「22時から午前2時がお肌のゴールデンタイム」というのは嘘らしいので、現代の正しい睡眠の常識をまとめてみました。



22時から2時はお肌のゴールデンタイムなので、その時間帯によく眠ることが美容にとってとても大切だ

という話は、もう10年も前から言われてきました。
最近ベストセラーになったDaiGoさんの「自分を操る集中力」でも、

「睡眠の質は22時から夜中の2時の間に深い眠りに落ちているかどうかで決まります」

と書かれています。

ただ実際には、仕事をして、夜に予定を入れたりなんだりすると、22時に寝るのはちょっと難しいのではないでしょうか。
僕自身も、22時に寝たことはここ数年なかった気がします。

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今回読んだ「8時間睡眠のウソ」という本を書いた三島和夫先生は、国立精神・神経医療研究センター病院で睡眠の研究をしている方です。
年間400名以上の睡眠障害の患者と向き合っています。

三島和夫 医師,【不眠症、睡眠・覚醒リズム障害、冬季うつ病】,『不眠症』,国立精神・神経医療研究センター病院-精神生理研究部(みしまかずお,) | 名医を探すドクターズガイド

その三島先生によると、大事なのは22時から2時にかけて眠っていることではなく成長ホルモンが分泌されていることなのだそうです。

肌の修復には成長ホルモンが関係しています。
成長ホルモンは細胞の修復やタンパク質の合成を行います。

で、成長ホルモンの分泌は、22時から活発になるわけではなく、深い睡眠の時に活発に分泌されます。
深い睡眠は眠り始めの3時間ぐらいまでに出るものなので、何時に寝るかはあまり関係ありません。

むしろ大事なのは、断眠しないことです。
連続した睡眠をしっかり取ることこそが大切だと三島先生は言います。


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深く眠るためには昼寝しすぎてはいけない


さて、成長ホルモンが分泌されるという「深い眠り」ですが、夜にちゃんと深く眠るためには、日中に寝すぎないことも大切です。
というのも、日中に30分以上眠ってしまうと、日中に「深い睡眠」が出てきてしまい、夜の深い睡眠が激減してしまいます。

脳は深い睡眠の時によく冷えるようにできています。
しかし、睡眠が細切れになると冷却の効率が悪くなってしまい、脳がしっかり休めません。

受験生とか、「3時間寝て起きて勉強、眠くなったらまた眠る」みたいに、ストイックにやっていた人もいるかもしれませんが、基本的にこういう眠り方は休息にとって非常に都合の悪いものであることを覚えておかなければいけません。

寝不足は太る

「寝不足は太る」とよく言われますが、これは研究結果からも真実であるようです。
同じ人の睡眠時間を9時間、7時間、4時間にして調べた研究によると、睡眠時間が短いほど食欲を増すホルモンが増えると同時に、食欲を抑えるホルモンも低下することがわかりました。

つまり、寝不足の人は、ホルモンの作用によって太りやすくなっているということです。
意志の力がどんなに強くても、ホルモンによって食欲を促されたらちょっとキツイでしょう。

「痩せたい」と思う人は、まずちゃんと寝ましょう。

夜更かしが問題というよりは、寝不足が問題なのですが、現代のライフスタイル的には朝起きて会社や学校に行く必要があるので、
夜寝るのが遅いと必然的に寝不足になってしまいます。

なので、まずちゃんと眠ることが大事です。

でも、そんなに早く眠れないよ!いつも夜更かししてきたんだから!
という人もいるはずです。


どうしたらいいでしょうか。

寝付けないときは夜更かししよう


中学の時、理科の先生が言いました。

「眠れないときは、ベッドに横になっていなさい。
そうすれば、寝てるのと同じ効果があるから」

これは三島先生によると、正しくないようです。

むしろ、寝付けないときは夜更かしするべきなようです。

自然な眠気が出てくるまで、寝ないこと。
ベッドに入って10分で寝れなかったらベッドから出るのです。

その上で、

  • 起きる時間を固定すること。
  • 朝起きたら朝日を浴びること。


の2点を守ることが大事です。

週末も含めて同じ時間に起きて、光が網膜に入ってくるタイミングを同じにすることが重要です。
そうすれば自然な眠気が出てくる時間帯もバラツキが小さくなって、自ずと最適な睡眠習慣が決まってくるそうです。

