僕がこれまでに喰らったドタキャンの数は星の数より多い。
もし僕が喰らったドタキャンが雪のように積もるなら、そのあまりに多くのドタキャンの量に、屋根より高い雪山ができるだろう。
あるときは
「昨日の夜にドアを叩く音がして、怖くて家の外に出られない」
とドタキャンされ、またあるときは
「おばあちゃんが急に遊びに来ることになったから今日は会えません。ごめんなさい」
と急にデートの約束をキャンセルされた。
嘘みたいだろ?全部実話なんだぜ。
なんで田舎のおばあちゃんがアポなしで突然一人暮らしの家に遊びに来るんだよ......
こんな風によくわからない理由でドタキャンされたとき。
僕はいつも天を仰ぎ、それまで入念にシミュレートしていたデートプランを振り返る。
新宿で待ち合わせして、横並びの席で、少し濃い目のお酒を飲んで。
店から出たら距離を詰め、うまくいきそうなら手をつなぎ、そこで勝負だ───!
目をつぶり、眉間に皺を寄せ、それまで抱いていた妄想と下心を断ち切り、股間に手を当て、息子に一言、
「無念だ...」
と謝罪し、予約していたレストランに電話をかける。
「大変申し訳ございません。
連れが体調を崩してしまい、本日はキャンセルとさせていただけないでしょうか」
このキャンセルの電話が一番辛い。
僕だって楽しみにしていたのだ。本当はキャンセルなんてしたくないのだ。
しかし残念ながら、デートにドタキャンはつきものである。
女の子は利害関係がなく、さして興味もない相手には驚くほど冷たい対応をする。
だから彼女でもなんでもない相手と飲みに行くときは、基本的に席だけの予約にしておこう。
コースで予約してキャンセルすると店に大変な迷惑がかかるし、そもそもキャンセル料が発生してしまう。
「不確定なデートの約束でコースは予約しない」
これはドタキャン対策の基本である。
理想を言うならば、街を歩いて、空いているフラッと店に入るくらいの気軽さがあればいいが、待ち合わせ場所から迷うことなく“空いてそうな店”にたどり着くためには、相当にその街に精通していなければならない。
最近はネット上で予約も完結させることができるので、サクッと見つけて予約しておくのがいいと思う。
「いつもデートで使う店」を繁華街別に何個かストックしておき、食べログの予約画面からササッと予約できるようにしておくのがいい。
店の予約を「いつものルーティーン」にしてしまえば、予約の心理的な負荷も大きく軽減されるものだ。
店選びの心理的負荷がなければ、デートの約束が決まった後すぐに予約に入れるというメリットもある。
「面倒だな、予約したくないな」とダラダラしているうちに週末が近づいてしまって結局どこの店にも空きがない、というのはよくあることだが、行きつけの店があれば予約の面倒さは軽減できる。
「初めてのデートでは初めての店を使わない」
というのも基本だ。男の嗜みといってもいい。
既に仲の良い子とデートするときに新しい店に行けばいい。
初めてのデートで店選びに失敗したら、リカバリしづらい。
無難に一度行ったことがある店に行こう。
さて、この記事の主題はドタキャンの立ち直り方とドタキャン対策についてであった。
まずは立ち直り方から考えていこう。
ドタキャンされたショックからの立ち直り方
美女とデートだ嬉しいな、と浮かれていたときに喰らうドタキャンの精神的ダメージは、思い出すのが辛くなるほど大きい。
特に、大好きで仕方がないような相手からドタキャンされたときは絶望で目の前が暗くなってしまうほどだろう。
僕はこれまでたくさんのドタキャンを喰らってきて、自分がどういうときにダメージを受けないか、そしてどういうときに回復不可能なダメージを喰らったのかをよく覚えている。
ドタキャンで大きなダメージを喰らったとき、僕のプライベートの中心は恋愛だった。
デートが自分の人生で最も重要なことだと考えていたのだ。
人生のプライオリティの最上位に美女とのデートを置きながら、そこでドタキャンされてしまうとさすがになかなか立ち直れないだろう。
まず付き合ってもいない相手とのデートの脳内優先順位を下げるべきだが、
結果的に大きなダメージを負ってしまったときにするべきなのは、ドタキャンされた子を追いかけることではない。
ドタキャンしてきた子を責めることでもない。
どちらも間違いなく逆効果になる。
ドタキャンを責めても何にもならない。
ドタキャンした側は「本当にごめんなさい」と表面上は謝罪のLINEを送ってくるだろうが、内心では
「二度と会わねえよ」
と考えているものだ(本気で体調が悪くてドタキャンした場合を除く)
そして本当に用事ができてしまってドタキャンされたとしても、それを責めた途端、次はなくなってしまう。
相手の非を責める必要はない。
ドタキャンされた後に
「次いつ会える?ねえ、いつ?いつ?」
と、追いかけるようなLINEを送るのも意味がない。
見込みがあるなら相手から打診があるものだ。
ドタキャンされてこちらから追いかけている時点で見込みはない。
なので、ドタキャンされたときの対応は
責めない・怒らない・気にしない
が基本となる。
とはいえ、女の子に入れ込んだ状態に陥っていると、このように割り切ることはできなくなるだろう。
必死になって「追いLINE」したくなる自分を律しなければならない。
どうすればいいか。
ドタキャンのダメージからの立ち直り方は2つある。
ひとつ目は、さっさと別の人を探して次にいくこと。
ふたつ目は、恋愛以上に夢中になれるものを探すこと。
離れて逃げてしまった相手の気持ちをLINEだけでこちらに引き戻すのは難しい。
なので追いかけても意味がない。
同じくらいハマることができる相手にはいつか必ず出会えるから、新しい出会いに希望を持って、出会いスポットに出かけよう。
もう一つの「別の夢中になれるものを持っておく」のはドタキャンのダメージを大きく軽減させる。
男の場合は趣味もいいが、個人的にはお金が絡むものがおすすめだ。
僕は昔、プロスロッターとしてカスの一本道を歩んだことがある。
そのときはスロット屋でお金を稼ぐことに夢中すぎて、女の子にドタキャンされても
「スロットやる時間ができてラッキー」
くらいに思えた。
夢中になれることがあれば、ドタキャンはむしろ時間とお金の節約になってラッキーなのだ。
スロットは全くおすすめしないが。
ドタキャン対策に何ができるか
女の子は花の周りを飛ぶ蝶のように気まぐれなので、完璧な対策は不可能である。
それでもできることがあるとすれば、以下のようなものだろうか。
- 電話するとデートの確度が上がる
- 前々日か前日にリマインドを送っておく
- 店選びに巻き込む(選択肢を与えるとか)
- 「用事できたらキャンセルOK」みたいに心理的なプレッシャーを下げておくと、逆にキャンセルされにくくなる
これらの小細工も有効だが、最強のドタキャン対策はデートの約束前の印象を強く残しておくことだ。
デートに誘う前から既に勝負は始まっている。
マッチングアプリだったら写真で刺す。
道で声をかけたなら、踏み込んだ話までしておく。
クラブで仲良くなったなら、他の男と差別化できるレベルまで仲を深めておく。
賛否両論だが、LINE交換するときにツーショット写真を送っておく。
など、そもそもデートに誘う前の段階で勝負しておくのが最強のドタキャン対策となる。
会ったときの食付きなしだとどうしてもドタキャンのリスクは高くなってしまうのだ。
そして「自分が刺さるかどうか」は相手との相性次第なので、やはりドタキャンされたり、話が合わない相手を追いかけるのではなく、ダメだったらハイ次!で、また次の相手を探すのが良いと思われる。