合コンで出会った数人の印象で、会社全体を判断してはいけない。



私事で申し訳ないが、僕はJTという会社が嫌いである。


なぜ嫌いかというと、始まりは僕の新人時代に遡る。

東京に来たばかりで右も左もわからないときに、JTに入った大学の先輩が合コンに呼んでくれた。


場所は六本木。


キラキラと輝くビル。

甘い香りを残しながら街を歩く薄着の美女たちに、僕の期待と股間は膨らんだ。


六本木ヒルズの蜘蛛のオブジェの下で待っていたら、先輩が


「おう!来たか」


と僕を迎えてくれた。


男性メンバーは僕と先輩と、先輩の会社の同僚の3人。

女の子は今では名前は全く覚えていないが、派手な格好をした東京らしい女の子だった。


初任給が出たばかりの5月の話である。


あのときは自分に全く余裕がなく、東京にも慣れおらず何がなんだかわからなかったが、合コンが行われたのは六本木ヒルズの中のリゴレットである。


東京の店はオシャレだな〜


と、窓から東京タワーを見て驚いた記憶がある。


女の子もお店に慣れた様子だった。


仕事には全く自信がなかったが、合コンのキャリアは誰よりも積んで社会に出てきたつもりだ。

東京の合コンに慣れた女に


学生ノリ


の洗礼を食らわせてやるぜ、と気合を入れていたら、開口一番、先輩の友達の男が僕を指差し、



「お前!ダサくねぇ!?」



と言った。




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「なんでワイシャツの下のTシャツが丸首なんだよギャハハハハハハ」


都会の女たちも僕を見てクスクスと笑った。


僕は小さな声で答えた。


「か、会社のおじさんが...


こういうシャツを着てたから...」


「ダメだよーーそんなん真似しちゃ!ギャハハハ」





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くそぅ...この男...。


僕をダシにして、女子の人気を取りに来やがった。


女はディスっても仲間はディスらないのが紳士のルールである。


女の人気取りのために初対面の新人をイジる、という紳士にあるまじき蛮行を働いたこの男を僕は忘れない。



先輩の同僚、と書くのは面倒だからJT男と呼ぼう。


JT男はその後も僕に社会人の嗜みを教え続けた。


「いいか。稼ぎたかったら遊べ。


俺は遊ぶために稼いでいる。


遊ぶから金が入ってくるんだ」


その頃の僕は社会人になって一ヶ月で、右も左もわからず無邪気に信じてしまったけど、今なら自信を持って言える。


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おまえは何を言っているんだ。


遊んでいても金は入ってこない。

会社員が金を稼ぎたいのであれば、スモールビジネスを始めるか、残業した方がいい。


本当に遊んでいても金が入るのは、遊んでいてもお金が入ってくる仕組みを作ることに成功した人間だけだ。


そして、そんな仕組みだって遊んでいては作れない。


ある程度の期間、仕組み作りに注力する必要がある。


そんな反論などすることもできず、合コン中はひたすらに


JTの給料がいかに高いか


を力説された。

年収300万の僕は何も反論することができなかった。


窓から東京タワーを見て、故郷にいる母を想った。


母さん、東京は本当に怖いところだよ。


元々の大学の先輩は合コンの途中にLINEを見て、


「彼女に振られたかもしれない」


とか突然狼狽し始めたと思ったら合コン中に突然帰りやがり、僕とJT男と女の子3人で飲み続けることになった。


辛い。


目の前の女の子はキラキラとして可愛いのに、全く口説くことも出来ず、ただひたすらにイジられ続けた。

社会人一年目にして初めて訪れた試練である。


会計のとき、JT男は僕のそばに来て、小さな声でこう言った。


「男は二万な」




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お前...あんだけ先輩面して説教ておきながら、金はバッチリ取るのかよ...。


大学生の頃は飲み会で女の子に全奢りする、なんて文化はなかったから、これが初めての「店での全奢り」だったかもしれない。


僕は東京の合コンの費用に驚いた。


一回で二万。


驚くべき金額である。


それからJT男に


「まさか帰らないよな」


と言われ、二次会に連れて行かれ、二次会では3万円もかかったが、何を話したかは全く覚えていない。


それ以来、たった一度たりともJTの人間と関わったことはないが、とにかく僕はJTが嫌いである。



さて、ここで君たちに気をつけてもらいたいことがある。


君たち、とは新入社員のような若者をイメージしている。


君たちは、これから色んな会社の人に出会い、たくさんの話をするだろう。


合コンで騒がしい商社マンに会うかもしれないし、ゴールドマン・サックスの男に会員制のバーに連れて行ってもらうかもしれない。


しかし、そこで出会った数人の印象で、その会社全体を判断しないでほしいと思っている。

僕のようになってはいけない。


ツイッターではよく


「○○会社の人はチャラくてケチ!」


のように、断定調で会社を決めつける話が出て来るが、合コンで出会う人などその会社のごく一部の人間である。


稲井大輝だけを見て「東大生はチャラい」と言えないのと同じだ。


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同じ東大生でも大津くんのような人だっている。


組織の中には色んな人がいるので、数人の印象でその会社の全てをわかった気になってしまうと、後々の出会いの機会を失ってしまう可能性がある。


食わず嫌いはもったいないのだ。


逆に言えば、自分の印象が会社の印象につながることもあるので、六本木で名刺をバラまくときは少し注意が必要だということも忘れないでほしい。

むしろこっちの方が大事な気がしてきたよ。


このときの合コンでは全く発揮できなかったパーティートークのノウハウを書きまくった記事のリンクを貼っておきます。