会社の飲み会が出世の条件ってやばい



お酒を飲めることが出世の条件である、と豪語する会社の記事を見つけました。


「三流上司は飲みに行かず、二流は「社外の人」と飲む では一流は?」
www.sbbit.jp


要約するとこんな感じです。

  • 17年連続増収の優良企業である株式会社武蔵野
  • 「お酒が飲めない人は採用しない」
  • 「よく飲む人ほど、よく出世する」
  • 部長昇格試験は「1時間で42度の焼酎1本を2人で空ける」
  • 一ヶ月に10回以上飲みに行くこともある
  • 飲み会は重要なコミュニケーションツール

「一流の上司は、「社員」との飲み会を公式行事にする」

などと書かれると「うげー」と思ってしまう人が多いのではないでしょうか。

僕も会社の飲み会が好きではないので、こういう会社は合わないなと思いました。

飲み会が好きな人には楽しいのでしょう。

大学の部活を思い出した

飲み会は強制参加で、とにかく飲みまくることに価値がある。

こんな空気が流れていたのは大学時代の部活でした。

飲みの場につくなり一気コールが飛び交い、ビールをピッチャーで飲み、焼酎を飲み、ひどいときには立てなくなるほどでした。


いま振り返ると、あれはあれで楽しかった。

馬鹿みたいに騒いで、馬鹿みたいに飲んで、明日を忘れて飲むことができたのは、大学生活が暇だったからです。

時間が有り余っていたからです。


お酒を飲みすぎて翌日昼まで寝ていても、誰にも何も言われない。

何なら次の日まで寝ててもいい。

そんな時間が余って仕方がない生活だったから、飲み会も気兼ねなく楽しむことができました。

飲み会には可愛い女の子もいて、飲みはきつかったけど、幸せでした。

社会人は時間がない

社会人になってからの飲み会は嫌な思い出の方が多いです。

新人の頃はつまらない上司の話をうんうんと頷きながら聞き、お酒を注ぎ、会計を済ませ、二次会の店を手配していました。

20時から終電まで、4時間近くの時間を取られ、翌日も朝から出社。

傾斜はあるものの、しっかりと飲み代は徴収されてしまう。

お金を払ってまで苦痛を味わうのは稀有な体験だと思います。


社会人はとにかく時間がありません。

朝から晩まで会社で仕事をしています。

食事や風呂、睡眠時間を除けば、平日自由に使える時間は4時間程度なのではないでしょうか。

当然、飲み会に行ってしまうと4時間まるごと吹き飛びます。

やりたいことはたくさんあるのに、楽しくない飲み会に貴重な時間を奪われてしまうのです。


会社の飲み会を心から楽しめる人は2パターンいると思います。

  • その会社でキャリアを積み上げていくことが人生だと思っている人
  • 家でやりたいことがない人


昭和の会社員は終身雇用・年功序列を前提に、会社に忠誠を誓って定年まで働き続けることを理想としていたそうです。

会社は「家族」で、クビは切らない。転職もしない。

会社の外の世界は見に行かず、こっそり副業するなんてもってのほか。


昭和の価値観で、会社にベッタリなキャリアプランを持っている場合は、会社の飲み会に参加することに合理的な意味があります。

社内のコネクションをたくさん作って仕事の機会を増やし、上司に可愛がられて出世の道を開くことが、自分の人生にとっての最適解になるからです。


しかし、昭和のように右肩上がりに日本が良くなっていく時代はとっくに終わってしまいました。

いまの20代、30代の会社員で会社を信じ切って、会社にキャリアを預けっぱなしにしたい人は少数でしょう。


自ら市場価値の高いスキルを身に付けて、社外にコネクションを作り、できれば勤務時間外でプライベートビジネスを構築しておきたい、という人は増えてきていると思います。

私たちは限られた時間で「社外で使えそうなスキル」を身に付け、自分の価値を高めていかなければならないのです。


そうすると、会社の飲み会に参加する時間は実にもったいなく感じてしまいます。

楽しくもない飲み会で、面倒だと思いながら上司にビールを注いで媚を売っても、転職したらその経験は全く役に立ちません。

終身雇用を前提としない限り、苦痛な飲み会に時間を費やす合理的な意味は見出だせないのです。

コミュニケーションに飲酒は必要か

冒頭の記事では、「飲酒こそが本音のコミュニケーションを促進させる」的なことが書かれていました。

飲み会は、結束力や団結力を強くする重要なコミュニケーションツールです。
お酒を飲むと、固定観念が崩れて、人と人の垣根が低くなります。
だから社員の本音を聞くことができます。

お前は何もわかってない、と言わざるを得ません。

「お酒を飲めば人は本音を語る」と思っているなら、大いなる勘違いです。

アルコールはたしかに理性のたがを緩める効果はありますが、酒の席で本音を話すほど馬鹿ではありません。

特に会社の飲み会では、お酒を飲みながらも冷静さを保ち、間違っても本音で悪口をぶつけたりしないように常に気を張っています。

お酒があれば本音が聞ける、という思い込みは想像力が欠如しています。


酒を飲んでも本音は話しません。


会社員のつながりは良くも悪くも「利害」によるものです。

利害でつながっている相手に対して、自分が損するような本音は話しません。

というか、恋人や友達にだって全てを本音で話したりはしないのに、「飲み会を開けば相手の本音がわかる」と思い込んでいるなら、思い上がりも甚だしい。

本音だと思い込んで、愉快な気分になってるだけです。


会社の人とは本音で話しません。

会社という建前の世界で生きているんだから、それでいいんです。

みんなが飲み会で本音を話したら明日から仕事なんてできなくなります。

利害でつながっているうちは、建前を大事にする。

それでいいんです。

大事なのは会社の文化とのマッチング

会社には文化があります。

リクルートの社員がやたらと意味不明な横文字を使い、意識が高くなるのも会社の文化です。

人は入った会社の文化に少なからず影響を受けます。

否定から入る文化に染まった人は、何を言われてもまず「ダメなところ」を探そうとします。


株式会社武蔵野のように、「飲み会こそが至高。出世したいなら酒を飲め」という文化もそれはそれでいいのです。

大事なのは「自分の価値観」と「会社の文化」がマッチしていることです。

会社の文化を変えることはできません。

なので、自分の価値観と文化がマッチしているところに所属するしかないのです。


自分の時間を大切にしたい人にとって、月に10回も飲み会がある会社に入るのは苦痛でしかないでしょう。

逆に会社の仲間は家族みたいなもので、家に帰っても暇だし、どうせなら毎日一緒に飲んで過ごしたい、という人にとっては、飲み会が頻繁に開かれる会社はとっても居心地がいいはずです。

頭にネクタイを巻いて、「おーい、帰ったぞ〜」と同僚を家に連れて帰るのもどこか昭和風で楽しそうですよね。

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大事なのは、文化とのマッチングです。

飲み会が良い、悪いではなく、自分の価値観が会社の文化とマッチしてるかどうか。

価値観と文化の一致こそが、居心地の良さを生み出すのです。