俺の遺言を聴いてほしい

これは俺の遺言だ。

ツイッターのアルファアカウント()がリアルでどれくらい知名度があるか、街でアンケートを取って調べてみた。

フォロワー数が10,000を超えると、ツイッター界隈では「アルファアカウント」と呼ばれる。
ベータもガンマもないのでアルファが何の意味を持つのかはわからないが、ツイッター界隈ではある程度の影響力を持つと見なされるようだ。

僕はこの「アルファ」という響きに疑問を持っていた。
フォロワー1,000人の頃から...ずっとだ。

ツイッターでは誉れとも呼べるこの称号に、どれほどの意味があるのだろうかと。
いつかその意味を検証したいと思っていた。

そのためには、自分がアルファアカウントにならなければならなかったのだ。

2017年12月17日。日曜日。

俵万智はかつて、

「何もない日を記念日にしてくれるのがサラダ記念日」

という詩を書いていたが、今日は僕にとってアルファ記念日である。

気温は5度。
冷たい空気が肌に刺さる。

それでも今日、検証しなければならなかった。

アルファアカウントが、リアルでどれほどの知名度があるのかを。



寒空の下、15人に自ら声をかけ、話を聞き、調査を進めた。
ちなみに15人という数字は、統計的には誤差が出まくる数値だそうで、それでいて僕は男が怖いので優しそうな女の人にしか話を聞いていない。

大事なのは厳密さではなく、気概である。

長くなりそうなので結論から言おう。

15人の内訳は以下のとおりである。

  • フォローもしてないし、ヒデヨシを見たことすらない・・・7人
  • フォローはしてないが、ヒデヨシを見たことはある・・・1人
  • ヒデヨシを見たことはないが、説教おじさんは知ってる・・・1人
  • ツイッターはやってないけどヒデヨシを応援する・・・1人
  • ヒデヨシをフォローしている・・・0人
  • リアルヒデヨシをひと目見て、失笑し、立ち去った人・・・5人

アンケートを取る時に、少しだけ話を聞いてみた。
裏垢を持つこともなく、真っ当な人生を歩む人々はどのような人たちをフォローしているのかと。

すると、ほとんどの人は

「リア友!」

と答えた。

リアルに生きる人々は基本的に裏垢などを持つことはなく、フォロワー数が数万の裏垢界隈の存在も知らず、リアルな友達と交流するためにツイッターを使っているように感じた。

フォロワーが増えると、ちょっとツイートするとたくさんの反応があって、自分のツイートがきっかけで何かの議論が始まることも多くなってくる。
そうすると、少しずつ少しずつ自意識が肥大して、

「俺、もしかして、影響力持っちゃった...?」

と勘違いしてしまいがちなのだが、それはあくまでツイッターという小さな箱の中だけの話であった。
リアルに生きる人達は、テレビで見るお笑い芸人のことは知っていても、フォロワー数万人のツイッターアカウントの存在は知らない。

彼女たちにとっては、1000RTされた裏垢のツイートよりも、たった1つのリア友のツイートが大切なのである。



* * *


ここからは少し...思い出を語りたい。
渋谷に着いたとき、僕は少し恐れていた。

知らない人に声をかける、というのが実に久しぶりで、話しかけてもものすごく冷たい反応をされ、虫けらのように扱われ、僕の大切なアルファ記念日が惨めな敗戦記念日になってしまうのではないかと。
しかし予想以上に道行く人は優しかった。半分近く失笑されたが、優しく話を聞いてくれる人もいた。

そのほとんどが、一人街を彷徨い、謎のアンケートを取るヒデヨシへの同情であった。

15人目のアンケートを取ったときのことである。

「この寒空の下、一人頑張るヒデヨシに何か応援のメッセージをいただけませんか?」

「私、似顔絵得意なんですよ」

「マジですか!では気持ちイケメンに、ヒデヨシの顔を本人そっくりに描いてください」

「いいですよ〜そっくりに描きますね!」

と言われて、できた似顔絵がこれ。

f:id:hideyoshi1537:20171217224248j:plain

「これ、本当に似てる...?」

「私、髪型を描くのが苦手で...」

髪以外は似てるのかよ!

