俺の遺言を聴いてほしい

これは俺の遺言だ。

はてなブログ凍結の原因となった「商標権の侵害」について調べてみた。





「Blog is not found」の文字を見たとき、背筋が凍った。

俺の遺言が、本当に遺言になってしまった...

なんてシャレを言ってる場合ではない。ブログが見れないのである。

2014年11月から書き始めたこのブログには、特別な思い入れがある。
あるときは街角でアンケートを行い、あるときは自腹でユニクロの服を買い集めに行った。

一人も読者がいない時から、毎週ブログを書き続けた。

「どうやったら読者の心に響くだろうか?」

と考えながら、小さな工夫を積み重ねてきた。

僕自身が読者に育てられた面もある。
たくさんの意見を浴びて、たくさんの批判にもさらされた。

それが僕の価値観を育んできた。

鳴かず飛ばずだったこのブログも3年目にしてやっと、花開いたように感じていた。

はてなブログ読者数ランキングで50位以内に入ったのが嬉しかった。
僕のKPIはいつだって、読者の数だったから。

やっとこれから、というときに、ブログが凍った。
息が詰まって、吐き気がした。

石の上にも三年ということわざがあるが、三年目にして石が消えてしまったのである。

僕はどうしたらいいんだ?

原因は、「商標権の侵害」であった。
皮肉にも、「ブログに必要なのは他社への敬意」という記事を書いた翌日に、僕のブログは他人の権利を侵害したことによって、凍結されてしまったのである。



* * *


はてなから届いていたメールに、僕は気付いていなかった。
今回の凍結で、はてなの担当の方は何も悪くない。

一週間前にメールを送り、確認をして、返事を待った上での凍結処理だった。
問題点に対応した後、速やかにブログを再公開させてくれたのもはてなの運営だ。

本当に感謝している。

ありがとうございました。


* * *

さて、ここから説明口調で。

僕は今回大失敗を犯しました。
それでも、失敗をそのままにせず、反省し、そこから学ばなければなりません。

僕は今回の失敗から、「商標権」を学びました。

ブログをやっている人は知っていて損はないかもしれないので、今回の凍結騒ぎの裏で何が起こったのかを紹介したいと思います。


今回問題となったのは、銀座のグッチカフェを紹介した記事です。
記事は慌てて削除したので残っていないのですが、Googleさんのキャッシュからまだすくい上げることができました。

問題となったのはここ。

f:id:hideyoshi1537:20170330215907j:plain

黒塗りで潰した部分です。
この黒塗りの部分には固有名詞が使われています。

食べログのレビューから引用したことからもわかるように、元々は「飲食店の固有名詞」でした。
(権利者の方に迷惑をかけないよう、食べログのURLも黒塗りにしてあります)

この黒塗りの固有名詞が、商標登録されているものだったため、とある会社から「プロバイダ責任制限法に基づく削除申立」があったわけです。

その旨、はてなから連絡を受けていたにも関わらず、僕がメールに気付かず、この削除申し立てについての丸一週間対応を怠ったため、はてな運営の方は止む無く、ブログを非公開にしたというのが今回の騒ぎの顛末です。


ところで、僕が「侵害している」と言われた「商標権」というのは何でしょうか?

商品・サービスにつける「他人の商品・サービスと区別するための目印」のことを「商標」と言います。

そして、「商標権」とは、「商標権者が登録した商標を、指定した商品・指定役務に付けて独占使用できる権利」です。

「指定した商品・指定役務」というのは、どんなサービス(商品)に対して、その商標を適用するか、というものです。

ざっくり言うと、

「CROWN」というブランドの「自動車」はトヨタ自動車様が商標登録してるんだから、他の会社は「CROWN」って車作るんじゃねーぞ!
「CROWN」という車はトヨタのブランドじゃ!

