10000時間の法則の誤解と嘘。ただ続けるだけでは意味がないということ




「継続は力なり」ということわざがある。

何事も上達するには継続することが大切であり、継続なくして優れた技能を身に付けることはできない、という意味だ。


僕はこのことわざが大好きで、コツコツと続けることこそが上達の道だと信じている。


一方で、上達するにはただ時間を重ねるだけでは意味がないこともわかっている。

毎日料理を作ってきたおばあちゃんが皆、料理の達人になっているわけではないし、毎日車を運転していたお父さんがF1ドライバーになれるわけでもない。

会社でも同じだろう。


一日10時間。

10年以上働いてきた会社のおっちゃんで、「一流」と呼べる人はどれくらいいるだろうか?


常識的にもわかるように、ただ10000時間過ごすだけでは全く意味がない。


上達するためには「継続」に加えて「上達する意志」を持つことが重要なのだ。


健全な自己否定を繰り返し、


「もっと良くするためにはどうすればいいか」


を問い続けなければならない。


最近読んでいる「残酷すぎる成功法則」という本の一部で、一流になるには10000時間の鍛錬が必要だと書かれていた。


元ネタはマルコム・グラッドウェルの「天才!成功する人々の法則」という本で、一流のバイオリン奏者とそれ以外の奏者を区別するのは鍛錬の量である、と紹介されていた記憶がある。


この10000時間の法則がなんだか独り歩きしていて、


「とにかく10000時間を積み重ねれば一流になれる」


というような主張を見ることがたまにあるが、それは誤りである。


「残酷すぎる成功法則」によると、上達には条件がある。

  • 第一条件は情熱を注ぎ、圧倒的な時間を費やすこと
  • 第二の条件は常に自分を改善し続けること
  • 第三の条件は優れたメンターにつくこと


メンターとは師匠のことで、優れた人の多くは自身のキャリアの初めの方で素晴らしい師についていたという。


ここからは僕が考える簡易版・師匠の見つけ方だ。

素晴らしい師匠を見つけて、横で技術を見て学び、吸収できる環境はとても恵まれている。

そんな環境が手に入ったらどれだけ素晴らしいことだろうと思うが、現実問題、すぐにそういう環境を手に入れることは難しい。


とりあえず入った会社で運良くメンターに出会えるかなんて、ほとんどが運次第だろう。


一方で、「師匠(仮)」を見つけるだけなら、インターネットを使えば割と簡単にできる。


たとえば、バスケットボールのスキルを上達させたいとする。


今ならYouTubeを開けばいくらでもグッドプレイ集が見つかるから、動画から技を学べばいい。

そして、学んだ技を自分で真似してみる。

できればビデオを撮って、客観的に観察してみる。

観察して、どうやったら動画に近づくことができるか考える。また練習する。


文章を上達させたいなら小説を読んで、ノートに好きな文章を書き留めておくといい。

時々ノートを見返して、自分でブログでも小説でも書いてみる。

好きな作家ならどうやって書くだろうか、と考えながら、少しずつ自分の文章を改善していく。


プログラミングを上達させたいなら、オープンソースを読んで真似してみるのもいいだろう。


インターネットがあるおかげで、自分で探せば師匠になるような対象は「発見」することができるのだ。

もちろん、自分から連絡を取ってみるのもいいだろう。


  1. 手本となるものを見つける
  2. 見つけた手本の真似をする
  3. 真似をした自分を客観的に見つめる
  4. 手本に近づけるにはどうしたらいいかを考える
  5. 手本としたスキルに習熟する
  6. 新たな手本を見て学ぶ

というサイクルを繰り返すことにより、師匠につくのと同じレベルで学習をすすめることができるのではないだろうか。


現実の世界で師匠を見つけるのは大変だ。

運に左右されるし、探すのも一苦労である。


一方で、インターネットを使った師匠探しなら、今すぐにでも始めることができるだろう。


余談になるが、今日は久しぶりにブログを書いた。

久しぶりに長文を書くと勘が鈍っていて、なかなかうまく言葉が出てこない。

こんなところからも、継続の大切さを痛感した。


毎日続けることが大事なのだ。

毎日続けないと、あっという間に感覚が鈍ってくる。


もっと上手な文章を書けるようになりたい。

読んでくれる人を感動させることができるようなストーリーを綴れるようになりたい。


そんな思いを抱きながら、文章を磨く努力をしている。


なんとなく書くのではなく、

「どうしたらもっと読者のためになるか」

「どうしたらもっと読者の心に響く表現ができるか」

を考えながら10000時間以上の時間を費やすことで、ブロガーとしても成長できると信じているのだ。

残酷すぎる成功法則

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