「勝てる闘いを落とさないことも大事だ。
でも負ける試合や、勝負する気にもならない試合で、ダメージを最小限に押さえるということはもっと大切な戦略なんだ」
と、とある恋愛の達人は言った。
勝てるときにリソースをつぎ込むのはわかるが、負けそうな試合で撤退を決めるのは難しい。
すでに投資してしまった分の回収をしたいという欲求が生じてしまうからだ。
これをサンクコストバイアスという。
ネットで会う約束をした子は、会ってみるまで実際はどんな子かわからないことも多い。
実際会うと写真以上のこともたまにあるが、たまに写真と全然違う人が現れることもある。
そういうときに、いかに致命傷を避け、損失を抑えるか。
デートのダメージは2つある。
1つは、金のダメージで、もう一つは時間のダメージだ。
撤退戦では、できるだけ出費を抑え、できるだけ時間を短くする必要がある。
飯くらい奢らない男とは絶対飲みに行かない
と語る女の人はたくさんいる。
しかし、私のような非モテは一人の女の子にアプローチしても、どうせ振られるのだから、次の人を探さなければならない。
必然的に、複数人を相手にすることになるのだから、出費は抑えるに越したことはない。
サステナビリティ(持続可能性)というのは、会社を運営する上でも、恋愛活動を運営する上でも大切な考え方だ。
特に、「これは闘ってはいけない」と思う人に会ってしまったとき、僕たちが持たなければいけないのは、
払わせる勇気
だ。
つい、見栄を張って奢ってしまいがちだけど、
「2,000円ちょうだい」
の一言。これだけ言えれば、大きく救われる。
2,000円の積み重ねを馬鹿にしてはいけないのだ。
実は先日、とんでもないモンスターと出会ってしまった。
本当に申し訳ないのだけれど、写真が完全にフォトショップだったのだ。
会って3分で、撤退戦を考えた。
話は弾まず、早く切り上げたい気持ちでいっぱいだった。
酒を1杯しか飲まず、
「何かいる?」
と言われても、
「弱いから飲めないんよーごめん!」
とかわしていた。
ビール1杯、600円である。
これでラーメンが食える。
大事な金だ。
酔えない方とのお酒にお金をつぎ込んではいけない。
そもそも、お酒自体も、あまり飲むべきでないと思っている。
翌日の活動に支障が出るし、身体にもよくない。
酒は1~2杯飲めばそれでいい。
酔わせて何かをしようとするのは、二流のやることだ。
自分に酔わせる方がよっぽど大事なんだ。
なんて考えながらデートをこなしていたけれど、翌日社交辞令でモンスターにLINEしてみたら、見事にブロックされていた。
僕はモンスターと闘っていたつもりになっていたけれど、相手から見ると、僕自身もモンスターだったのである。
「お前が深淵を覗くとき、深淵もまたお前を覗いているのだ」