受験では参考書をたくさん買うより一冊の問題集を繰り返す方がよい




山のような参考書の写真と共に

「東大はこれだけやっても受からないところなんです」

とツイートしていた方が話題になりました。

f:id:hideyoshi1537:20190321223324j:plain

その方のツイートを見て、東大は本当に難しいんだな、大変なんだなと考えたのですが、周りの反応を見て冷静になりました。



東大卒エリート商社マンの鳥木さんのツイートです。

そうでした。
参考書や問題集を大量に買ったとしても、それが身についているとは限らないのです。


思えば僕も大学受験時代は参考書マニアとも言えるくらい、色々な本を買いまくっていました。

その量たるや「参考書と問題集の図書館」ができてもおかしくないほどで、気になった本は親に頼んでとりあえず買ってもらっていたような状態でした。
参考書を買ってもらって、ちょっと読んではすぐに別の本に浮気して、女をつまみ食いする悪い大学生のように色んな参考書を食い散らかしていました。

その頃の写真は残っていませんが、おそらく積み重ねたら天井に届くほどの本の山ができていたことでしょう。

結果、どうだったか?

全く成績は上がりませんでした。
当たり前です。

参考書をいくら買っても実力にはならないのです。

「これだけやった」と本を積み上げる人がいても、「これだけやった」の基準は人によってまちまちです。

10回以上繰り返し読んで、その本のどの部分も空で言えるレベルを「これだけやった」という人と、
全然頭に入っていないのに「これだけやった」という人では全く重みが違います。

参考書マニアはみんな後者で、本を買って積み上げることに満足して、繰り返すことを知りません。

人間の脳は生命の維持に重要なことは忘れるようにできているので、何度も復習しなければ頭に入りません。
頭に入っていないことは試験中に思い出せないので、得点につながりません。

大事なのは、一冊の本を何度も繰り返すことだったのです。
そして参考書を積み重ねるよりも、問題を何度も繰り返し解いて、実際に試験に出る形で理解することが大事なのでした。

たいした試験に受かってもいない僕が言っても説得力がなくて申し訳ないのですが、凡人が参考書マニアになってしまうと本当に身を滅ぼすのでやめたほうがいいです。
本を買ったことに満足して、肝心の内容は全然身に付きません。

渾身の一冊選んで10回繰り返した方が絶対良いです。

なぜ本を大量に買ってしまうのか

僕は今でも大量に本を買ってしまうので、大量に参考書を買ってしまう人の気持ちがよくわかります。
痛いほどわかります。

僕と同じ参考書マニアの人たちに訊きたい。


参考書を買ったら賢くなった気がしてませんか?
問題集を本棚に集めたら、知識が増えたように感じてませんか?


頭の中に入れなければ意味がないのに、買っただけで強くなれた気がしてしまうのです。
昔、「涙の数だけ強くなれるよ」と歌った歌手がいましたが、参考書マニアにとっては「書籍の数だけ強くなれるよ」なんです。

成長欲求の強く負けず嫌いな人ほど参考書マニアに陥ってしまう傾向が強いと思います。
「人よりもたくさんやった」と信じることで、不安を解消するからです。

誰かがおすすめしていた参考書があればとりあえず買い、本棚に並べたら安心感を得る。
その繰り返しです。

人間の能力はそこまで高くないし、受験勉強用の問題集や専門書はビジネス書と違ってサクッと読んで済ませることができません。
手を動かしながらじっくり読んで、繰り返しながら理解を深めていくものです。

なので、たくさん買っても結局は消化不良になってしまい、労力をかけた割に何も身に付かずに終わってしまうのです。


社会人の勉強も量より質

社会人になって給料が入るようになって、一時は治まっていた参考書マニア病が再発しました。
給料があるから大丈夫!と次から次へとアマゾンで本を買い、読みきれないまま抱えている本が大量にあります。

たとえば最近だと、統計学の勉強をしたいと考えて、アマゾンで良さそうな本を片っ端から買いました。
買った本の量だけ見れば完全に学者です。統計マスターです。

でも実態はたぶん、統計3級も受からないただの書籍マニアです。
こんな風に一冊も終わらせられないのに次から次へと本を買ってしまうのは、本を集めて賢くなったつもりになっているのに加え、

「焦って近道を探してしまっているから」

です。

「この本を読めばもっと早く知識を身につけられるんじゃないか」

「次に買う一冊は魔法のように自分を変えてくれる一冊なんじゃないか」

などと期待しながら本を買いまくり、結局魔法なんて存在せず、一冊もモノにできずに本棚が埋まっていってしまうのです。


自分の失敗を振り返り、今改めて考えると、知識を身につけるための唯一の魔法って、

「これだと決めた良書を何度も繰り返すこと」

なんじゃないかって思うんです。

一度読んで理解できなくても、繰り返していくうちに点と点がつながって理解が進むことがある。
それこそ、魔法みたいに。

一度読んだときはものすごく時間がかかっても、繰り返していくうちに一冊をあっという間に読み切ることができるようになる。
それこそ、魔法みたいに。

だから僕たち参考書マニアに必要なのは、本を買わない勇気と、一冊の本を選び取る勇気だったんです。

社会人はカンニングし放題

大学受験や資格試験と違って社会人は「カンニングし放題」という面はあります。
Googleを味方につけて、いつでも検索することができるからです

だから読んだ本の内容を完全に記憶はしていなくても、理解しておけば正確な情報はGoogleから引っ張って来ることができます。
会社内の資料も調べ放題です。

「あとで調べたらいいや」という気持ちで、幅広く知識を吸収するのもありかもしれません。

ただ、Googleに頼りすぎるのは落とし穴もあると思っています。
第一に、Googleは「知らないこと」「理解していないこと」を調べるのに全く向いていません。

検索してヒットして出てくるのは断片的な情報で、体系的にまとめられたものはとても少ないのです。
アウトプットが求められるビジネス現場で悠長に検索しながら勉強する時間はなかなか取れないはずなので、どこかで書籍を使って必要な知識をまとめて学ぶ必要があります。

第二に、Googleで検索するよりも、自分の脳内から情報を引っ張ってきた方が圧倒的に早いです。
社会人のアウトプットのスピードを上げる要素は「知識量」だけには限りませんが、「調べなくても頭の中の情報で大丈夫」にしておけばアウトプットがすごく早く進みます。
調べるのに10分かかるものが、頭に入っていれば10秒で済むからです。積み重なれば大きな差になります。

「Googleがあるから大丈夫」と油断するのではなく、常日頃から「使える引き出し」を準備しておくことが大切です。

最後に、仕事では答えがないことを自分の頭で考えなければいけない場面の方が多いため、受験生気分で仕事をしていると、
「答えがわかんねぇよ、なんなんだよ」
と混乱しがちです。

僕が会社に入りたての頃は
「学んだこともない」
「答えがあるかもわからない」
というか、「問題自体も自分で見つけなければいけない」みたいな状況にひどく困惑した記憶があります。

勉強すれば結果につながる受験生と違って、社会人は問題自体があやふやなことも多く、また答えが一つに定まらないことも多いので、完璧を目指す受験時代ではありえない「70%くらいでとりあえず出しとけ」的な精神も地味に大事になります。