大阪府が休業要請に応じないパチンコ屋を公表し、物議を醸しました。
通称「パチンカス」と呼ばれるギャンブル依存症の人たちは「休業していない店舗」にわざわざ県をまたいで遠征し、そこで長蛇の列を作り、大きな問題となっていました。
そんなパチンカスを見て世間の人々は眉をひそめており、ワイドショーでもパチンコ屋問題が取り沙汰されました。
パチンカスを自粛させるために、頭の良い人が色々なことを言っています。
「いまは自粛したほうが経済的にも合理的だから、パチンコに行くのはやめるように説得しよう」
だとか、
「ギャンブル依存症を治すために呼びかけよう」
とか。
いやそういうの、意味ないっす。
僕は元々毎日パチンコ屋に通っていたのでわかるのですが、真っ直ぐにキレイな道を歩んできた「頭の良い人」はパチンカスの思考回路がわかっていません。
あと、一言で「パチンカス」といっても、そこには様々な考えを持った人がいることを理解しなければいけません。
パチンコ屋、通称“ホール”には二種類のカスがいます。
みなさんが想像するような「ギャンブル依存症」の人たちと、期待値を計算してお金を稼ぎに行く「プロ」の人たちです。
たまたま打った台で大当たりしたときのメロディが頭から離れず、もう一度あの刺激が欲しくなってしまい、どうしてもパチンコを打たずにはいられないのが「ギャンブル依存症」の人です。
ギャンブル依存症の人は大当たりした時の興奮が忘れられず、少しでも暇になると、とにかくパチンコのことばかりを考えます。
僕が大学1年生のとき、たまたま打ったパチンコが大当たりしました。
台から大きな音が鳴り、次から次へと吐き出されるパチンコ玉(思えばあの大当たりのピロピロという音がまた病みつきになります)
すぐに箱が満杯になって店員を呼び、新しい箱を持ってきてもらいました。
席の後ろに積み重なる「ドル箱」
興奮し、胸が高鳴り、大当たりが出た興奮冷めやらないままに
「パチンコで大当たり!10万円ゲット!」
と当時の彼女とプリクラを撮ったのを覚えています。
パチンコ依存は「たまたま大当たりして、突然大金を得られた成功体験」から始まります。
特に貧乏だった人、お金のない人は、突然大金を得ることに慣れていません。
僕は月収3万円の貧乏大学生だったので、パチンコで大当たりしたときの興奮は相当なものでした。
社会人になってから支給されたボーナスよりも興奮したといっても間違いではありません。
そうなると、寝ても覚めても「大当たりした時の音楽」が頭から離れなくなってしまうのです。
いま振り返ると異常でした。
パチンコ依存の人はみんな、「勝てるか負けるかわからないギャンブル」にお金を突っ込んでいるわけではありません。
みんな「自分は勝てる」と思ってホールに行っています。
そして膨大な時間を費やし、結局は勝てずにどんどんお金がなくなっていきます。
それでもパチンコに依存してしまうと、大当たりの興奮を求めてホールに行ってしまうのです。
金がなくなればなくなるほど、ホールで「逆転」を求めてしまいます。
ギャンブル依存症をやめさせる方法
行政から見てギャンブル依存のパチンカスを倒す方法は簡単です。
「説得」や「呼びかけ」は意味がありません。
彼らは「勝って大金が入った時の快感」が欲しくてパチンコ屋に行っているのです。
とにかくパチンコに行きたくて行きたくて仕方がない。
そんな気持ちになるのは、「自分にとっての大金」が濡れ手に粟で入ってくるからです。
換金率を下げましょう。
パチンコだったら1玉0.1円。
スロットだったらメダル1枚1円にしましょう。
昔はスロットのメダルが1枚20円で、一日スロットを打ち続けると「万枚」といって、1万枚=20万円稼げたりしていたのですが、換金率が下がるとそういうことができなくなります。
1万枚勝っても1万円にしかならないのであれば、誰もパチンコに依存しません。
「バイトした方がマシだな」と考えます。
労働せずに大金が入るから、依存してしまうのです。
ただのゲーセンにしてしまえばパチンコ屋に行く人は一気に減ります。
逆に言えば、個人がギャンブル依存から抜け出すためにはパチンコ以上に快感を得られる何かに打ち込むか、パチンコの金が「少ない」と思えるくらい稼ぐしかないんじゃないでしょうか。