と、トヨタ自動車が独占を宣言できる権利のことです。

これだけだとわかりづらいので、一つ例を見てみましょう。
特許情報プラットフォームで、「ちきりん」というキーワードを検索してみると、伊賀泰代さんが2012年9月14日に「ちきりん」を商標登録したことがわかります。


f:id:hideyoshi1537:20170330220233j:plain


はてなユーザーにわかりやすいように「ちきりん」という例をあげましたが、「マリオ」というキャラクターは任天堂が商標登録しているし、「ドラクエ」についてはスクエア・エニックス株式会社が商標登録しています。


「商標」というのはいわば「ブランド」のことです。

任天堂が育てた「マリオ」というブランドを他人に勝手に使われてキャラクター化されたらたまったものではありません。

ブランドとはすなわち、信頼なんです。


で、この商標には上でも一度書いたように、「指定役務」というものがあります。
指定役務とは、商標出願時に、商標を付ける商品やサービスをあらかじめ指定しておくためのものです。

たとえば、「ちきりん」という商標の指定役務は

「知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,書籍の制作,教育・文化・娯楽用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く),放送番組の制作」

となっています。

これは、伊賀泰代さん以外が「ちきりん」という名義でセミナーを開催したり、出版物を提供してはいけないということを意味します。

f:id:hideyoshi1537:20170330220719j:plain

ちなみに、似たようなサービスをまとめたものを「類似群コード」というのですが、
「ちきりん」の類似群コードは「41」となっているので、

「技芸・スポーツ又は知識の教授」

系のサービスを「ちきりん」というブランドを使って行うのもNGです。

「指定役務」と全く同じものはもちろんだめですが、「似たようなサービス」を展開する時に他人の商標を使うのも「権利侵害」だということです。

指定役務のわかりやすい例として、「AEON」があります。

「国際会議の企画・運営及び開催,語学の教授」などについては英会話の株式会社イーオンが登録していて、日用品系の権利は大手流通のイオン株式会社が所有しています。

同じ「AEON」でも、どんな商品、どんなサービスを提供するかによって商標権の範囲(=指定役務、類似サービス)は異なるということです。


で、上をまとめると、「商標権を侵害する」のは、

・他人の登録商標を、指定商品・指定役務と同一の商品・サービスで提供した場合
・あるいは、類似する商品・サービスを提供する場合

です。

僕たちは「マリオ」というキャラクターを勝手に作って販売することはできないし、「ちきりん」を名乗って勝手に電子書籍を出すこともしてはいけないのです。

今回、僕が「商標権を侵害した」と申し立てを受けた「商標」は指定役務が

「レストラン・バー・カクテルラウンジ・パブ・宴会及びパーティにおける飲食物の提供,喫茶店及びカフェテリアにおける飲食物の提供,移動形式のレストランにおける飲食物の提供」

で登録されており、類似コードは43で登録されているため、ブログ記事が商標を侵害している可能性は低いようにも感じましたが、実際のところは素人では判断できません。


肝に銘じなければならないことは、知識がないと、知らないうちに他人の権利を侵害してしまう可能性もあるということです。

これは知らなかったで済まされる問題ではありません(本当に申し訳ない)

前の記事に、「ネットで物を書く時は他人への敬意が大事」と書きましたが、他人の権利を尊重することは、それ以上に大切です。
そのためには、知的財産について正しい知識を身に付けなければいけません。


また、僕が愛読している「これからの「カネと女」の話をしよう。」というブログの中に、「腐った会社を法律で殴りに行く」という記述があります。

自ら法律を学び、法で上司を殴り、未払い残業代を支払ってもらう、という記述がすごく好きなのですが、逆に考えると、

「法律」という世の中のルールを知らない人間は、ルールを熟知した人間に好き放題殴られる

ということです。


正しい知識を持って、他人の権利を尊重し、権利を持つ人に敬意を払う。
何か問題があったときは、自らの正当性を法に基づいた論理で説明する。

そうするためには、最低限の知識は身に付けておく必要はあるんだな、と今回の騒動でしみじみと感じました。

だって、メールで「商標権」の文字を見たとき、何がなんだか全くわからなかったもん。
下ネタ書きすぎて凍結されたんだと思ってた。

あとは...ちゃんとメールを確認することが一番大事ですね。



* * *


今回の記事を書くにあたって、読んだ本がこちらです。

楽しく学べる「知財」入門 (講談社現代新書)

楽しく学べる「知財」入門 (講談社現代新書)

昨日慌てて買って、商標権の部分だけ3回読みました。
ネットで調べても超わかりづらかった法律をわかりやすく説明してくれて、本当に助かりました。

こちらの本でブロガーに役立ちそうな内容は、また違う記事で紹介しますね!