忙しい会社員が見習いたい、アンソニー・トロロープの仕事術



「フルタイムで働きながらだと、勉強したいことがあっても全然進まない」

「やりたいことがたくさんあるのに、全然時間がない」

「副業したいのに、会社員生活と両立するのが難しい」


それなりに向上心のあるビジネスマンの方であれば、このような悩みはつきものだと思います。

僕たちはいつも、時間が足りません。

やりたいことは山ほどあります。

夢も、目標も、志もあります。

そんな大きな目標を立てても哀しいかな、会社が終わって家に帰るとほとんど時間が残されておらず、ほとんど何も進められずに眠ってしまい、残念な気分で朝を迎えてしまいます。


僕はいつもそんな感じです。


そんな風に、時間がなくてなかなか進捗が捗らないという人は、ビクトリア時代のイギリス人作家アンソニー・トロロープの仕事のやり方をパクってみるのもいいかもしれません。

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僕がいま読んでいる『WILL POWER 意志力の科学』という本の150ページで紹介されている人物です。

アンソニー・トロロープは1815年に生まれたイギリスの作家です。

彼は郵便公社でフルタイムで働きながらも「文学史上最も偉大で最も多作な作家」と言われていました。


現代でいうと、郵便局でフルタイムで働きながらも年に10冊近くも小説を出し、そのいくつかをヒットさせるくらいの仕事量です。

そんな彼の仕事術が『自伝』で語られ、その執筆方法があまりにもクリエイターらしくないので、彼の名声は逆に地に落ちることになりました。


最も多作な作家、アンソニー・トロロープはどのように多くの作品を生み出していたのでしょうか。

トロロープの仕事法は以下のようなものです。


彼は執筆活動を1日3時間以上する必要はないし、得策でもないと信じていました。

朝5時半に起き、コーヒーで目を覚ますと、30分かけて前日書いたものに目を通して調子を整えます。

それから2時間半、テーブルに置いてある時計で時間を見ながら執筆します。


「15分で250語書く」


彼が自分に課した課題でした。

15分で250文字のペースで書けば、朝食までに2500語が書けます。

毎日それを続けられるわけではありません。

ときどきは仕事上の義務もあったし、きつね狩りにでかけることもありました。

それでも、一週間の終わりには当初の予定を確実に終わらせるようにしました。


トロロープは、小説を書くときは執筆スケジュールを決めていました。

1週間に1万語を目標にして、それを日記に書き留めていたのです。


この日記の記録が、トロロープの規律を生み出しました。

1日か2日さぼると、怠惰の記録が残り、もっと働いて足りない文の埋め合わせをしろと迫ってきます。

1週間が過ぎたときにページ数が不足していると、それがおできのように見えたといいます。


日付と罫線の入った小さな日記に毎日、毎週の仕事が記録され、常に目に付くようになっていたため、それを見れば勤勉にならざるを得なかったのです。

トロロープはこう述べています。

「文学者として生活していたとき、仕事が遅れるのではないかと心配したことは一度もなかった。
原稿についてはまったく不安がなかった。

必要なページは先々の分までほぼ常にかたわらの引き出しにしまわれていた。

日記に毎日、毎週の仕事を記録することによって、勤勉にならざるを得なかったのだ


トロロープから見習うべきポイントは以下のようなものでしょう。

  • 日記に行動記録を数値化してつけることで、自分の一日の行動を可視化した
  • 1週間、1ヶ月単位では必ず目標を守るようにした
  • 大事な作業をルーティーンにして、規則正しく同じペースで進めるようにした
  • 小さな仕事でもコツコツ続けることで、大きな成果につなげた


僕たち会社員もトロロープを真似して、朝5時半に起きて出社するまでに

  • 毎日100語の英単語を覚える
  • 毎日3つ、ブログ記事を書く
  • 毎日50ページ、仕事に関する本を読む
  • 毎日5km、ランニングする


などを積み重ねていけば、大きな成果につながるのではないか、と考えてしまいます。

もちろん現実は厳しく、心折れることもあるかもしれませんが、毎日「何をしたか、どこまで進められたか」を日記に記録することで、自分の進捗を確認し、自己を律することができるはずです。


