休日に出勤すると、普段の業務に比べてはるかに集中することができ、気付いたら仕事が進んでいて驚くことがある。
「人がいない」
というだけで、明らかに生産性が高まるのだ。
逆に考えると、普段の業務環境は目の前のことに集中するのに全く向かない環境だとも言える。
なぜ会社の業務が集中を妨げやすいのか考えてみる。
会社が集中に向かない理由
新人として会社に入ったとき、一番に驚いたのが
「周りの雑音の多さ」
だった。
オフィスでは横の人が大きな声で電話するのは当たり前。
自分の作業中に誰かに話しかけられるのも当然で、いつ何時誰からメールが飛んでくるかもわからない。
メールの返信も業務の一部なので、メールのチェックは随時行わなければならない。
大学の自習室で一人の世界に入り込めたときとは全く違い、キーボードの音が絶えず鳴り響き、いつ人に話しかけられるかわからない環境で作業を進めなければならなかった。
僕はたくさんの会社を経験してきたわけではないが、多くの会社は似たようなものだろう。
少なくとも僕が入社した会社ではどの部署も似たような状況だった。
言うまでもなく、このような環境では人間は深く集中することなどできない。
そして僕の今までの経験上、「会社の環境が集中に向かない」ことに疑問を抱く人もほとんどいない。
もしかしたら疑問に思いながらも誰も言ってないだけかもしれないが。
「人の声」は意識を妨げる
入社してすぐに驚いたことといえば、オフィスではとにかく人が喋りまくっていることだ。
もうこっちがパソコンに向かってる横でひたすら誰かが喋っている。
電話の声はうるさいし、開けた会議室の声はガンガン漏れてくるし、謎の中国語が飛び交うこともある。
「集中できた」と感じているときは周りの声があまり聞こえなくなることもあるのだが、基本的にほぼ全てがノイズである。
聞こえていないつもりでも、自分に関係ありそうなことは耳に入ってくるし、耳に入ったら目の前の作業への集中は途切れてしまう。
チャットは集中の敵
今どきチャットを使わない職場はほとんどない、とツイッターで煽られることもあるが、古い企業でもSlackを始めとするチャットの導入が進められてきているようだ。
チャットは便利だ。
メールよりも検索しやすいし、即レスしやすい。
画像も貼れるし、スレッドをまとめることで議論を追いかけやすい。
一方で、デスクトップへの通知をオフにしないと、常にチャットの通知が飛んでめちゃくちゃうるさくなる。
人間は止まっているものを見るよりも、動くものを追いかけてしまう修正がある。
なので、チャットの通知が飛んでくると、ついその通知を追いかけてしまうのだ。
メールも相当集中を阻害してきたが、チャットはそれ以上に人の集中を奪っているのは間違いない。
コミュニケーションを促進するポジティブな効果がある一方で、人の作業効率を落としている点を見逃してはいけないだろう。
チャットはメインの業務がコミュニケーションにある人には便利だが、職人のように一人が集中して何かを作るような業務には向かない。
チャットは決して万能ではないのだ。
突然話しかけられる
オフィスではいつ誰に話しかけられるかわからない。
作業中に
「ちょっといいですか?」
と声をかけられるなんて当たり前だし、それは別に悪いことではない。
悪いことだと思っている人も一人もいない。
仕事を進める上で協業は絶対に必要なので、話しかけることは当然だし、話しかけられない雰囲気を醸し出す人は仕事がしづらいとも言える。
なので、他人に対してオープンで、いつでも声をかけてくれてOKという姿勢は正しいのだが、そういうことすると全然作業に集中できない。
結局、日中は色んな人に話しかけられまくって作業が進まず、人がいない夜中のオフィスで残業して自分の仕事を進める、みたいな人がたくさんいる。
「社内のコミュニケーションにかかるコスト」は誰も意識していないが、相当大きいものである。
人が集まる理由
これまで述べてきたように、オフィスは集中には全く向かない環境である。
「人間を集中させまい」とする悪意すら感じるレベルだ。
それでも環境を改善しないのは、人が集まることに意味があるからだろう。
