先週から読んでいる『西洋美術史』の本の内容が頭に入らない。
これは決して本の内容が悪いというわけではない。
わかりづらいというわけでもない。
人名にカタカナが多すぎるのだ。
世界史の授業を受けたことがある人なら皆経験があると思うが、世界史に出てくる人名はどれも似ている。
「メロヴィング朝の次はカロリング朝」
「ピピン3世の息子はシャルルマーニュで、サン=ドニ修道院町がシュジェール」
とか、なんとなく似たような名前が続いてわかりづらい。
ルイ3世とかルイ9世とか、お前ら一体何世まで出てくるんだよ、全部ルパン3世でいいだろと思ってしまう。
そうやって覚えられないまま読み進めてしまうと、文章が脳を素通りして、読んだつもりが何も頭に残らない残念な結果に終わってしまう。
それを避けるのが、伝説の武具「赤シート」と「緑のペン」なのだ。
僕はこの「赤シート」と「緑ペン」を侮っていた。
というのも、頭の良い人で赤シート的なものを使っている人は見たことがなく、赤シートがなんとなく「負けた人」の使う小道具のように思えていたからだ。
とんでもない!
赤シートは古くから受験生に愛されてきた伝説の紙。
侮ってはいけなかったのだ。
そもそも僕自身、記憶力が良くないので、小道具に頼ることを躊躇するべきではない。
赤シートを使うことで少なくとも以下の効果が期待できる。
その場で覚えることができる
記憶とは繰り返しである。
人間は生きていくために必要なもの以外はなかなか記憶できないようになっているため、繰り返し叩き込んで、脳に
「これは大事な情報だぞ」
と思い込ませなければならない。
しかしなんとなく何度も読むだけでは全然記憶に残らないので、一度は「その場で覚える」必要がある。
「その場で覚える」ために我々はノートに何度も書いたり、口でぶつぶつ唱えたりするのだが、そこで気付いてしまったのだ。
「赤シート使えばいいじゃん」
と。
カッコ悪いかもしれないけど、ちゃんと覚えていることを確認するには、赤シートは地味に効果が高いと思う。
いや、実際に使ってみて思った。
赤シートで隠した単語を覚えるには、少なくとも一度読んで線を引いて、すぐにもう一度同じ箇所を読み返すという作業を行う。
この短時間での繰り返しが地味に記憶に効く気がしてならない。
少なくとも赤シートのおかげで僕はサン=ドニ大聖堂の修道院長になったのが「シュジェール」というおっさんだと覚えることができた。
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復習しながら記憶を強化できる
僕は記憶力が良い人が本当に羨ましい。
世の中には一度何かを読んだだけで記憶できる人とか、一度話を聞いただけで細部を理解できる頭の良い人がいるが、僕はどうしてもそういう頭の良い人にはなれない。
記憶力が悪くて助かるのは、浮気がバレて記憶が無いふりをするときくらいだ。
いま『西洋美術史』を読み返してみると、今日の朝に「宮宰カール・マルテルの息子がピピン3世」と覚えたはずなのに、もう忘れてしまっていて絶望した。
本当に、なんでこんなに覚えられないんだろう。
受験期と同じような悩みをおっさんになってから再度抱えることになるとは。
とはいえ、もし僕が「赤シート」を使わずにいたら、「覚えていなかったこと」にすら気付かなかったに違いない。
「無知を知る」というと悲しくなるが、「無記憶を知る」だけでも意味があるのだ。
受験勉強をしているわけではないので細部を詳細に記憶する必要はないのだけれど、何か会話する際にいちいちスマホで検索するのはカッコ悪い。
僕たちはGoogleという巨大なハードディスクをいつでも使える状態にあって、「記憶することの大切さ」は昔に比べて少なくなってきているかも知れないが、やはり土壇場で役に立つのは脳に入っている情報なのである。
だってGoogleで情報を検索するよりも、脳から情報を引き出したほうが100倍くらい早いからね。
だから、何かを覚えておいて損はない。
何かを覚えたいときはどうしたらいいかって?
そう、赤シートを使うんだよ。
理解と応用が肝となる勉強には使いづらい
『西洋美術史』は歴史の勉強の一環として読んでいて、それとは別に将来アプリを作るためにプログラミングの勉強もしている。
歴史の勉強はブロガーとして一皮むけるためのインプットで、プログラミングは将来の目標のためかな。それはまぁいっか。
それで、プログラミングとか数学とか、「覚えることよりも理解して応用すること」が大事なものに対しては、我らの「赤シート」は無力だ。
というのも、本に書いてあることを丸暗記したからといって、暗記した内容がそのまま使えることはまずないからだ。
これは数学などの理系科目で丸暗記しても点数を取れないのと同じだろう。
プログラミングは道具なので、使い方を読んで理解して、自分で実際に使って試してみて、それから応用することでだんだんと習熟してくる(と思っている)
プログラミングや数学はどちらかというとスポーツや工作に近いもので、色々と道具を使っているうちにだんだんと上達してくるのではないだろうか。
それで、サッカーのルールブックを赤シートを使って覚えても意味がないように、道具に習熟することが望まれるものに対しては、必殺「赤シート」は使えない。
とにかく自分で手を動かして頭を使って時間を費やすしかない。
「赤シート」は歴史などの教養的な知識を記憶するには破壊的な威力を発揮するが、理系的な勉強に対する効果は限定的だ。
そんな赤シートの限界を意識しつつも、普段の読書の効果を高めるにはやはり強力な武器になるので、今後は積極的に恥ずかしがることなく赤シートを使っていきたいと思っている。
スタバで赤シートをかぶせて本を読むおじさんがいたら、高確率で私である。
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