KEYのセリフが刺さりすぎてもはやドラマ化待ったなし!「東京タラレバ娘 3巻」読んで泣いた。



東京タラレバ娘に出てくるKEYという若造が吐いたセリフが胸に染みて涙が止まらない。


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東京タラレバ娘 3巻より

脚本家をやってる倫子は仕事で干され気味だった。
しかし、ひょんなことがきっかけでチャンスが舞い込んでくる。

今進めているドラマの脚本を担当している人が入院してしまったのである。
そこで、代理として脚本を描いてほしいとプロデューサーから頼まれる。

いきなりのことである。

倫子は前担当者が描いた、慣れない展開の脚本に戸惑いつつも、主演のKEYに対して、

「絶対成功させる。このピンチをチャンスに変えてみせる」

と意気込む。

でも あたしだって
プロの意地があるわ

絶対に面白い脚本にしてみせる

路線は変わってもあたしのやりかたで やらせて貰うわ

そして

このピンチをチャンスに変えてみせる。

そんな倫子に対してKEYが吐いたセリフがこれである。


いや、あんたらの歳だとチャンスがピンチなんだよ。

ピンチがチャンスなのは若いうちだけ

新人じゃないんだから結果出せて当たり前

ピンチヒッターが空振りしたら無能扱い

ピンチヒッターがベテランであればあるほど


スタメン落ち
戦力外通告
契約解除


分かるか?


うるせぇ!

若者よ。オッサンをナメるなよ。



もし俺が学生のときにこの漫画を読んでいたなら、こんなセリフは何も響くことはなかっただろう。

その気になれば総理大臣にすらなれると思ってた高校時代。
ありとあらゆる可能性があると思ってた大学時代。


その可能性の扉が、時の流れと共に、徐々に、徐々に閉じていくのを感じる。


お・・・オッサンを・・・ナメるなよ・・・



ピンチがチャンスなのは若いうちだけ。

新人じゃないんだから、結果出せて当たり前。


このセリフが重く響くのは、自分がオッサンになってしまったからだ。


時間(とき)は努力する男の味方であり、怠惰な男と、女の敵なのである。


チャレンジして失敗して、よく頑張ったねで済まされるのは若いうちだけ。
若いと言われるのは25歳まで。


タラレバ娘は例外を語らない。
巷にあふれる自己啓発本と真逆の主張を説く。


「あなたには無限の可能性がある」

「願えばどんなことも叶う」

「一歩一歩努力すれば何にでもなれる」

「遅すぎることなんてない」


本屋に平積みされる自己啓発本はだいたいどれも、上に書いたような可能性を語る。
自己啓発本を読む人は誰も現実なんて見たくないのだ。

しかし、実際そのような本で語られる人間は0.1%の例外で、多くの人間は例外にはなれない。
無限の可能性があるのは高校までで、だんだんとその人の積み重ねた次第で、可能性は小さくなってくる。


俺の可能性は、今にも消え入りそうな、風前の灯のようだ。
落ちる寸前の線香花火だ。


それでも、オッサンがかろうじて希望を持てたのは、「何者かになれる可能性」がわずかでもあると信じていたからだ。

しかし、タラレバ娘こと作者の東村アキコは、線香花火を持つ手を蹴飛ばし、かすかに灯るロウソクの火を吹き消した。


オッサンよ。刮目せよ。これが現実である。



その他にも名言・名シーンが散りばめられている。

香というタラレバ娘2号機のような奴が、出世した元カレのセフレとなっていた。
そんな現実に気付きつつも身体の関係を続けている最中・・・。

香!!

ヤバイ!!
彼女が帰ってくる!!

ピアスとか指輪とか落としてないよな!?

よし オレ今からコロコロかけて髪の毛アレしないと

じゃ!!


バタン。


追い出されたーーー!

嗚呼哀しいかな。2番目の現実。

2番目は、いつでも切れるから2番目なんだよ。

つまり、2番目はどう頑張っても幸せになれない。
割り切ってるならいいが、本気になったら基本的に悲しい結末に終わる。

なぜなら、二番目である以上、いつでも切り捨て可能、代替可能な存在でしかないからだ。

ただし、二番目で都合の良い位置を維持しつつ、最後に逆転するレアケースもあるらしい。
藤沢数希さんが恋愛工学メルマガのどっかの回で言ってた。
女の二番目戦略って。

俺は二番目が一番に昇格することはそんなにないと思うんだけど。
逆に言うと、昇格可能性がある人は、最初っからもうほぼ一番になってる。


自分で自分の理想をアゲてアゲて

恋も仕事も期待度をアゲまくって

気がつけばその歳タラ


いつか高校生みたいに非モテコミットできる女の子が現れて。
その子がビックリするくらい理想の女の子で。
自分のことすごく好いてくれて、可愛くてエロくて一緒にいるだけで超幸せな気分になって。


「恋愛活動を続けていれば、いつかそんな子にいつか出会える」と意気込む俺をぶちのめす言葉ですな!


