「家で勉強できない」という人は多い。
家では気が散る物が多く集中できないため、予備校の自習室だったり、学校の教室だったり、図書館で勉強する学生は多かった。
社会人の場合は高校生や大学生のように学校に通えるわけではないため、外で仕事をするとなるとカフェに行く人が多いように見える。
10年くらい前から、「ノマドワーカー」と呼ばれる人が増えてきた。
「ノマド」は「遊牧民」の意味で、ノマドワーカーは場所に囚われず、自由に移動しながら仕事をする人を指す。
実は僕もノマドワーカー的な生き方には少しだけ憧れていて、パソコンをリュックに入れて、カフェでMacbookを開いて仕事ができたらいいな、などと夢を見ていた。
YouTubeでマナブさんという方の動画を見て、「リュック一つでどこにでも移動できる生活...ええやん」と思ったりもした。
マナブさんは情報商材絡みで批判されることも多いが、面白い発信も多い。
特にこの「リュックひとつに生活を詰め込む姿勢」には感銘を受けた。
僕が最近荷物を捨て始めたのも、元はローランド先生の動画とマナブ先生の動画がきっかけだったりする。
現状リュックひとつでは全然生活できていないが、荷物が少ない生活は快適だ。
さて僕はノマドかぶれなので、今日はリュックにMacbookを詰めて自転車に飛び乗り、カフェを探す旅に出た。
リュック一つあれば、どこでも仕事ができる!
俺が!俺こそが!巷で話題のノマドワーカーだ!
と言わんばかりの勢いで、家から自転車で15分くらいの駅にカフェを探しに行った。
ノマドは旅人。
仕事の場所を選ばない。
家の近くのカフェに行く必要などないのだ。
自転車に漕ぐこと15分。
はじめにぶち当たったのは
「自転車を止める場所がない」
という試練であった。
駅には何やら自転車の監視を生きがいとしているようなおっさんがギロリと目を光らせている。
彼の目を盗んで自転車は止められそうにない。
仕方ないので、少し離れたイオンの駐輪場に自転車を置き、駅前のドトールを目指した。
が、ここでもまた試練にぶち当たる。
満席で座れないのだ。
なんということだろう。
最近、薄々勘付いてきたのだが、土日のカフェはどこも混みすぎである。
特にスタバ、ドトール、タリーズなどのチェーン店が混んでいる。
今日は最終的にはスタバもドトールもタリーズも見てきたが、どこもほぼ満席だった。
少し値段の張るお店であれば座れないほど混んでいることも無さそうだが、ただでさえ貧乏臭いノマドワーカーをやりたいのに、高級なカフェを利用するのはどうも気が引けてしまう。
結局、某駅のドトールには座れず、近くにあったミスタードーナツを狙ってみたが、ここもほぼ満席であった。
ミスドは若干席が空いていたが、近くで高校生らしき集団がワイキャイと騒いでいたのでやめた。
ノマドワーカーは主にカフェで作業しているイメージがあるが、都会でノマドってハード過ぎないか?
満席だったら試合終了。
机に向かうこともできやしない。
散々カフェ難民として歩き回って、途中で気付いたこともある。
MacBookは意外と重い
という不都合な真実だ。
いや、本当に重い。こんなものを背負って自転車を漕ぎたくない。
リュックにはMacBook Proしか入れていなかったが、途中で背中が痛くなってきた。
もしリュックに書籍などを余計に入れていたら、肩が外れていただろう。
寒いし、身体への負担も大きい。
そして仮に朝早く家を出て、カフェで席を確保できたとしても、ずっと居座っていると気まずい。
昼食で席を立ってその後カフェに戻ると、席がない。
作業中、隣に大声で話す不良や臭いおじさんが現れたとしても、なかなか席は替えられない。
ハードすぎる。
そういう意味で、カフェは仕事の主戦場とはならないと確信した。
「カフェを転々として作業するノマドワーカー」はネットが生み出した幻想で、カフェで作業し続けられる人はもはやワーカーではなく、貴族である。ノマド貴族だ。
そもそもカフェに行くにもけっこうお金がかかる。
僕はよく早朝にスタバに行ってスマホKindleで本を読むのだが、コーヒーとアメリカンワッフルを頼むだけで毎回500円以上払うことになる。
朝、昼、夕方とカフェを転々として作業するなら、毎日のカフェ代だけで田舎の賃貸に匹敵する大金を支払うことになるだろう。
セブンイレブンのコーヒーで良くないか?
