俺の遺言を聴いてほしい

これは俺の遺言だ。

『転職の思考法』はキャリアに迷っている会社員に刺さる内容だった



ツイッターで「良書」と紹介されていた『転職の思考法』は、1ページ目からグサグサと刺さる本だった。

あまりに刺さりすぎて3日で2回読んだ。


『転職の思考法』はストーリー形式で転職の考え方を身に付けていくロールプレイング型のビジネス書である。

主人公の青野は、それなりに名の知れた会社に通うサラリーマンだが、覇気のない会社の姿に疑問を抱き始めている。



金曜日だけを楽しみに生きている、それでいいのだろうか。

定年まで逃げ切ることしか考えていない、それでいいのだろうか。

言われた仕事以外は誰も責任を取りたがらない、それでいいのだろうか。


青野の迷いは、現代サラリーマンが共通に抱える悩みのように思える。


  • 同期は優秀なやつから辞めていく。自分はこのままでいいのか?
  • 「本当にやりたいこと」がいつまでたっても見つからない!
  • この仕事、ひょっとしていつかなくなる?
  • 自分の『市場価値』っていったい「いくら」なんだろう?
  • いまのままじゃいけない気がするけど、転職して給料が下がるのも嫌...

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よっぽど恵まれた環境にいる人か、よっぽど優秀な人以外は、誰もが一度は感じたことのある葛藤ではないだろうか?

「転職した方がいい気がするけど、転職したら給料が下がってしまう...」

というのは、とても恥ずかしいことだけど、僕も感じたことがある。


今の給料と転職後の給料に差がある、ということはすなわち「マーケットバリューと給料に乖離がある」ということだ。


マーケットバリューと給料は長期的には必ず一致する。


今の給料がもらい過ぎだと感じている場合は、どこかで帳尻合わせをしなければならないタイミングが来るということだ。

日本の問題は、「マーケットバリューと給料は最終的に一致する」ことを、40代後半まで教えない点にあるのだ。


終身雇用・年功序列は崩れたと言われて久しい。

今は2人に1人が転職する時代だ。


同じ会社にずっといるのが当たり前と思われていた時代とは全く異なっている。


一方で、日系大企業に関しては「転職文化」があまり浸透していないようにも思える。

偏見かもしれないが、自分の周りの大企業の会社員の多くは


「その会社で勤め上げる」


ことを前提にキャリアを考えているように感じる。

肌感覚的には「2人に1人」が転職するようには思えない。


もちろん、現在の職場に満足しているのであれば、転職する必要はない。


問題は、


「転職を考えているのにできない」


状態である場合だ。


選択肢がない状態。


原因は、マーケットバリューが低いことにある。


よく言われていることだが、


「会社を離れた場所で、自分の労働力にどれだけ価値があるのか」


は常に意識しておかなければならない。


『転職の思考法』では、給料の期待値の大きさは、

  • 業界の生産性
  • 技術資産
  • 人的資産


の3つの要素の掛け算で決まる、と言われている。

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業界の生産性は最も重要な要素だ。

つまり、「伸びている業界で働け」ということである。


技術資産は、他社に行っても展開できる専門性のこと。

社内の稟議を通す能力や、社内で根回しする能力は他社で使える専門性にはならない点に注意が必要だ。


人的資産は、別の会社に移っても変わらず仕事をくれる人がいるか?ということ。

別の会社に移っても、人脈だけで仕事を引っ張ってこれるかどうかが人的資産の鍵となる。

『ブランド人になれ』という本が発売されるように、「その人の名前」にブランドが溜まっていくような仕事をしているかどうかが鍵となる。


ブランド人になれ!  会社の奴隷解放宣言 (NewsPicks Book)