ちなみに光の強さは、天井の照明を直接見たときで、網膜に入ってくる光が800ルクス程度です。
まっすぐ前を見たくらいだと300ルクス程度。

晴天時に外に出ると100,000ルクス。
窓際に立って外を見ただけでも8,000ルクス。
薄曇りの日でも30,000〜50,000ルクスくらいです。

要は、起きたら外に出て、光を浴びろということです。
朝起きたらベランダでストレッチするのを習慣にするのが良いのではないでしょうか。

逆に、室内の光はそれほど強くはないとはいえ、長時間浴びているとやはり体内時計に影響があるようで、

  • 夜はできるだけスマホを見ない
  • できるだけ温かい色の光で過ごす
  • コンビニに行かない

などを心がけるといいようです。

また、40度以下の風呂に10分程度半身浴するのも効果があります。

脳の温度は37度を中心に、一日に1度ほど変動するのですが、就寝前1〜2時間で脳温は滑り落ちるように下降します。
この脳温の落差が急であればあるほど、寝付きがよく、深い睡眠が増えることが明らかになっています。

就寝前の1.5〜3時間前に入浴し、入浴によって脳温を上げて、そこからストンと脳温が落ちてくることにより、眠りが深くなるということです。

また、夕食後のカフェインは避けましょう。
体の中でカフェインの効果は4時間以上持続するからです。

ちなみに、カフェインが効き始めるのは摂取してから30分後くらいなので、昼寝(必ず30分以内に抑えること)の前に飲むといいです。

会社員だと難しいかもしれないですね。

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朝型と夜型の違いは体内時計の周期によるもの

まず、朝型人間と夜型人間について。

体内時計は平均すると、24時間10分周期になっています。

あくまで平均というのがポイントで、個人差があります。
この周期が長い人は自然と夜型になっていき、短い人は朝型になっていきます。

朝型・夜型の違いは、体内時計の周期の違いです。


最適な睡眠時間も人によって大きく異なっています。

3時間しか寝なかったナポレオンと10時間以上眠らなければ活動できなかったアインシュタインがよく引き合いに出されますが、最適な睡眠時間は人によって異なっており、また同じ人間でも年齢によって変わってきます。

たとえば、日中活動していない高齢者は6時間未満の睡眠で十分です。
結局、最適な睡眠時間は、自分でを見つけ出していくしかないようです。

「最適」の目安は「日中のパフォーマンスが落ちないこと」です。

これを自分で見つけなければいけない。

ちなみに睡眠に関しては、寝不足は蓄積していきますが、寝だめはできないので注意が必要です。

月曜日に寝不足になったら、その時点から寝不足が蓄積していくということです。

睡眠の仕組み


最後に、睡眠の仕組みを知っておきましょう。

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まず、深い睡眠は初めの方に訪れます。
「徐波睡眠」とも言います。

深い睡眠のときに人間は脳を休め、成長ホルモンを分泌させます。
聞いたことがある人もたくさんいるかもしれませんが、レム睡眠は、90分おきに差し込まれるように発動する浅い眠りです。
REMとは眼球が素早く動いている状態のことで、Rapid Eye Movementの略です。

これらの「眠りの状態」は脳波を調べることでわかるのですが、何が「良い睡眠」なのかは正直わかっていないのが現状です。

睡眠時間を減らせたらいいな、というのは正直普遍的な願望かと思いますが、
最適な睡眠時間は個人差があり、また年齢によっても異なってくるので、自分自身が試行錯誤して見つけていかなければなりません。

睡眠の質自体を改善するためには、上に書いてきたような

  • 朝決まった時間に起きて光を浴びる
  • 長い昼寝は絶対しない
  • 寝る前にカフェイン摂らない
  • ぬるめの風呂で半身浴する

という工夫をしつつ、二度寝をせずに連続した睡眠をちゃんと取る習慣を付ける必要があります。

その上で、日中のパフォーマンスを最大化できる「睡眠の長さ」を自分なりに見つけte
、規則正しく生活するという当たり前のことが大切になってきます。

参考文献

8時間睡眠のウソ。 日本人の眠り、8つの新常識

8時間睡眠のウソ。 日本人の眠り、8つの新常識

朝型勤務がダメな理由 あなたの睡眠を改善する最新知識

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  • 作者: 三島和夫,ナショナルジオグラフィック
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今回はこの2冊を読みましたが、興味のある方は「8時間睡眠のウソ」の方をおすすめします。

「朝型勤務がダメな理由」の方は、ちょっと文章が読みづらく、何を伝えたいのがわかりづらいからです。

「8時間睡眠のウソ」の方は、文章は川端さんという文筆家の方が書いているので、非常に読みやすいです。

無責任に「短時間睡眠ができるようになる!」みたいなことを煽らず、研究でも明らかになってない部分は正直に「わかっていない」と述べている点が、非常に信用できます。