よく言われているのは「人と人が集まり、そこでぶつかることで新しいアイデアが生まれる」という主張である。
多様性こそが武器で、社員同士の偶然の出会いを生み出すオフィス。
雑多なオフィスで色んな意見がコラボレーションすることで、思いもよらないアイデアが誕生する───
という主張はいかにも学者じみていて、現場のことが見えていない。
僕が見てきた限り、そこにいる人間がクリエイティブじゃない限り、人が集まっても何も生まれない。
「人との距離が近いオフィス」はクリエイティブのためには機能しておらず、どちらかというと意思疎通の促進のためにあるように感じる。
無論、その意思疎通は集中力とのトレードオフで、雑音が多い環境は個人が作業を進めるには向かない。
真にクリエイティブな商品は、有象無象の集まりからたまたま生まれるのではなく、少数のクリエイティブな人間の集まりから生まれる。
とにかく人を集めて話しやすくすればイノベーションが生まれる、という理屈は信憑性が薄く、コミュニケーションコストによる弊害も大きい。
「生産性が高くなるオフィスデザイン」は頭の良い人がこれまでずっと考えてきたテーマだろう。
仕切りをつけたり、オシャレにしてみたり、机の配置をL字にしてみたり。
色んな企業が色んなオフィスを試している。
オフィスデザインには先人の英知が詰まっているはずなので、僕が感想を述べたところで大きな流れは変えられないのだが、個人的にはこんな感じのオフィスの方が雑多なオフィスよりもはるかに目の前のことに集中できるのではないかと思っている。
人が多い場所で集中する方法
あまり詳細に書くと身バレにつながるかもしれないが、本気で集中したいときはオフィスでも構わず耳栓をつけていた。
耳栓をつけてもまだ周りの声は聞こえてくるので、耳栓をつけた上でさらにノイズキャンセリング・ヘッドホンを装着した。
耳栓×ノイズキャンセリング・ヘッドホンはめちゃくちゃに強力で、どんな場所でも「ほぼ無音の世界」を創り出してくれる。
特にBOSEのノイズキャンセリング・ヘッドホンは強力である。
カフェで話す女子大生の声さえも聞こえなくなる。
写真で撮ったのは2016年に買った「Bose QuietComfort 35 wireless headphones ワイヤレスノイズキャンセリングヘッドホン ブラック」だが、今だともっと新しいノイズキャンセリング・ヘッドホンが出ているかもしれない。
Bose QuietComfort 35 wireless headphones II ワイヤレスノイズキャンセリングヘッドホン Amazon Alexa対応 ブラック
- 出版社/メーカー: BOSE
- 発売日: 2017/11/27
- メディア: エレクトロニクス
- この商品を含むブログを見る
とにかく、ノイズキャンセリング・ヘッドホンを買うならBOSEがダントツでおすすめだ。
SONYも持っていたけど微妙だった。
ちなみに耳栓は「MOLDEX 耳栓 Meteors 10ペア 6870」
- 出版社/メーカー: MOLDEX JAPAN(モルデックスジャパン)
- メディア: Tools & Hardware
- この商品を含むブログを見る
耳にフィットしていい感じである。
ただ、ノイズキャンセリング・ヘッドホンによる無音の世界の創出にも2つ問題がある。
1つ目は、ノイズキャンセリング・ヘッドホンはちょっと重いので肩がこるということだ。
ずっとつけていると外したくなってくる。
ノイズキャンセリング・ヘッドホンをつけるときは姿勢に注意してほしい。首に重心がかかると肩が凝りやすくなる。
2つ目は、人の話に気付かないこと。
ノイズをシャットアウトするためにノイズキャンセリング・ヘッドホンをつけているのだから当たり前なのだが、周りの人は気を使うし、突然「とんとん」と呼ばれてびっくりすることもある。
せっかくノイズキャンセリング・ヘッドホンを装着して集中しているのにチャットが飛んできたり、会議で作業を中断されたりもするので、周りのメンバー全体で「集中しやすい環境」を意識的に作っていく必要がある。