「後で読む本」は結局読まない。積ん読の予防と対策を考える



私の部屋には本棚が8つほどある。
カラーボックスのようなものを含めるともう少し増えるが、本に囲まれた部屋であるといってもいいだろう。

パーキンソンの第1法則では、

「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」

と言われているが、本棚も買えば買うだけ本で埋めたくなってしまうものなのかもしれない。

本棚を増設してもすぐにAmazonから本が届き、そのスペースを埋めていく。


Amazonで気軽に本が買える時代である。


「こんな話に興味がある」

と思ったらすぐにAmazonの検索窓にキーワードを打ち込み、気になる本は迷わずに買ってきた。


ツイッターで何者かが

「この本は最高」

みたいにオススメしているのを見た瞬間、アマゾンで本を買うよう心がけてきた。

また、興味ある分野の本はまとめて買うようにしていた。


社会人になると当然ではあるが、学生時代に比べて収入は増える。

増えた収入の多くを書籍に費やしてきた。
だからといって、知識が増えたわけではない。

本を買う量が増えたとしても、自分の処理能力には限界があるからだ。

本を3冊並べて読むことはできないし、仮に並べて読んだとしても効率が落ちるだけだ。
私たちは一度に一冊ずつしか本は読めない。

本棚に並べた本は自分の知識ではない。
人間は本を買うだけでは賢くならない。


「本代をケチってはいけない」とよく言われる。全くもって異論はない。

しかし無闇矢鱈に本を買うと、

「あれも読まなきゃ、これも読まなきゃ」

と迷ってしまい、日々脳のリソースが奪われる。

目の前に選択肢が多すぎると、意思決定に消耗してしまうのだ。


「あれもこれも」と意識が散漫になると集中力も削がれ、結局どの一冊も読み終えることもできなくなってしまう。


シングルタスクこそが、生産性を上げるコツだ。

大量の本を購入して、「あれもこれも読みたい」という風に意識をマルチタスク状態にしてしまうと、結局何をやっていいのかわからなくなる。

というわけで、毎度のことながら本を売ることにした。


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段ボールに詰め込まれた本

写真では3箱分になっている段ボールは現在は少し増え、最終的には4〜5箱分ほど放出する予定だ。


これらはネットの古本屋とかブックオフに売るわけではなく、Amazonに出品する。

ブックオフやネットの古本屋に本を売っても売却額は購入額の10%以下にしかならないが、Amazonで売れば50〜70%程度になることが多い。

oreno-yuigon.hatenablog.com

ただ残念ながら、段ボールにただ詰めて送ればOKという話ではなく、「Amazon Seller Centralに売りたい商品を登録する作業」や「本を透明のシートで包む作業」などが必要となり、これらにはそこそこの時間を取られる。


Amazonで売れば本代を回収できるといって、調子に乗って大量に本を買ってしまうと、今度は本を売る手間がかかってしまう。

書籍代をケチらず、貪欲に知識を吸収するのは知識社会を生きる上でとても大切だ。

しかしながら、「書籍代をケチらない」が強迫観念もとい宗教のようになってしまい、何でもかんでも衝動買いしていたら頭のリソースが追いつかない。

以下では、私がこれまで何十万いや何百万を費やして積み重ねてきた失敗パターンをまとめてみたい。

「こういうきっかけで買った本は本棚に眠りやすい」

という事例集である。

ツイッターがきっかけで衝動買いしても読まない

ツイッターを眺めていると、色々な人が

「この本は本当におすすめ」
「私が大切にした1冊」
「何度も繰り返し読んだ良書」

みたいに本を薦めているのが目に入ってくる。

そういう、なんかすごそうな人がお薦めしているのを見るとつい衝動買いしてしまいがちだ。

みんなもそういう経験、あったと思う。

ここでみんなに聞きたい。


その本、読んだ?


ツイッターで誰かが薦めてた本を買って、とりあえず本棚に並べて、その本、読んだ?

僕はもう何年も衝動買いを続けているけれど、ツイッターで衝動買いした本の未読率は他と比べて明らかに高い。

「自分に必要だから」買う本に比べて、誰かにプッシュされて受動的に買う本は優先度が低くなるからだ。

“今”自分の興味があるもの、“今”必要な情報、“今”読みたいものでないと、積ん読したまま読まずに何年も放置してしまう。

プッシュされた本は一旦無視しよう。

Amazonの欲しい物リストだとか、手帳にメモしておき、自分に必要になったときに買えばいい。

ちなみに見知らぬ誰かがお薦めしていた本が必要になるタイミングはほとんど来ない。

見知らぬ他人を無視することで視野が狭くなってしまうのを恐れている人は、自分に余裕ができて、「何か新しい本を読みたいな」と思ったタイミングで初めて本を買えばいいだけのこと。

「とりあえず買っとこ」

で衝動買いした本はまず読まないから、「後で読む」つもりで本を買うのではなく、「後で買う」つもりでメモして一旦忘れよう。

10分立ち読みしてから1冊だけ買おう

Amazonで目次や本の概要を見て、

「なんか良さそうだな」

と思って買った本。家に届いてから読み進めてみると

「なんだこれ、超わかりづらくね?」

みたいに不満を持ったことが何度もある。

「本が自分に合わない」のは、今の自分にとって難易度が高すぎる場合や低すぎる場合、著者の書き方が悪い場合など色々とあるが、頭に入ってこない本に時間を費やすのは無駄が多い。

その無駄に「買って初めて気付く」のはちょっと辛い。

本屋に行こう。

私の経験上、「合わないかも」は9割方、本を開いて最初の30分以内に訪れる。
10分でもじっくりと立ち読みすれば、自分に合うか合わないかはかなりの確度で判別できるはずだ。

