俺の遺言を聴いてほしい

これは俺の遺言だ。

ジャンプで連載中の「Dr.STONE(ドクターストーン)」がめちゃくちゃ面白い

Dr.STONEがめちゃくちゃ面白い。

良い漫画に共通する特徴は、一話目から一気に引き込まれることだ。
たとえばONE PIECE。

「シャンクス...!腕が...!」

に涙した人は多かっただろう。あの頃中学生だった僕は、ルフィと一緒に泣いた。

NARUTOもそう。
多重影分身の術で敵をぶっ飛ばしたNARUTO。
そしてその後のイルカ先生との絆に泣いた。

そんな歴代の名作と同じように、Dr.STONEは一話目から僕の心を惹きつけた。



「その日───

世界中の人間は全て石になった!!」


こんなナレーションから始まる漫画...というと、クソ漫画のように思ってしまうかもしれない。

が、Dr.STONEの素晴らしさは「人類が石化した」というファンタジー設定にあるのではない。

「人類が石化した世界」というファンタジーの中に「科学」という一本のロジックを通しているところにDr.STONEの面白さがあるのだ。


原作は「アイシールド21」を書いた稲垣理一郎さんで、主人公の千空はどことなく蛭魔妖一に似ている。

作画はBoichiさんである。

実を言うと、僕はBoichiさんの漫画を知らなかったのだが、「サンケンロック」という全25巻に渡る長期連載漫画を完結させた大物であった。画力も素晴らしい。

突拍子もない設定にリアリティを出すためには「画力がある」ことが絶対条件である。

たとえば、映画化までした名作「デスノート」だって、作画がラッキーマンのガモウひろしだったら、クソみたいな知恵比べになっていただろう。

その点、Boichiさんはファンタジーを描ききるのに十分な実力を備えている。


Dr.STONE第一巻の第一話の紹介をしよう。

謎の光線を浴びて、地球上の全ての人間は石化してしまう。



人類が石化し3700年が経った未来。
文明は全て滅び、原始の世界が広がっていた。


この原始の世界で石化が解けた2人の高校生が舞台の主役だ。
一人は大樹、もう一人は千空。

主人公である千空は科学使いである。
宇宙に行くことを夢見て、科学の実験を繰り返してきた。

小学校一年からずっと、調べまくり、試しまくり、失敗から学び、試行錯誤し続けてきた男だ。

そんな千空を見て、父親はこう述べる。

「父さんは手伝えねー

だが千空。お前さえ本気なら。

地道な科学で!

なんだって成し遂げられるさ」


そう言って父親は車を売り、千空のために自費で実験室を用意した。


3700年後の原始の世界で、千空は語る。


「人類の200万年は今、全部───」

自分の頭を指差し

「俺のここにある」


Dr.STONEは、人類200万年の叡智を頭に叩き込んだ千空が、前代未聞のファンタジーに立ち向かっていく話なのである。

「この石の世界の

アダムとイブになってやる」

「唆るぜこれは!」


今、我々が享受しているような便利な道具は何もない。
電気もない。車もない。ガスもない。水も出ない。

そんな環境の中で、知恵だけを武器に困難を克服していくストーリーに心を打たれるのだ。

ちなみにコミックス第一巻の巻末には以下のような参考文献が載っていた。

・ルイス・ダートネル著「この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた」
・アラン・ワイズマン著「人類が消えた世界」
・バリー・ディヴィス著「SASサバイバル百科大全」
・ラリー・D・オルセン著「アウトドア・サバイバル技法」

適当なサバイバル指南をしているわけではなく、根拠のある「原始の生き方」を描いているのだと思う。
そして、これらの参考文献が漫画に説得力を持たせているのだろう。
少なくとも、素人目には論理的におかしいところは見つからない。

ただ一つ、人類がいきなり石化したことを除けば。

ちなみに「北斗の拳」も核によって文明が滅びた世界の話だったはずだが、ケンシロウは科学ではなく北斗神拳の使い手である。
問題が発生したときは拳(というか指)で解決し、科学などに頼らない。

それはそれでヒャッハーして面白いのだが、

Dr.STONEはゼロから石器を作り、紐を作り、火をおこすところから始まる。

人類の知恵を駆使して、石器時代をサバイバルしていくのだ。
こんな漫画は他になかったと思う。


ツイッターでバズった以下のセリフを見たことがある人もいるのではなかろうか?


教えてやるよデカブツ

『科学ではわからないこともある』じゃねえ

わからねえことにルールを探す

そのクッソ地道な努力を

科学って呼んでるだけだ......!!


続くコマで千空は言う。


実験始めて一年───

第100何十回目か?

意外と早かったな

ククク地道なもんだ

ファンタジーに科学で勝ってやんぞ

唆るぜこれは...!



第一巻の第二話の名言である。
そして、Dr.STONEの魅力は全て、この一コマに詰め込まれている。

ファンタジーに科学で勝つ。
北斗神拳ではなく、人類の知恵で勝つ。

サウザー vs ケンシロウ

ではなく、

ファンタジー vs 科学

の舞台がDr.STONEなのである。

正直言うと、僕は理系の学生が羨ましい。
実験に苦しむ大学院生からすると「甘えたことをぬかすなハゲ」と言いたくなるかもしれないが、それでもやっぱり羨ましい。

もしも自分が高校1年生に戻れるなら、絶対に理系学部を目指していたと思う。

人類200万年の知恵の結晶をコンパクトにまとまった教科書で存分に学べるのは、なんと贅沢なことであろうか。

もっと数学勉強しておけばよかった...!
という後悔から、今になって「ふたたびの高校数学」という本を読み始めた。

何かを始めるのに遅すぎるということはない。
憧れを憧れで終わらせないためには、すぐにアクションを起こすことが大切だ。


作者のBoichiさんは第一巻の巻末のコメントにこう描いている。

「この漫画を描けて本当に幸せです。

「不慣れの世の中に屈せずに、勇気と信念一つで生きていく物語。

その全てが本当に本当に好きです。

すごく楽しく描いています」

漫画を通じて作者の楽しさが伝わってくる。
この記事を通してDr.STONEの魅力が伝われば僕も嬉しい。

ちなみに、Dr.STONEの面白さが加速するのは2巻に入ってからなので、1巻がイマイチだった人も2巻までは読んでみてほしい。


Dr.STONE 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

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