理想を上げて、期待度上げまくって、もっといい人いるって言いながらいつの間にかジジイになってしまうのは避けたい。

ババアも同じだぞ!
お前らも俺と同じだ!
選り好みしてんじゃねぇ!


彼の年収がもっと高かったらすぐ結婚したのに?
彼がもっと尽くしてくれたらいいのに?


贅沢言ってんじゃねぇ!
目の前の幸せを大切にするんだよ!


生き遅れれば生き遅れるほど、お前の理想は高くなる。
しかし、お前の恋愛市場の価値は生き遅れれば生き遅れるほど、低くなる。

闇金ウシジマくんという漫画に素晴らしい名言がある。
これを心に刻んでおくと、きっといいことがある。

女は最初にアイテムがそろってて、年を取るごとにアイテムが減っていく。

男は逆に年を取りながらアイテムを増やしていく。


実際は、男だってそんな簡単にアイテムが増えるわけでもなく、


努力とチャレンジを惜しまなかった男は年を取るごとにアイテムを増やしていく。
その他は男も女もアイテムが減っていく。女はそのスピードが早いだけ。


というのが現実だろう。


幸せになれないってことは

私達にとって

死ぬのと同じ


「幸せ」という概念は掴みづらい。
「自分がどうなったら幸せなのか」というのは、自分が幸せになってから後付けで感じるものだからだ。

「幸せな状態」にあって、ふと客観的に自分を見つめたときに「あぁ、今、おれ幸せだな」と感じるものだろう。
達成すべき目標のように、具体的なタスクとして「幸せになるためのステップ」が存在するわけではない。


幸せは主観で、自分の心の中で感じるものだからだ。


一方、どんな状態が「不幸せか」を想像するのは簡単だ。


飯に困り、住むところに困り、怖い上司に毎日怒られ、満員電車にすし詰めにされ、鬼嫁にディスられ、嫌だなと思いながら仕事に行くような人生はきっと不幸だ。

こうやって「不幸」を列挙して気付いたのは、幸・不幸の多くは「他者との関係」において作られるということだ。

たとえば、すごくオシャレで良いマンションに住んでいたとしても、毎日上司に怒られたり、嫁にディスられまくる人生は不幸だろう。


タワーマンションに住んでたって、誰も遊びに来なかったら虚しくなるかもしれない。
うまい飯を食ったときはたしかに幸せかもしれないが、その美味しさを他の人と共有できたら、もっと幸せだろう。


幸福はモノよりもヒトに依存するのである。


だから、月並みな言い方だけど、倫子(とタラレバ息子である俺)が胸に秘めておくべき教訓は、このようになる。


人間を大切にしましょう。
なぜなら、幸せは人が与えてくれるものだから。



それにしても、幸せになれないってことは死ぬことと同じってずいぶん言い切ったな。
暗い時代が続くと、ちょっとしたことが幸せに感じたりもするんだけどな。


受験勉強から開放された後のちょっとしたお喋りが楽しかったように。


時代は移り変わる

それは私達が考えるより速く

目まぐるしく

容赦なく残酷に

二十歳の頃は私達が考えてることが 一番新しかった

年上の人たちはいつも

私達を見て驚いたり感心したり

でも私達って もう新しくもなんともないんだな


タラレバ娘の3巻は、アラサー女をディスるのではなく、普通のオッサンの胸もエグってくる。

このセリフを読んで真っ先に思い浮かべたのはソニーだ。

ソニーのおっちゃんには、今でもウォークマンのことを語る人がいるという。

しかし、私達って新しくもなんともないのである。

倫子が言ってるのは「若ければ感心される」ということで、全然話は違うけども。

時代はすぐに移り変わり、ちょっと前に新しかったことが古いものとして扱われたりもする。

常にアンテナを立てて、時代にキャッチアップしていかねば。

もうタラレバ娘の感想とは大きくかけ離れてしまったけれど、普通にオッサンのケツを蹴っ飛ばすくらいの衝撃的な漫画であった。


※Kindle版

東京タラレバ娘(3)

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※単行本版

東京タラレバ娘(3) (KC KISS)

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