本を語る

読んだ本について語ります。

『終末のフール』の名言を、世の中が不安定な今こそ読み返したい

『終末のフール』は伊坂幸太郎さんの才能が最も輝いていた時期の短編小説です。いや、「才能が輝いていた」というよりも、伊坂幸太郎さんの作品が個人的にものすごく好きだった時期の作品ですね。 『終末のフール』の舞台は、「8年後に小惑星が落ちてきて地…

中田敦彦さん、YouTube大学で本を絶賛するのを控えめにしてもらえませんか...?

中田敦彦さんには何の恨みもないのですが、私は少し困っています。はじめに断っておきますが、中田敦彦さんは何ひとつ悪くありません。ですが中田さん。 あなたの知らない間に街の本屋に異変が起きているのです。気付いていますか? 最近本屋に中田敦彦さん…

【書評】『強者の流儀』から読み取る、朝倉未来が勝てる理由

「僕は意志が弱く、非常に飽きっぽくて、一つのことをやり通すなんてほとんどできませんでした。そんな僕でも、総合格闘家として成果を上げ、一年未満でチャンネル登録者数70万人を超えるYouTuberになることができた。その背景には、僕なりの様々な工夫や考…

『学力の経済学』に書かれていた「子どもの学力を上げる方法」まとめ

日本の教育では「私は私のやり方で全員一流大学に合格した」みたいな、「個人の体験談」が重んじられがちです。子どもが全員東大医学部に合格した母親や、ビリから慶應大学に合格したギャル、手の甲に安全ピンを刺し栄養ドリンクを一気飲みしながら勉強して…

かつての優良企業はなぜ時代遅れになってしまうのか

かつての優良企業がなぜ時代遅れになってしまうのか、というテーマで記事を書くと、日本企業の古臭い体質や文化、意思決定の遅さ、そしてITに無知な高齢経営者を槍玉に挙げたくなってしまうが、革新的な企業が時代に取り残されてしまうのは日本だけの問題で…

【感想】ヒカキン本 『僕の仕事はYouTube』に学ぶ情報発信のコツ

Kindle unlimitedで『僕の仕事はYouTube』が無料になっていたので読んでみた。 この本は同じユーチューバーのシバターに燃やされたり、ちり紙にもならないとディスられたり、Amazonのレビューでボロクソに書かれていたりと読むのに勇気がいる本ではあるが、…

「トラック一杯分、古書一千万円」司馬遼太郎さんの史料収集術

司馬遼太郎さんが描く歴史小説に影響を受けた人は数知れない。少し前にプロ棋士の藤井聡太さんが小学5年生までに『竜馬がゆく』を全巻読破していたと話題になった。ソフトバンク会長の孫正義さんも若き日に『竜馬がゆく』を読んで青雲の志を抱いた。oreno-yu…

本多静六にお金持ちになる方法を学ぶ

本多静六は慶応2年(1866年)生まれの大学教授である。 「4分の1天引き貯金」で巨額の富を築き、死ぬまでに370冊以上の著書を発表した。本多は「日本の公園の父」とも呼ばれ、数多くの公園の設計を担当した。 有楽町にある日比谷公園も本多の設計である。 本…

積ん読を防ぐ方法|「今、必要な本だけ」を買おう

Amazonの衝動買いで毎月3万円以上、山のように本を買って読まずに放置していた自分がやっと発見した、積ん読をやめる方法を紹介します。

『一度読んだら絶対に忘れない 世界史の教科書』はなぜわかりやすいのか

教養として世界史をちゃんと学んでみようと思い立ち、『一度読んだら絶対に忘れない 世界史の教科書』を読んでいた。読みながらそのわかりやすさに感動し、学習意欲が大いに刺激された。私は大学受験で世界史を選択しておらず、教科書的なものを真面目に読む…

『上級国民/下級国民』を読んだ感想

橘玲先生の新刊『上級国民/下級国民』が面白い。 いつもの「経済的独立」や「ファイナンス」「キャリア論」とは違い、「今、世界で起きていること」を論じている。ツイッターやヤフコメ民を見ていて、「なぜ、この人達はいつも怒っているんだろう?」 「な…

【感想】『転職と副業のかけ算』は会社員の人生を変える本だ

motoさんの『転職と副業のかけ算』は会社員の人生を変えるかもしれない。「個人で稼ぐ力を持て」 「企業に依存しない会社員になれ」というのは、10年以上前からずっと言われてきたことだ。 もしかしたら20年前の就職氷河期から言われていたのかもしれない。…

『鬼滅の刃』は絵が下手でもストーリーが抜群なら超絶面白いことを証明した奇跡の作品である

鬼滅の刃がめちゃくちゃ面白い。 僕はずっと前から鬼滅の刃の存在には気付いていた。気付いていながら無視していたのだ。「絵が下手だ」という理由だけで、この漫画は面白くないだろうと決めつけていた自分を右ストレートでぶん殴りたい。『鬼滅の刃』が面白…

【書評】『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』

人類の歴史に貨幣制度が登場して以来、お金持ちになる方法はたった3つしかない。(1)収入を増やす (2)支出を減らす (3)運用利回りを上げるの3つで、この3つは一行の式に表すことができる。資産形成 = (収入 - 支出) + (資産 × 運用利回り)世の中…

【感想】『時間術大全 人生が本当に変わる「87の時間ワザ」』の内容まとめ

ライフハックの研究ばかりを続け、いつまで経っても人生を向上させられない僕がまた新たな本を見つけた。 新宿の本屋でたまたま見つけた『時間術大全 人生が本当に変わる「87の時間ワザ」』である。 最近は「〜大全」シリーズがやたらと多いが、これはGoog…

