女遊びを嗜む者の間では割と有名なテクニックに
コールドリーディング
という技がある。
男とデートしているときに、
「君はいつも恋したい恋愛体質って言ってたけど、時々休みたくなることもあるんじゃない?」
と言われたことはないだろうか?
あるいは、
「いつも仕事頑張ってて、周りに気を遣って。
本当に君のこと尊敬してる。
でも、○○ちゃん、甘えるのとかはすごく苦手そうだよね」
なんて言われたことはないだろうか?
コールドリーディングは誰にでも当てはまるようなことを自信満々に言って、
あたかも「本心を分かってくれてる」かのように思い込ませる技術のことである。
「君は自信があるように振る舞っているけど、たまに不安になることもあるやろ?」
とか。
文字にすると
「いや、そりゃそうやろ!」
と突っ込むことができるが、お酒が入って暗い雰囲気の中、自信満々で言われると
「そ、そうかもしれない...!この人...僕のこと、わかってくれてる!」
と思ってしまうものなのである。
ツイッターで田端信太郎さんとサウザーさんが面白い企画を進めている。
Voicyのカリスマ二人が、
「悩める美女たちの相談に答えて、どちらの回答が納得いくものか多数決で勝負する」
という企画だ。
僕はこの「シン vs サウザー」の第一戦を通勤電車で聴きながら、不覚にも涙を流してしまった。
サウザーさんの技があまりにも綺麗にキマっていたからである。
『ストリートファイター』という非常に有名な格闘ゲームがある。
そのストリートファイターの世界大会で伝説となった試合がこれである。
僕は「シン vs サウザー」第一戦のサウザーさんの回答を聴きながら、このストリートファイターの伝説の試合を思い出した。
誰もが知っている技を、こんなにも綺麗に、美しくキメる人がいるのかと。
これが世紀末対決のVoicyなので、まだ聴いていない人は聴いてみてほしい。
* * *
「生きることのモチベーションが湧かない」
という相談に対してサウザーさんはまず、相手に寄り添っていることを示す。
「あなたのことはよくわかってるんだよ」
と。
事前に相手のことをよく研究し、理解した上での必殺技である。
「小さい頃から親の期待に応える日々だったんじゃないですか?」
ここですね、僕がグッときたのは。
偏差値の高い大学に入るような努力家の方は99%、親の期待に応えてきたに違いない。
おそらくサウザーさんは事前の研究で、
「隠遁人妻さんには最初からこの手札を出す」
と決めていて、それがビタッと決まった瞬間だったのではないだろうか。
ストリートファイターで言えば、「波動拳」を決めた瞬間である。
それからサウザーコンボが続いていく。
「ずっと頑張ってきた人生でしょ?」
「はい。そうです。おっしゃる通りです」
この「おっしゃる通りです」を聴いた瞬間、僕はサウザーさんの勝利を確信し、同時に涙が出てきた。
波動拳からの竜巻旋風脚が決まった瞬間である。
これも女遊びを嗜む者の間ではよく使われる
「イエスセット」
という技で、女の子が「イエス」と答えやすい質問を連続で投げかけることで、イエスの連鎖を作っていく技術だ。
何度も「はい」「はい」と同意していくと、そこに一貫性の法則が働いて、続く質問で「NO」と答えにくくなる。
相手の質問に「イエス」と答え続けていくうちに、相手そのものを肯定的に捉えるようになってくる、という技術である。
正直、サウザーさんがどこまで計算して技を繰り出していたかはわからない。
でも僕はこの「コールドリーディング」からの「イエスセット」の美しい流れを聴きながら、
格闘ゲームの美しいコンボが決まったかのように錯覚したのだ。
それほど美しい勝利だった。
【追記】
サウザーさんが駆使した技はコールドリーディングではなく「ホットリーディング」というそうです。
知らなかった!
訂正してお詫びいたします。
サウザーさんが用いた技法はコールドリーディングじゃなくてホットリーディング。技の呼び名はどうでもいいけど、せっかくお会いする方のことを事前に知って良い関係を築こうとするのは、ネット時代のスタンダードマナーかと。 pic.twitter.com/fVsl8sTD77
— スーパーサイヤ (@ri_supersaiyan) May 17, 2018
* * *
そしてこの記事を書いている間に、第二戦の様子がupされてしまった。
第二戦は「シン & サウザー」 vs マドカ・ジャスミンである。
第二戦はシンの南斗獄屠拳が見事にキマった回で、サウザーさんも負けずに剛掌波を繰り出す熱い闘いが繰り広げられた。
このVoicy、朝の通勤の楽しみにしていたのに、最近我慢できずにほぼリアルタイムで聴いてしまっている。
なんだか日曜日にたまたま『少年ジャンプ』を見つけてさっさと読んでしまったときのような、そんなもったいない気持ちになっている。
今から第三戦が楽しみになってしまってるあたり、やっぱり田端のシンさんの企画力はすげえなあと思うのであった。