「ID・パスワード方式」でウェブで確定申告するために税務署に行ってきた



この記事では税務署で「ID・パスワード」を発行してもらい、「ID・パスワード方式」でe-Taxで確定申告するまでの手順を紹介します。

注意点としては、「ID・パスワード方式」で確定申告できるのは国税局のホームページにある「確定申告書作成コーナー」で作った確定申告書のみであることです。

「マネーフォワードやfreeeなどの確定申告ソフトで確定申告書を作成し、e-Taxに提出できる形でエクスポートして提出」

みたいな作業は、マイナンバーカードがないとできないようです。


国税庁のホームページもとても不親切で、わかりづらく作られています。

たとえば、「国税庁 確定申告書等作成コーナー」では

「ID・パスワード方式の届出にはマイナンバーカードとICカードリーダライタが必要です」

と書かれています。

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一方でe-Tax利用の簡便化の概要についてでは、

「申告時に準備するものは『e-TaxのID・パスワード』のみで、マイナンバーカードやICカードリーダライタは不要」

と書かれており、国税庁のホームページ内で矛盾しているようにも見えます。

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色々と試してみたのですが、どうやら

「国税庁の確定申告書作成コーナーというページで作った確定申告書であれば、ID・パスワードで提出することができる」

ようです。

国税庁の「スマホで確定申告」のPDFでは、確定申告のステップを以下のように紹介しています。

  1. 国税庁HPへアクセス
  2. 提出方法を選択(ID・パスワード方式を選択できる)
  3. 金額などを入力
  4. e-Taxで送信
  5. 申告書データを保存

進化するスマート申告!~5つのステップで手続完結!~

上記のPDFでは「スマホで申告」を謳っていますが、実質的にはブラウザでの作業になります。


iPhone版のe-Taxアプリはダウンロードしても全く役に立ちません。
新人研修で作らされるようなレベルのガラクタがスマホのホームに配置されてしまいます。


ちなみに「確定申告書コーナー」という名前だと税務署のどこかの場所のようにも感じますが、ウェブページの名前です。
(まともな日本語能力がある人間が作ったシステムではないので我慢しましょう)

国税局 確定申告書作成コーナー

確定申告書作成コーナー(笑)の「e-Taxで提出 ID・パスワード方式」を選び、そこで確定申告書を作り、提出するわけです。

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そしてこの「ID・パスワード方式」の面白いところは、なんと!

ウェブで提出するためにわざわざ税務署まで行ってIDとパスワードを発行してもらわなければならないところです。

最初は冗談かと思っていたのですが、実際に税務署に行って、税務職員に聞いたので間違いありません。

ウェブで確定申告を提出するためのIDを発行するために、わざわざ本人が最寄りの税務署に訪れなければ行けないのです!

何を言ってるのかわかりませんが、僕も何をしたのかよくわかりませんでした...。

ちなみにe-Taxのシステムを作ったのはNTTデータです。

確定申告用のIDとパスワードを税務署で入手する

国税庁からのお知らせによると、ID・パスワードの発行を希望する場合は顔写真付きの本人確認書類を持って近くの税務署に行け、と書いてあります。

なんでウェブで確定申告したいのに税務署にわざわざ行かなければいけないのか、それなら紙で確定申告書を印刷して提出するけど...と文句を言いたくなりますが、NTTデータの新人が設計を担当したのであれば、仕方ないともいえます。

ウェブで本人確認するシステムを作るのは、セキュリティホールが怖いでちゅもんね(´ε` )

責任取りたくないんでちゅよね(´ε` )

プロの仕事をナメるなよ。


アプリ上で本人確認まで完結できるpaypayやauPayなどを見習ってほしいですが、まぁ「動けばいいや」で開発している新人にそんなことを期待しても無駄でしょう。

というわけで、税務署に行ってきました。

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税務署で「ID・パスワード方式の届出完了通知」を発行してもらう

ID・パスワードを発行してもらう税務署はどこでもOKです。

Google Mapsで「税務署」と検索したら複数出てくると思います。
一番近くに行けば大丈夫です。

窓口の人に

「e-Tax用のID・パスワードを発行したいです」

と言えば、手続きを進めてくれます。

私の場合は「総合窓口」の人にID・パスワードの発行をお願いしました。

そのときに身分証明書が必要です。免許証でOKです。

お願いしてから廊下のベンチで10分くらい待ちます。

廊下にはID・パスワードの張り紙があります。

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税務署の職員の方に呼ばれた後、驚きの作業が待っています。

なんと!税務署の職員の方の目の前でパソコンにカタカタと打ち込むのです。

パスワードはマスクされておらず、ショルダーハック(肩越しに覗き見る)され放題です。

その後はなんと!

