」です。
「ドリルを売るには穴を売れ」
では、3つの差別化戦略が紹介されています。
一つ目は、手軽軸による差別化です。
吉野家の牛丼のように「手軽に済ませたい」というベネフィットを求めている顧客を狙った差別化戦略を指します。
インターネットで考えると、ツイッターは手軽軸を元にしたサービスの典型例でしょう。
空いた時間にサクッと見れて、気軽に投稿できます。
ブログはツイッターほど手軽に閲覧したり投稿したりできないですよね。
ツイッターは「もっと手軽に文章を投稿したい」という顧客の要求を満たすことで、差別化したサービスだったのです。
二つ目は、商品軸による差別化です。
「とにかく良いもの」を求める顧客を狙った戦略です。
化粧品などは、
「成分がほとんど変わらなくてもむしろ高いほうが売れる」
という話を聞いたことがあります。
自分の肌のために、顧客が「とにかく良いもの」を求めているからですね。
成分を細かく分析するのは難しいですが、それでも「高ければ良いものだろう」という安心と信頼に対価を払っているのだろうと思います。
材料にこだわって、時間をかけて、とにかく良いものを作ることで競合と差別化するのが
「商品軸による差別化」
戦略です。
最後の3つ目は「密着軸」による差別化です。
顧客に密着し、密接な関係を築くことで差別化する戦略です。
前述したゴッホさんのモテラジオも(無意識に)密着軸による差別化を行っているように見えます。
リスナーに寄り添って、アットホームな雰囲気で、回答を一緒に考えていくスタンスがファンを生んでいるのではないでしょうか。
差別化戦略はどれか一つに絞ることが大切です。
手軽に食べられるはずの吉野家で「顧客に密着した接客」なんてしていたら店が回らなくなります。
顧客の意見を吸い上げ、商品に反映させたい密着型の組織では営業チームが中心と成るでしょうし、
素晴らしいプロダクトを作り、「商品軸」で他社と差別化を図りたいGoogleのような会社はエンジニアが中心の組織となります。
つまり、どのような差別化戦略を取るかによって、マーケティング戦略・人事・組織運営全てに影響が出てくるというわけです。
- 作者: 佐藤義典
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