関連記事:2019年も手帳買うならやっぱり「ほぼ日手帳」をおすすめしたい



僕は早速明日からチャレンジしてみます。

この記事を書くにあたってトロロープの逸話を検索してみたら、面白いブログを発見しました。

午前中に時間を取って作品作りに励んでいた作家は他にもたくさんいたようです。

このように午前中(昼すぎまで)に執筆をするという作家には、ウィリアム・フォークナー、村上春樹、ヘンリー・ジェイムズ、マヤ・アンジェロー、リチャード・ライト、フラナリー・オコナー、チャールズ・ディケンズ、スティーヴン・キング、バーナード・マラマッド、ヨハン・ヴォルフガング・ゲーテ、ウィラ・キャザーがいる。また、心理学者で精神医学者のカール・ユングも、午前中に2時間集中して執筆したという。


Creative Reading:『天才たちの日課』(メイソン・カリー)


上のブログで紹介されている『天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々』も買ってみたので、面白そうな教訓が見つかったら紹介しますね。

天才たちの日課  クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々

天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々


トロロープのエピソードを読みながら息抜きしたときに、プログラミング講師の迫 佑樹さんのツイートを見つけました。



毎朝、コツコツと執筆活動をして、半年で10冊出したら普通に新卒の給料分くらいになるのでは?とも思いました。

トロロープメソッドで半年勉強して書くネタを集めて、次の半年で10冊出せば......なんて、取らぬ狸の皮算用ではありますが、夢は広がりますね(笑)

ビジネスのネタは色んなところに転がっていて、個人のチャレンジの敷居も下がり、本当に面白い時代です。

チャレンジしなければもったいないですよね。

自分の行動を数値化して記録する

「自分の行動を数値で知れば、行動が変わる」と『WILL POWER』で紹介されています。

アンソニー・トロロープは執筆した語数を記録していましたが、たとえば受験生の場合であれば「何ページ進めたか」を記録すればいいし、TOEICの勉強している人は「単語を何個暗記したか」などを記録してもいいかもしれません。

僕は今年から、手元の「ほぼ日手帳」に「業務時間外に、一日何時間机に向かったか」や、「読んだ本のページ数」を毎日記録しています。

体重や摂取カロリーも記録し始めました。

自分で記録し始めて気付いたのですが、自分の行動とその結果を数値で振り返るとやる気が出ますね。

同じように、なかなか続かないものではありますが、出費も手を動かして記録すると、節約に役立ちます。



また、自分の行動を記録するもう一つのメリットは、「自分がどれだけ無駄な時間を使っているかを可視化できること」です。

レスキュータイムの創業者であるトニー・ライトは、自分が一日の仕事時間の3分の1を「誘惑的な情報をちまちまと見る」こと、つまり仕事と直接関係のないウェブサイトの訪問に費やしていることを知って驚愕したといいます。

1回にネットサーフィンする時間はほんの2分くらいでも、総合すると1日2時間半もネットサーフィンに費やしていたというのです。

職場で自分の作業時間を記録するとなかなか面白く、「どこかで見たような情報を探す作業」にものすごく多くの時間を使っていたことに気付いたりします。

ちゃんとフォルダは整理しておきましょう。


アンソニー・トロロープのメソッドをまとめると以下のようになります。

  • 自分の行動を数値化して記録し、規律とモチベーションを生み出しましょう。
  • 何分でどれだけの作業を進めるか、数値にして管理しましょう。
  • 朝早く起きて、進めるべきタスクを習慣にして、コツコツ進めていきましょう。


トロロープは小さな仕事をコツコツ続けることについて、こう述べています。


「私のやり方は天才は目も向けないだろうと言われてきた。

『芸術家が時間を決めて仕事をするとは何事か。インスピレーションは予定通り、あるいは監視されながら湧いてくるものではない』

と批判されてきた。

私は自分を天才だと思ったことはないが、もしそうだとしても自分にこうした枷をつけたほうがいいのではないかと考えただろう。

誰もが必ず従う法則ほど力強いものはない。

小さな水滴が岩に穴をあけるのと同じ力がそこにはある。

小さな仕事を毎日続ければ(本当に毎日できるのであれば)、気まぐれなヘラクレスが成し遂げる以上のことができるだろう」


WILLPOWER 意志力の科学

WILLPOWER 意志力の科学