それから、彼女の鍵アカウントをフォローしていいですかと聞いて、フォロー申請を送ったものの、未だ全く承認される気配はない。

ツイッターのアルファアカウントの立場は、リアルでは限りなく弱いのである。
中身がおっさんである限り。


* * *

寒くなると、トイレが近くなる。
あまりに漏れそうで、西武のトイレを探しに行ったときに、階段に座り込んでいる女の子二人組がいた。

これはチャンスと思い、声をかける。

「すみません。ちょっと...一つだけ、お伺いしたいことがあるのですが」

「笑。なんですか?」

「僕がこっそりやってるツイッターアカウントのフォロワーが30,000人に到達しまして...。
その30,000人のフォロワーを持つツイッタラーはリアルでどれくらい知名度があるかを調べているんです」

「なんですかそれw」

「このアカウント(ヒデヨシのアカウント)を知ってますか?」

「(2人声を揃えて)知らなーい」

「ま、まじすか...」

「(説教おじさんの画面を出して)じゃあ、この人は知ってますか?」

「(2人声を揃えて)知らなーい」

なんてこった。ヒデヨシだけでなく、説教おじさんも負けてしまった。

「じゃあ、二人はどういう人をフォローしているんですか?」

「私たちは歌い手界隈なので」

「う、歌い手界隈?」

「歌い手を応援する」

ヒカキン知ってる?」

「もちろん知ってる」

「あいつ、俺の友達だから」

「(失笑)」

「というのは嘘で」

「知ってました」

「じゃあ何か、歌い手界隈として、裏垢界隈のヒデヨシにメッセージをいただけますか?」

と聞いたときに、書いてくれたメッセージがこれ。


f:id:hideyoshi1537:20171217225753j:plain


YouTuberのましゅうさんを応援しているそうで、宣伝を頼まれました。
ましゅうさんはこちらです。

www.youtube.com


* * *

気温は寒かったが、街の人は暖かかった。
意味不明なアンケートにも笑って答えてくれて、その上図々しく応援のメッセージを頼んでも、快諾してくれた。

f:id:hideyoshi1537:20171217232641j:plain

鼻水をすすりながら声をかけると、風邪を心配してくれる人もいた。

f:id:hideyoshi1537:20171217232658j:plain

ただ、メッセージを書いてくれた人に、

「ついでにフォローしてもいいですか?」

と聞くと全員が、

「いや、フォローはいいです」

「アカウント名は内緒です」

と言った。俺は...無力だ。

しかし、多少の可能性を感じたことも事実だ。
頼み込めばフォローしてくれるかもしれない、という感触である。

もしかすると、ツイッター内で頑張ってネタツイートしてフォロワーを増やすより、センター街でフォロワーを増やしたほうが早いのかもしれない。


* * *


アルファアカウントは脆弱な存在だ。
身バレがきっかけで消えてしまうことも多いし、言いたくても言えないことだってたくさんある。

リアルでの知名度はないし、オフ会にも誘われないし、女子アカウントからのDMも来ない。

でも一つ、これは最近あった実話なんだけど、いいことがあった。

ある男性がメールをくれたのである。


* * *

迷惑をかけてしまっては困るので、要約して内容を紹介します。
(もしDMを抜粋して紹介して良ければ連絡をいただけると嬉しいです...!)

その方は辛い失恋をして、立ち直れないくらいショックだったときに、ヒデヨシのブログを読んで元気づけられたという話をしてくれました。
2016年6月のブログを読んで元気になり、それが元になって良縁に恵まれ、来年入籍することになった、ということです。

こんなに嬉しいことはないですよね。

2016年6月の記事一覧

oreno-yuigon.hatenablog.com

読んでくれた記事はこれかな?
oreno-yuigon.hatenablog.com


ツイッターの小さな箱の中の話であっても、あるいはブログを読んでくれる一部の人の中の話であっても、
自分が発信したものがきっかけで、誰かの人生に良い影響があったなら。

こんなに嬉しいことはないな、と思ったわけです。

「誰かに良い影響を残す」なんて考えるのはおこがましいかもしれないけれど、それでもインターネットに何か良いものを残せたらいいな、残していきたいな、と改めて思いました。


あれ?アンケートの話はどこいった?