【書評】「司馬遼太郎」で学ぶ日本史

『「司馬遼太郎」で学ぶ日本史』を著した磯田道史先生は、2003年に『武士の家計簿』で大ヒットした歴史学者です。 この本からは「司馬小説の読み方」を学ぶことができます。もちろん、『「司馬遼太郎」で学ぶ日本史』を読まずとも司馬遼太郎さんの小説を楽し…

【書評】『トロント最高の医師が教える世界最新の太らないカラダ』の内容まとめ

肥満の原因はカロリーだと信じてきた。 基礎代謝はほぼ一定で、男性は一日1500キロカロリー(kcal)。 出ていくカロリーと入ってくるカロリーを計算して、7200kcal消費すれば脂肪が1kg減るものと思ってきた。高たんぱく質・低脂質は正義で、セブンイレブンの…

【感想】『二月の勝者』で描かれる中学受験の様子がすごかった

「自分は天才」とでも思ってるのか?前哨戦である一月地方入試で『灘』に合格したから?『ラ・サール』が 『渋幕』が受かったから?カン違いも甚だしい。君達が合格できたのは、父親の「経済力」そして、母親の「狂気」 『二月の勝者』1巻より 衝撃的なセリ…

【要約】『昼メシは座って食べるな!』の内容をまとめてみた

野村證券の新入社員全員が読まされるという伝説の『昼メシは座って食べるな!』の内容を5分でわかるように要約しました。

書評『働き方2.0 vs 4.0 不条理な会社人生から自由になれる』

最近はトヨタ自動車社長が「終身雇用を維持するのは難しい」との発言して話題になったり、「老後も生活水準を維持するためには退職までに2000万貯めなければ厳しいよ」と金融庁が発表した報告書が大炎上しました。その他にも経団連の中西宏明会長が「終身雇…

書評『ドイツ人はなぜ、1年に150日休んでも仕事が回るのか』

日本企業の生産性の低さが様々なところで取り上げられ、日本の凋落の最大の原因と取り沙汰されている。 公益財団法人 日本生産性本部『労働生産性の国際比較』によると、2017年の日本の就業1時間あたりの労働生産性は47.5ドルで、OECD加盟36カ国中20位だった…

知能は遺伝するが、そもそも能力の限界値まで努力したのか

橘玲先生の『言ってはいけない』では、進化生物学を根拠に、人間の能力がどれくらい遺伝によって決まるかを論じている。 論理的推論能力の遺伝率は68%、一般知能の遺伝率は77%とされていて、頭の良し悪しの7〜8割は遺伝で説明できるという。かつて3男1女すべ…

【書評】齋藤孝『ネット断ち 毎日の「つながらない1時間」が知性を育む』

本を買うときには二種類のモチベーションがあります。一つは、興味はあるけどまだ知らない何かを学ぶため。 もう一つは、自分と似たような主張を述べる本を読んで自説を強化するためです。齋藤孝先生の『ネット断ち』を購入した動機は後者です。 僕はこれま…

はあちゅうさんの『仮想人生』を読んだ感想

ツイッターで裏アカウントを作る人々の生態を描く『仮想人生』は、ツイッターの世界を第一線でずっと見てきたはあちゅうさんにしか書けない小説だと思う。はあちゅうさんは小説を執筆するにあたって、自身も裏アカウントを作り、ナンパ師の世界を観察し、裏…

『ノルウェイの森』永沢さんの名言まとめ

僕は村上春樹さんの『ノルウェイの森』という小説を時々読み返していて、とりわけ「永沢さん」と呼ばれる登場人物が好きです。彼のセリフはいつ読んでもカッコいいなと思えるものですし、本質的です。改めてひと通り読んでみて、永沢さんの名セリフを抜き出…

大切なことは伝説の受験本が教えてくれた

『超合格術 大学合格のための学習プランと心理テクニック』という勉強法マニアの間でとても有名な本があります。1995年に発売されて以来マニアの間で語り継がれる伝説の勉強本です。著者の有賀悠さんが「二度と受験本は書かない。再販もしない」と宣言したこ…

えらいてんちょうさんの『しょぼい起業で生きていく』読んだ感想

2019年1月初旬にツイッターで脱社畜サロンオーナーに経歴詐称疑惑をぶつけ、大きな話題を呼んでいたのが「えらいてんちょう」こと「えらてん」さんです。実はこれまでえらてんさんの活動をあまり存じ上げてなかったのですが、今回の脱社畜戦争の鮮やかな喧嘩…

絵で見てわかる『山月記』のストーリー

昔々、李徴というものすごく頭の良い美男子がいました。しかし彼は自意識過剰で、自尊心が高く、とにかく自分は特別な人間だと思いこんでいました。彼の才能が評価されて、ちょっといい感じの公務員に任命されたのですが、彼は凡庸な人間で終わるつもりはあ…

金持ち父さんの「キャッシュフロー・クワドラント」の考え方がめちゃくちゃ面白い

年末から読んでいる『金持ち父さん』シリーズの第二弾、『金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント』を読みました。前回は『金持ち父さん 貧乏父さん』を読んで金持ちのお金の流れを学んだのですが、今回の「キャッシュフロー・クワドラント」は自分の…

『ネクスト・ソサエティ』でドラッカーが予言していたこと

世の中には2種類の本があります。一つは、1時間くらいでサクッと読めて、読んだ後は気持ちが高ぶり、自分も成功できそうな気はするけど、後から振り返ると何も残らない本です。読むと簡単に気持ちよくなれるけど、自分を変える力にまでは至らない本は、栄養…