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転職は善

転職は決して悪いことではない。

会社にとっても、労働者にとっても


「いつでも転職できる状態」


であることは、素晴らしいことだ。


以前、経沢香保子さんのVoicyで澤円さんとの対談の回があった。

そこで澤円さんがおっしゃっていた話がとても印象的だった。


「マイクロソフトには独立できるような人材がたくさんいる。

そういう人が、それでも『働きたい』と思える職場にしていくのが大事だ」

と。

Googleが「スマートクリエイティブ」と呼ばれるエンジニアに大きな権限を与えて自由にさせているのも同じ理由で、

社員がいつでも他の会社で働ける状態ならば、むしろ会社が社員に尽くすようになる。

会社がまずかったら貴重な人材がさっさと外に出ていってしまうからだ。


本書のアドバイザー的なキャラである黒岩は語る。

「強い会社というのは普通の発想と逆なんだよ。

いつでも転職できるような人間が、それでも転職しない会社。

それが最強だ。

そんな会社だけが今の時代を生き残れる」





いつでも誰でも、転職できる状態をどう作るのか。


マーケットバリューを意識して職場を選んでいくピポット型キャリアを歩む必要がある。

会社選びの3つの基準は以下の通り。

  • マーケットバリューは上がるか
  • 働きやすいか
  • 活躍の可能性は十分か


自社だけでなく競合も伸びているような業界を選び、

現場のメンバーが優秀かどうかを確かめる。


転職によって、自分の価値を高めていくようなキャリアを歩めば、たとえ会社が傾いたとしても心配はいらない。


黒岩は言う。


「君が『自分の人生を選ぶ力』を得るまでは、永久に自由になどなれない」


「転職とは、名刺や住所が変わるだけのものではない。

人々に次のチャンスをもたらすものである」


「今の会社では活躍できなかったとしても、違う場所で輝ける可能性がある人はたくさんいる。

転職が当たり前になれば、自分をごまかさず、本当に正しいことができる。

会社も、より社員に魅力を感じてもらえるような場であろうとする」


「腹を括り決断した人間には、長い目で見ると失敗などない。

誰に笑われても馬鹿にされても、何度でも立ち上がり未来を向くからな。これがこの世の意思決定にまつわる最大の真理なんだよ」


「伸びている市場に身を置け。そのうえで、自分を信じろ」

迷ったら未来のマーケットバリューを取れ

『転職の思考法』のアドバイスはシンプルだ。

  • すでに給料が高い成熟企業と、今は給与は低いけど今後自分のマーケットバリューが高まる会社とで悩むことがあれば、迷わず後者を取れ
  • マーケットバリューと給料は、時間差で一致する
  • マーケットバリューを高められなかった人間はどこかで肩叩き、あるいは減給に合わざるを得ない


つまるところ、マーケットバリューを意識して働いていかないと、人生100年時代、どこかで辛酸を嘗める可能性があるということだ。

日本の悪いところは、その事実を40代後半まで本人に隠しておくことだと本書では述べられている。

ほとんどの人に「やりたいこと」なんて必要ない

「好きなことを仕事にする」は専門性を高めるためにもとても有用だ。

とはいえ、多くの人が「本当に好きなこと」なんて見つからないのも事実。

『転職の思考法』で紹介された2パターンの価値観はとても納得感のあるものだった。

人間には、「何をするのか」に重きをおくto do型の人間と、

「どんな人でありたいか、どんな状態でありたいか」を重視するbeing型の人間がいる。

  • to do(コト)に重きをおく人間・・・何をするのか、でも物事を考える。明確な夢や目標を持っている
  • being(状態)に重きをおく人間・・・どんな人でありたいか、どんな状態でありたいかを重視する


to doを持っている人間に憧れる人がほとんどだが、99%の人間がbeing型である。

世の中に溢れている成功哲学は、たった1%しかないto do型の人間が書いたもの。だから参考にならない。


being(状態)とは、

  • 自分の状態
  • 環境の状態

を指す。


このうち、「自分の状態」とは、

  • 適切な難易度の仕事に取り組んでいるか
  • 自分に嘘をついていないか

「環境の状態」とは、

  • 緊張と緩和のバランスは心地よい状態か?

を意味する。

環境の状態を確認する方法はシンプルだ。

この半年の間に強い緊張を感じた場面を書き出して、

  • 悪い緊張が10以上ある→職場を変える
  • いい緊張が3つ未満→より難しい業務や、やったことのないことに挑戦する

悪い緊張とは、社内のパワハラ上司による謎のプレッシャーとか、社内で悪口を言われて消耗している場面を想像するとわかりやすい。

部下を細かく管理しないと気が済まない!マイクロマネージャーの倒し方

いい緊張は、社外の人に向けてプレゼンしたり、何かを発表したり、新製品をリリースしたりすることから生まれる緊張感である。



being型の人間が仕事を楽しむための2つの条件、そしてbeing型の人間が好きなことを見つける方法も本書の中で語られているが、興味がある人は本を読んでみてほしい。


僕はいつも「好きなことを見つけなければならない」と思っていた。

ただ、この本を読んで、「being型の人間」の考え方がものすごくしっくりきた。


経験を振り返って、自分はbeingを重視してきたことがわかったからだ。


僕は高校も大学も同じ部活をやっていた。

自分がチームの中心でチームを引っ張っていった高校時代の部活は本当に楽しかった。

あの頃の僕にとって、部活が人生のほぼ全てを占めていたと言っても過言ではない。


でも大学に入ってからの、官僚主義的な雰囲気がはびこる部活は全然楽しくなかった。

つまらなくてつまらなくて、いつも部活に行くのがいつも嫌だった。


同じスポーツをやっているのに。


つまり、僕にとって、部活そのもの(= to do)よりも、どんな状態(= being)で部活をやっているかが大事だったんだ。


繰り返しになるが、『転職の思考法』の背後にあるのは



「転職は善」


という思想である。


誰もが選択肢を持ち、職場を選べる状態にしておけば、世の中の労働問題のほとんどは解決する。

不満があれば職場を変えればいいし、会社は優秀な人に辞められないように環境を改善しようと努力するだろう。


そして主体的にキャリアを選び、自由を手にするためには、伸びている業界でマーケットバリューを高める努力を続けるしかないのだ。


このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法

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