Amazonでの衝動買いをやめて、本屋に行こう。
ただ小説は10分立ち読みしても意味がないので、さっさと買ってしまっていい。


編集者が勝手に書いた「ネタの使い回し本」は避ける

前からあったのかもしれないが、有名人の名前を使って編集者が勝手に本を書いて、勝手に本を出すパターンが多い。

このパターンの本は著者のメルマガの内容をまとめたものであったり、二匹目のドジョウを狙ったものであったり、過去の著作のまとめだったりでオリジナリティがなく、文章も無難で個性がなく、退屈なものが多い。

商魂たくましいのは構わないが、そういう本はほぼ例外なく行間が多く、内容が薄く、過去の著作物と内容が重なっている。

たとえば私は橘玲先生が好きで、著作はほぼ全て購入しているのだが、『人生は攻略できる 君たちはこれからどう生きるか?』には少々がっかりした。

本の内容のほぼ全てが、それまでの著作の焼き回しのようなものだったからだ。

本のあとがきで、

「本書は、ライター大隈光彦さんによるインタビューにもとづいている」

と書いてあった。

おそらくはライターが橘玲先生の著作を読み込んで、その内容をまとめて出版したのだろう。


編集者が本を書いて出版する事例は相当多いと思われるが、同じような内容の使い回しになっているのが特徴だ。

そうやって劣化コピーのような本を有名人の名前で売っていく手法を否定はしない。
だが長期的には読書愛好家の信用を失っていくことになるだろう。

顧客の信頼なきビジネスは長期的には発展しない。
「著者のネームバリューで売れればいい」と安易に考えている編集者はよく考えるべきだろう。

「〜の教科書」を警戒する

本屋に行くと、最近露骨に「〜の教科書」というタイトルの本が増えている。
どの分野も教科書ばっかりなのだ。

それで、「教科書だから大丈夫だろ」と思って安心して買ってみると、教科書という割にはショボい本がけっこうある。

初心者向けの情報をざっくりまとめただけの教科書が最近すごく多い。
「教科書」というタイトルに安心することなく、実物を見て購入しよう。

「〜入門」だからといってわかりやすいわけではない

「〜入門」とタイトルにつく本の中には「ただ簡単なだけで内容が薄い本」も多い。
たとえばプログラミングを勉強しようとすると、ありとあらゆる技術の入門書に「掌田津耶乃」という人物が登場する。

流行っている技術のチュートリアルをまとめたような内容を「入門書」として出しているのだ。

私は掌田津耶乃氏の書籍を5冊以上買ってきたが、一つとして良書と言える本はなかった。
入門書だからといってわかりやすいとは限らず、実際はその分野に入門したばかりで専門性がない人が書いている場合もある。

入門書に必要なのは、「なぜそうなるのか」を丁寧に説明することだ。

検索すれば出てくるような情報を羅列することではなく、情報を体系的にまとめ、そのうえで「なぜそうなるか」を初心者でもわかるように書かなければならない。入門書なので「なぜ」を深く掘り下げる必要はないが、理屈の説明を省略した雑な本が多い。

まぁ、やたらとハイペースで新しい本を出している人の本はだいたい薄くなるので、一つの目安にはなる。
やはり本屋で10分立ち読みして、適当な入門書は買わないようにするのがいい。


ちなみに読み切るのが難しい本やベストセラー本に「〜入門」とつけて売る手法も多く見られる。

たとえば『超入門 失敗の本質』という本では日本軍の『失敗の本質』の内容が端的にまとめられているのかと思いきや、現代のビジネスが主題となっていた。内容が薄いわけではないが、タイトルから期待した内容とはややズレがあった。

他にも『ドラッカー入門』とか『サピエンス全史入門』とか、色んなベストセラーの入門本が売られているが、これらは例外なく原著を読んだ方が学びが多い。

その名著は本当に読むのか

「古典的名著」と呼ばれる本はたくさんある。

「ビジネスマンなら一度は読んでおきたい」とよく言われる。

『イノベーションのジレンマ』だとか、『マンキュー経済学』だとか、あるいは『利己的な遺伝子』だとか。

パッと本棚を見て目についた本を並べてみたが、他にもベストセラーとなった本だとか、有名な本が色々と本棚に眠っている。

私と同じように、「名著だから」という理由で衝動的に本を買ってしまった人はいるのではなかろうか。

そして名著の名著たる所以なのか、名著は分厚い本が多い。
それゆえに読み始めるのに気持ち的な準備が必要で、読み終えるためには時間的な余裕が必要だ。

本棚に名著がたくさんあっても全てを読み切るような余裕はなかなかできず、結果としてせっかくの名著がただの飾りになってしまう。

名著を買いたくなる衝動を堪らえよう。


自分に学ばなければいけない何かがあって、そのときになって初めて名著を読めばいい。

「名著だから」という短絡的な理由で本を買っても、たぶん読まない。
読まなければならない理由がないと、私たちはいちいち時間を取ったりしないのだ。

薄い本症候群

「あれもこれも」と大量の本を買って積ん読していると、「一冊をじっくり読む暇がない」と思えてくる。
次から次へと本が届いてしまうと、上に書いた名著のような重厚な本をじっくり読み込む余裕がなくなるのだ。

そうすると、大変そうな本は後回しにしてしまいがちだ。

時間が取れない焦りから「読みやすくて簡単な本」ばかり読むようになり、結果として「焼き回しのビジネス書ばかり読んでいるペラペラ人間」になってしまう恐れがある。

「読まなければいけない本」を優先順位をつけて絞り込み、一番読みたい本あるいは一番読まなければならない本から順番に読んでいくのがいい。

やらなければいけないことを絞り込む段階で頭を使えば、何事も時間を無駄にせずに済む。