俺の遺言を聴いてほしい

これは俺の遺言だ。

「横浜でおすすめのデートプランは何ですか?」と恋愛の達人に聞いてみた。




「デートは事前の準備でだいたいのことは決まる。

服装や歯磨きをおろそかにしてはいけない。
スムーズなエスコート、店に着くまでのトーク、部屋の掃除。

すべて、事前に準備しておくんだ。そこで7割決まる」

彼は事前準備の大切さを説いた。

すべてにおいて、事前準備は大切だ。
ナンパにおいても、デートにおいても、あるいは、人生においても。


準備によって、結果は大きく変わる。
僕は昨日、デートのための準備を怠った。

しょうもない服装に、しょうもない靴。
一度も行ったことのない店。慣れない横浜の街。

すべてが準備すれば防げることなのに、それを怠った。

なぜなら...、大変申し訳無いけれど、デートの相手がかわいくないと思っていたからだ。


ネットでの出会いは写真よりも可愛くないことがほとんどだ。

しかし、ごくたまに、写真を超える強者が現れる。


昨日会った子は、いいね数が100ちょっとというそんなに熱い案件ではないと思っていた。

でも、待ち合わせ場所に現れたのは、先週会ったいいね800超の案件よりもはるかにかわいい子だった。

僕は、自分の手抜き具合を恥じた。
最初は動揺して、トークが冴えなかった。

なんて...可愛いんだ...!

僕は恐怖に震えた。

自信とは、周到な準備と実績から作られる。
少しでも自分に負い目があると、自信のある振る舞いが自然にできなくなることが多い。

というか、モテたこともないのに、自信など持てるはずがないではないか!

それでも、僕たちはいつだって、

「今の自分は自分ができる限り最高だ」

という確信を持ってデートに挑むことが肝心なのだ。

ぎこちないながらも、酔いも手伝って、調子がよくなってきた。

一軒目の店を出る頃にはなんと、自然と二人で手をつなぐことができた。
そして二人で一つの傘をさしていた。

僕は息を呑み、こう言った。

「ボジョレー買ったんだ。今年のは過去最高の出来らしいから、軽く飲んでいこっか」


家に誘うときは、誘い方云々よりも、一軒目のデートでどれだけ信頼関係を築けるかどうかが問題だ。

僕の誘いはすんなりと受け入れられた。

ボジョレーは美味しかった。
彼女はとても美人で、だからこそ、一緒に飲むお酒は美味しかった。

散々飲んで、気付いたら僕は家で潰れて眠ってしまい、彼女はいなくなっていた。

僕は恋愛の達人にLINEした。

「準備よりも大事なのは、飲み過ぎないことです」

彼は何事もなかったかのように、僕のLINEを既読スルーした。

彼を信じて大丈夫なのだろうか?