自分のことを完全に理解してくれる人などいない
仕事をしていると、どうしても愚痴を言いたくなるときがある。
なんでわかってくれないんだ。
どうしてうまくいかないんだ。
と、やりきれない現状に苛立ち、やり場のない嘆きを誰かに話したくなるときがある。
しかし、愚痴を誰かに話したところで良いことは一つもない。
愚痴を言う目的は、
自分を肯定してもらうこと
だからだ。
愚痴を聞く側ができることは、
「そうだね」
「わかるよ。ひどいね」
「君は間違ってないよ」
と同意して共感することだけだ。
僕は友達に愚痴を言ったことは一度もないが、心を許した彼女には愚痴を言ってしまうことがあった。
今なら言える。
これは完全に間違いだったと。
彼女だろうと、他人である。
自分の心の内を完全に理解してもらうことなんてできない。
自分の心の中の全てを伝えるには、僕はあまりにも言葉を知らなすぎるし、そもそも心の中の全てを言葉にして伝えることなんて無理だった。
愚痴を言われた側も何をしていいのかわからず、ただただストレスを抱えてしまう。
僕は彼女に愚痴を言うべきではなかったのです。
自分のことを完全に理解してくれる人なんていない。
他人が自分を完全にわかってくれるなんて幻想だ。
じゃあどうすればいいのか?
まずは自分を知ること
僕たちは自分のことをよく知っているようで、実は全然わかってない。
愚痴を言うときも、自分がなぜそれに腹を立てているのかわかっていないことが多い。
話すときも、自分が「問題の解決」を求めているのか、「肯定されたいだけ」なのか、ハッキリとわからずに思うがままに喋ってしまう。
まず、自分を知ることが大事だ。
問題の解決のアドバイスがほしい時は、素直に意見を聞けばいい。
ただし、愚痴を言うときは、
・答えは求めていないけど他人に話を聞いてほしい
・答えは自分の中では出ているけど、他人に背中を押してほしい
場合がほとんどである。
特に女の子が彼氏の愚痴を言うときにこのパターンが多い。
「君は間違ってないよ。
ひどい彼氏だね」
と言ってもらいたいがゆえに愚痴を言うが、色々と根拠を並べて
「だから、別れたほうがいい」
と言っても絶対に別れない。
その子の中では、「彼から離れられない」という結論が出てしまっているからだ。
答えが出ている人に対して、他人のアドバイスはあまりに無力だ。
他人は自分のことを理解してくれないし、自分は他人のアドバイスなんて聞かない。
結局どうすればいいのだろう?
自分の問題はノートに書けばハッキリする
他人に愚痴を言っても無駄にストレスを与えてしまうだけだし、他人にアドバイスされても心の底には響かない。
そんなときは、ノートである。
ノートは自分が抱える問題を可視化し、具体的なアクションを生み出すための最強のツールだ。
今ではiPadやスマホのアプリなど色んな機械が溢れているが、ペンを握ってノートに書くのがいい。
思うがままに、自分の思いを書き殴るのである。
ノートに思いを書き殴ることの効果は三つある。
一つ目は、ノートに書くうちに気持ちが晴れ晴れとしてくることだ。
ストレスを全てノートに吐き出すことは、その行為自体が大いなるストレス解消になる。
本当に。
お酒を飲むよりも、カラオケに行くよりも、ストレスの原因となっているものをノートの書き出しまくって、自分の抱えた思いを全部出す。
その後で、冷静になってノートを見返してみると、
「あれ...?これ、そんなに大した問題じゃないな...」
と、どうでも良くなってしまうことも多い。
頭の中のモヤモヤとした思いを必死に言語化し、ノートに吐き出して客観的に見ることで、自分を俯瞰することができる。
自分を俯瞰すれば、「問題」と「感情」を切り離して冷静に見つめることができる。
あとは問題の解決にフォーカスするだけだ。
ノートに書き殴ることの二つ目の効果は、問題を可視化することで、具体的なアクションにつながることだ。
自分が問題に思っていることをノートに書き、それを5W1Hで深掘りしていく。
- なぜそれが問題なのか?
- 何が問題なのか?
- 自分には何が必要なのか?
- どうすればその問題を解消できるのか
- いつまでにそれをやればいいのか?
- どこに行けばその問題は解決するのか
など、頭で悶々と考えているうちはじっくりと分析できないが、紙に書くことで一つ一つの問題について腰を据えてゆっくりと考えることができる。
「紙に書く行為」が素晴らしいのは、ゆっくり考えることができるからだ。
難しい問題は、ゆっくり考えないと解決できない。
ダニエル・カーネマンが述べたように、ゆっくり考えられる人が勝つのだ。
ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 作者: ダニエル・カーネマン,村井章子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2014/06/20
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (32件) を見る
でも現代の僕たちはあまりにも忙しすぎて、目の前の問題に腰を据えてゆっくり向き合ってる暇がない。
だからこそ、机のノートとペンを用意して、じっくり自分と向き合うことができれば強い。
結局、僕たちを救うのは他人の同情ではなく、具体的なアクションなのである。
ノートに書くことの三つ目のメリットは、自分の想いを記録として残せることだ。
パラパラとめくれば、自分の思考の跡をいつでも確認することができる。
強い想いは行動のきっかけになる。
そのとき感じていた屈辱を、そのとき抱いた決意を、風化させずに何度も何度も見返す。
「臥薪嘗胆」という故事は、屈辱を忘れないように工夫を凝らした中国の王の行動に由来する。
「越」という国に破れた「呉」の国の王は、その屈辱を忘れないように薪の上で眠っていたという。
その後、呉に破れた越王は、肝を嘗めることで屈辱を忘れないようにした。
どんなに強い気持ちを胸に抱いても、何もしなければだんだんと風化して忘れていってしまう。
人間はそういう風にできている。
だからこそ、肝を嘗めるようにノートを時々見返して、意志の力を高めるのがいい。
その想いは自分を行動に駆り立て、具体的な行動はきっと、自分を「愚痴の世界」から引き上げてくれるはずだ。
ニトムズ STALOGY 365DaysNotebook A5
- 出版社/メーカー: ニトムズ
- 発売日: 2013/08/26
- メディア: オフィス用品
- この商品を含むブログを見る