入力した内容を印刷して渡されます。

印刷した紙にはパスワードも書かれています。


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パスワードを印刷して紙で保存...。
最も他人に情報が漏れやすい仕様な気もしますが、セキュリティは大丈夫でしょうか?


ちなみに税務署の職員の方は本当にめちゃくちゃ親切で、終始丁寧に対応してくれました。

税務署の方は全く悪くありません。

ですが、このシステムを開発したNTTデータの開発担当者は全員、所得税を80%にするべきだと思います。

ID・パスワード方式で確定申告を行い、e-Taxで提出

「国税庁の確定申告書等作成コーナー」には利用できるブラウザに制限があります。

Macで使うときにChrome使えません。Safariのみです。
Windowsの場合はIE11、Edge、Firefox、Chromeが使えます。


またこのシステムはブラウザの「戻る」ボタンを押したり、「更新」ボタンを押してはいけません。

「戻る禁止」は久しぶりに見ました。新卒だと思っていたNTTデータの開発担当者は昭和のおじさんなのでしょうか?

確定申告書作成コーナーを開きます。

そこにある「作成開始」をクリックします。

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次の「事前確認」の画面で、「e-Taxで提出 ID・パスワード方式」をクリックします。

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推奨環境の確認の画面で「利用規約に同意して次へ」をクリックします。

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税務署で発行してもらった「利用者識別番号」と「暗証番号」を入力します。

発行した当日に利用すると、「入力された利用者識別番号に該当する情報がありませんでした。」と表示されます。

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入力された利用者識別番号に該当する情報がありませんでした。
『次へ』ボタンをクリックし、申告書の作成を開始してください。

※検索・表示される情報は電子申告等を行って一定期間経過後に反映されますので、利用者識別番号をお持ちの方であっても、「該当する情報がありませんでした」と表示される場合があります。

おそらく「電子申告等を行って一定期間経過後に反映されます」とあるので、しばらく時間が必要なのかもしれません。

気にせず「次へ」を押すと、申告書を作成する画面に進みます。進めてしまいます。

識別番号でログインできたかどうかは画面上ではわかりません。

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次の画面から「令和元年分の申告書等の作成」ができます。

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「所得税」をクリックして、「印刷」か「e-Tax」を選べます。

「e-Taxにより税務署に提出する」を選択して

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所得額などの入力して確定申告書を作ればOKなはずです。

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ここまで書いておいて心苦しいのですが、僕はMFクラウド会計で確定申告書を作っていて、そのデータを提出しようと思っているため、「確定申告書作成コーナー」で「確定申告書を作って提出する」まではやりませんでした。

作業の途中で中断しました。

さっさと印刷して提出しに行ったほうが早い

僕はブログのネタのために色々と調べながら作業していますが、個人で確定申告するのであれば、クラウド会計ソフトを使ってさっさと確定申告書を作り、印刷して税務署に出しに行ったほうが100倍早いと断言できます。

「e-Taxは慣れたら便利!」などと紹介する記事もありますが、たぶんその人はサンクコストバイアスにかかってます。

苦労して使えるようになったから「e-Taxは良いものだ」と思いたがっているのです。

e-Taxは死ぬほど使いづらいです。

慣れても慣れなくても使いづらい、わかりづらい。

e-Taxは国民のために作られたシステムではありません。
納品のために作られたシステムです。


当たり前ですが、クラウド会計ソフトはまともなユーザーインターフェースで、使いやすく作られています。

国税庁のホームページは罠だらけの迷宮になっているので、できるだけ開かずに、クラウド会計ソフトで確定申告書の作成まで全部やって、最後に税務署にアナログな手段で提出するのが一番早いです。

僕はずっとMFクラウド会計を使っていますが、正直これなしでどうやって記帳するの?と疑問に感じるくらいです。

まだ使ってない方はぜひこの機会に。