資格マニア、勉強マニアは安全圏でエンジョイしてるだけ



経沢香保子さんのVoicyを聴いていたら、ふと


「資格マニアの人は安全圏でエンジョイしているだけ。そこから一歩深く入って実践に踏み出すのが大事」


というフレーズがあり、身に染みるものがあった。


第148夜 自意識過剰をなおしたい


というのも、僕自身が社会人になってから5年近く、家で勉強ばかりしていて、


「資格試験を取ることこそが大事だ」


と思い込んで日々を過ごしてきたからである。


仕事に関係する資格を順番に取る計画を立てて、資格試験対策本を買い漁り、年に何度も試験を受けた。


そのうちいくつかは合格し、いくつかは落ちて、たまにTOEICも受けて...という、フィギュアを収集するオタクのごとく資格を集めまくろうとしていた。



とにかくあの頃の自分の勉強は


「資格試験対策」


が中心だった。


資格試験を集めて、知識で武装すれば「道は開ける」と信じていた。


一方で残念ながら、本を開き、ノートに用語を書き殴りながら必死に資格試験の勉強をしても、

仕事の能力が上がったと感じたことはほとんどなかった。


理論はとても大切で、学ぶ意味のあるものだが、現場で起こる問題の多くは教科書に答えが載っていない(Googleに載っていることはけっこうある...)


僕たちは教科書に載っていない何らかの価値を生み出して、お客さんに届けなければいけない。


本で学んだ知識はもちろん役には立つが、

道具は説明書を読むだけでは使えるようにならないように、

知識も実践で活かすことこそが大事なのだ。


「資格マニアは安全圏でエンジョイしているだけ」

経沢さんの「安全圏でエンジョイしているだけ」が響いた。

というのも、僕自身が資格試験マニア・勉強マニアで、それ自体はとても楽だったからだ。


何が楽なのか?

  • 課題に明確な範囲があること。
  • 既に問題が用意されていること
  • 用意された答えがあること
  • 結果を出すまでのプロセスがわかりやすいこと


など、とにかく自分の頭でゼロからモノを考える必要がない。

与えられた範囲の問題をコツコツ努力して勉強するだけなので、ある意味楽なのだ。


もちろん、後がない資格試験の勉強が精神的には辛いことはよくわかる。

たしかに資格試験に追われた時期は辛かった。


とはいえ、やっぱり資格は資格。


学生時代は資格勉強に生きるのもいいかもしれないが、

社会に出た後は取った資格ではなく、世の中に生み出した価値で評価されなければいけない。


そういう意味で、「社会に出てからの資格試験勉強」はやはり、安全圏でエンジョイしているだけなのだ。


資格を取ると会社の人に「頭の良い人」扱いされることもあるし、

「頑張っている人」と見なされることも多い。


でも結局は、世の中に価値を生み出す活動に結びつかない限り、資格試験は勉強マニアの砂場遊びのようなものなのだ。


今までたくさん勉強して、良い大学に入って、真面目に生きてきた人ほど、


「資格試験の勉強をすれば幸せになれる」


と思いがちだ。


そして、多くの会社員は「勉強」というと大体、資格試験を思い浮かべる。


「勉強しようか」→「何の資格を取ろうかな」と考える人は本当に多い。


資格試験のマニアだった僕の経験を振り返って、一番勉強になったのは資格試験の勉強をすることではなく、

「学びながら何かを作り、市場で評価されたとき」だった。


「勉強」と「生み出す価値」を結び付けなければ、知識は上滑りして、身にならないと僕は思う。


とにかくこの資本主義の世界では、顧客に価値を生み出すことが大切だ。

生み出した価値を通じて、自分自身も成長するし、実績が積み上がっていくのである。


資格試験は市場と向き合わなくて済む分、気が楽だ。


市場に評価されるよりも、テストの点数で評価される方が安全で、傷つかないからだ。


資格試験を取って良いこともあった

さて、ここまで資格試験を否定気味に話してきたけど、資格試験を取ってよかったこともある。

難しい資格試験に受かれば、周りの評価が変わり、周りの評価が変わることで思わぬチャンスが降ってくることもある。

いわゆる「権威付け」として資格を使うパターンだ。


20代前半までは出身大学や取得資格で評価されることもけっこうあると思うので、資格試験の勉強を頑張るのも悪い選択肢ではないと思う。


それなりに難しい試験に受かったときの自己肯定感の高まりようは相当なものがある。

自分に自信をつけるという意味でも、大学時代はひたすら試験勉強するのもありかもしれない。


これこそが、経沢香保子さんが言う「安全圏でエンジョイする」行為なのかもしれないが...。

会社員は勉強するってだけでも稀少なのでは

世の中には歯を磨くように勉強する人もいれば、家では全く勉強なんてしないという人もいる。


僕の印象では、多くの人は大学に入ると勉強しなくなり、

大学で勉強していた人も、会社に入るとほとんど勉強しなくなる。


日々の仕事で忙しく、家に帰った後は勉強する気力など残っていないのだ。

よっぽど意志が強くないと、通勤電車で勉強を続けることはできないだろう。

ついスマホで遊んでしまい、クタクタになって帰った後でご飯を食べて、風呂に入るともう時間がない。


そんなわけで、たとえ資格試験マニア・勉強マニアが「安全圏でエンジョイするだけ」だとしても、

日々努力しているのであれば、会社員の平均レベルをはるかに上回る人材であることは間違いないだろう。