冒頭のマナブさんのように海外を拠点としているなら別かもしれないが、日本の主要都市でノマドワークは難しい。
作業に思い切り集中したいなら、カフェよりもホテルを中心とした方が現実的だろう。
カフェで本気で仕事に集中するのは厳しそうだ。
ちなみにカフェを仕事場とするのは厳しいが、「日経オフィスパス」のようなコワーキングスペース使い放題サービスを利用して、様々なコワーキングスペースを作業場所とするのは良い選択だと思う。
個人的にはコワーキングスペースよりも自習室タイプの方が好みではあるが、カフェで仕事するよりはよっぽど現実的だ。
集中できる仕事場所はどこか
最も無駄が少ないのは「自宅」だろう。
移動もしなくていいし、トイレも必ず使える。
部屋を快適な温度に調整できるし、疲れたら部屋でストレッチしてもいい。
スタバでストレッチするおじさんはキモいが、部屋でストレッチするおじさんは健康的だ。
部屋なら荷物も置いておける。
重いMacBookを背負って亡霊みたいにカフェを彷徨わなくていい。
ノマドなんて言わずに「部屋をオフィス化」できれば何よりだ。
とはいえ、部屋では集中できない人もいるかもしれない。
助平な男なら部屋だと雑念が浮かんでくるだろう。
そういう場合は、
- 図書館
- 有料自習室
- コワーキングスペース
- カフェ
などが選択肢になる。
自分で別にオフィスを借りるだけの財力がある人はほぼいないだろうから、ここでは考慮しない。
僕はずっと大学の自習室の幻影を追いかけてきた。
僕にとって、最も集中できたのは大学の自習室だった。
あの環境が欲しかった。
でも社会人になると、学校ほど勉強に都合の良い場所はなかなか見つからない。
図書館に旅立つか、お金を払って場所を借りるか、自分の部屋を集中できるように作り変えていくしかない。
外出して勉強しに行くのは心理的な負担が大きい
少し前まで借りていた有料自習室は素晴らしい環境だった。
席が区切られていて、本も置いておける。
Wi-Fiも飛んでる。
ロッカーも借りることができた。
静かで、集中できる良い環境だった。
しかし、遠かった。
自転車で15分。
この15分が辛かった。
寒くなってくるとなおさらだ。
「休みの日にどこか別の場所に出かけて仕事をする」
こんな簡単なことが、こんなに大変なことだとは、僕は知らなかったんだ。
普段は当たり前に電車に乗って、当たり前に会社に行っていたはずなのに、そんな「当たり前」がとても辛い。
寒いし遠い。
こうやって自分で仕事場所を借りて休みの日に通ってみると、会社の強制力って本当にすごいんだなと感心する。
雨の日も風の日も、台風の次の日も頑張って出社するって本当にすごいことなんだ。
「給料をもらう」ってすごいことだ。逆に言えば、お金を出せば人の行動をある程度支配できるものなんだとも思った。
とにかく自分のために家から出て仕事しに外に出る生活を、毎日続けるのは大変だ。
会社はすごい。
「日本は四季があって趣がある」みたいに言われることもあるけれど、春は花粉が辛く、夏は熱くて死にそうで、秋は頻繁に台風が来て、冬は寒くて家に出る気にならない。
結局、外出に適しているのは5月中旬から6月中旬、10月中旬から11月中旬くらいで、その他の時期は家から出るだけでヒットポイントが削られてしまう。
そういう意味でも、やっぱり無理にノマドワークには憧れず、自宅を生活の拠点として、自宅でできる限り集中できる環境を作っていくのが最も作業しやすいように思うのだが、どうだろうか。
カフェでMacBookを開いてオサレに仕事はなんだかカッコよく見えるが、実はかなり効率を犠牲にしてオサレを追求しているのだと思わざるを得ない。
「会社が学校じゃねぇんだよ」とネットで叫び有名になった人がいたが、「仕事はファッションじゃねぇんだよ」とノマド達に叫びたい。
というわけで、セブンイレブンで買ってきたコーヒーとカステラがとても美味しい。