「打ちに行きたい!」という衝動は、タバコを吸いたい!とか、お酒を飲みたい!と同じです。
「ツイッターを見たい!」とも似ています。
依存症を治すのは本当に大変です。
脳がハックされてしまっているからです。
やはり打ち込める何かを見つけて、依存先をポジティブなものに変えるのがいいと思います。
忘れてはいけない「プロ」の存在
パチンコ屋にいるのはいわゆる「ギャンブル依存症」の人だけではありません。
パチンコ屋には「パチンコ」と「スロット」があるのですが、プロが多いのは「スロット」です。
パチンコは運の要素が強すぎるため、安定して勝つのは難しいからです(釘を読むのは半分オカルトだと思ってます)
逆にスロットは知識があればけっこう勝てます。
「ここから打てば期待値は140%になる」
とか、
「この回転数(レールを回した数)でこれだけ大当たりしているのだから、この台の設定は5で、期待値は110%に違いない」
などと計算しながらお金を投入できるからです。
プロと呼ばれる人はみんな、ホールにある全ての種類の台の特徴と期待値を全て頭に叩き込んでホールを回っています。
そして知識がない人に期待値の低い部分を打たせたり、期待値の判別をやらせて、自分たちは美味しい部分を持っていこうとします。
僕も学生時代、途中から「プロ」を名乗る先輩に弟子入りして、スロプロデビューをして、月に20万くらい稼いでいたのでよくわかります。
「ここでアドリブが効かないやつは勝てねえ」
などと言いながら、勝てる台を見極め、勝てるホールを探し回り、1円でも多く稼ぐために「期待値が100%を超える台」を探します。
プロが「パチンコ屋に休業要請が出た」と聞いたらどう考えるのでしょうか?
彼らは冷静に期待値を計算します。
自分がCOVID-19にかかって重篤化する確率を考え、20代以下であれば
「コロナのリスクよりも稼げるチャンスを掴むべきだろう」
と判断するでしょう。
また、「休業しないホール」には人がたくさん集まることが予想されます。
つまり「プロにとってのカモ」が増えるので、それもまたチャンスと考えます。
そうしてプロスロッターは「ハイエナ」と呼ばれる行為をするためにパチ屋を訪れ、金を稼ぐチャンスを探し回るのです。
プロスロッターにスロットをやめさせる方法
プロを引退させるのも簡単です。
当然、説得したり呼びかけてもプロは絶対に耳を貸しません。
そんなことをしても無駄です。
プロを倒すために必要な施策は。
- スロットの「天井」をなくすこと
- 「連チャン」をなくすこと
- 機械割を最大101%にすること
「天井」というのは「1000回転したら必ず大当たりが出る」みたいなスロットの仕様のことです。
天井があると、「誰かが800回転まで打ってやめた後の台」などを狙う作戦が有効になります。
全てのスロット台で「○○回転から打てば期待値はプラスになる」などと分析されているため、天井がある限りはプロはいなくなりません。
「連チャン」というのは、一度大当たりが出たら連続で大当たりが出る仕様のことです。
仕組みは複雑ですが、「連チャン」することで短時間に大儲けできるようになるのです。
連チャンを禁止しましょう。
最後に、「機械割」というのは、「3万回スロットを回したときの期待値」みたいなもので、要は「ずっと続けていれば最終的に投資した金はこれくらい返ってくる」という目安です。
この機械割が100%を超えているからプロが存在するわけで、スロットを「儲からないただのゲーム」にすればプロは存在できません。
これくらいやれば確実にプロは滅びますし、実際に昔、「4号機」と呼ばれる仕様から「5号機」と呼ばれる仕様に変わったときに似たようなことが起こりました。
パチンコ屋を公表し、休業させるのは短期的には有効ですが、長期的にギャンブル依存症を減らしたいのであれば、このように「パチンカスに寄り添った(笑)」施策が必要です。
まぁ、緊急事態宣言が1ヶ月延び、パチンコ屋の休業期間も延長されるならば、もしかしたらその間にギャンブル依存が解けるかもしれないですね。
ちなみにパチンコに行かなくなったからといってギャンブル的な活動をやめるのは一部だけで、さらなる刺激を求めて仮想通貨やFXに移行する人もかなりいるとは思います。