ジャンプ50周年特別号の鳥山明 × 井上雄彦の黄金対談から得るべき教訓



伝説の漫画『ドラゴンボール』

今週の少年ジャンプは豪華だった。BLEACH作者の久保帯人先生の読み切り『BURN THE WITCH』が掲載され、ONE PIECEが巻頭カラーに据えられた。

相当気合いを入れて準備してきたことがよくわかる。

中でも気になったのが、『SLAM DUNK』の井上雄彦先生と『ドラゴンボール』の鳥山明先生の対談である。


ご存知の通り、この二人はジャンプの黄金期を支え、不朽の名作を生み出した伝説の漫画家だ。

二人が対面するのは今回の対談が初めてだという。


ONE PIECEの尾田栄一郎先生も公言しているように、


「好きな漫画はドラゴンボールです」


と言う漫画家は多い。

井上雄彦先生も同じで、スラムダンク連載当時からずっとドラゴンボールが好きだったそうだ。


対談では、


「僕の中ではドラゴンボールが漫画の基準でした」


と語っている。

アンケートで常に最強のドラゴンボール。

担当からは口酸っぱくドラゴンボールを意識しろと言われていた。

一番大事なのは「センス」

天才・鳥山明は対談の中で


「漫画に一番大事なのはセンス」


と語っている。

スラムダンクやNARUTO、ONE PIECEからはセンスを感じて、


「なるほど、確かに人気出るわ」


と思ったのだそう。


「井上先生の絵のセンスはね、どんなに練習してもできないと思いますよ。

デッサン力は勉強すれば身につくかもしれないけど、センスだけはどうしようもないところがあります。

持って生まれたものに近いと思う」


僕のようにセンスがなく、努力と根性でなんとかしよう、と考えている人間にとっては厳しい現実を突きつけられた感はある。


一番大事なのは、センス。


センスがなければきっと、大成しないのだろう。


ただ、この「センス」をどう捉えるかも考えようで、『センスは知識からはじまる』という本を書いた水野学さんは


「センスとは知識の集積である。これが僕の考えです」


「センスとは、誰にでも備わった身体能力と同じです。
方法を知って、やるべきことをやり、必要な時間をかければ、誰にでも手に入るものです」


と述べている。


「センスは知識からはじまる」を読んだので、ファッションセンスの身に付け方について考える


ちなみに井上雄彦さんは、鳥山明先生の「井上先生の絵のセンスはすごい」というコメントに対して、


「全然センスの塊じゃない。最初は裸足の絵を描いたこともなかった」


と謙遜している。


まずは応募すること

wikipediaの鳥山明先生の来歴が面白い。

wikipedia 鳥山明 来歴


幼少期は貧しい家に育った。

絵を描くことが好きで、欲しい物が手に入らなかったときは絵を描いて過ごしたり、腹をすかせながら漫画を描くのを唯一の趣味としていたそうだ。


これは僕の根性論的な偏見が入ってしまうかもしれないが、あの鳥山明先生も幼少期から長い期間、絵を描いて過ごした積み重ねがあったのだ。

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バクマンの新妻エイジ的なイメージだろうか。


鳥山明先生は高校を卒業して広告会社のデザイン会社にデザイナーとして入社。

2年半働いて辞めた後は暇すぎて、喫茶店通いをしていた。


置いてある雑誌を端から読む毎日で、最後に手にとった雑誌が少年誌だったという。

そこで見つけたのが少年マガジンの


賞金50万円


の文字。


金もないし、仕事もないので


「うおーー!金欲しーーーー!」


と思いながら漫画を描いたものの、少年マガジンの締切には間に合わず、仕方ないので毎月募集していた少年ジャンプに応募した。


こうやって見ると、稀代の天才漫画家、鳥山明の原点は決して崇高な志に支えられていたわけではないことがわかる。


金、ほしーーーー


ととりあえず応募して、そこから漫画家・鳥山明の人生が始まった。


伝説の編集者、鳥嶋和彦に鍛えられ、Dr.スランプやドラゴンボールを世界的なヒット作品に育てていく。

世の中の成功した人全てに共通する特徴は「応募」していること


偉大な作品は大勢で協力して生まれる、というシリコンバレー的な伝統もあるが、鳥山明先生はアシスタント一人、後半は自分一人で漫画を描いていた。


理由は


「人に使われるのも使うのも苦手だから」


だという。

世の中に色んな成功者があれど、鳥山明先生はまた異色の経歴の持ち主だろう。


それでも一つ、我々が学べることがあるとするならば、鳥山明先生だって、応募するまでは喫茶店でブラブラしている無職だったのだ。


金がきっかけとはいえ、漫画を描いて応募したことから人生が動き出し、そして世界中を熱狂させる素晴らしい漫画を生み出すに至ったわけだ。


もちろん鳥山明先生のような才能の持ち主はごくわずかしかいないだろうし、応募しても「鳥山明」になれるわけではないけれど、それでも


「とりあえず応募してみっか」


的なノリで、とりあえず何か人の評価にさらされる場に自分の作品を出すことが大事なんじゃないかな。


自分にどんな才能があるかはわからないし、出したら意外な才能が見つかるかもしれない。


幸い、今は誰もがインターネットを使う時代で、何かを出すには良い環境が整っている。

Youtubeで音楽は配信できるし、自分で漫画をnoteに載せたりツイッターで発表することもできる。


ツイッターに載せていた漫画がバズって、雑誌デビューした作家もいる。


とにかく、何かを作って世の中に出してみること。

評価にさらされること。

当たるまで気楽に続けること。


そんなのが大事なんじゃないかな、と対談を読みながら考えていた。