僕たちは一年のうちにたくさんの本を読みますが、きちんと記憶に残っている本はどれくらいあるでしょうか?
目を通したことはあるけど全く記憶に残っていないもの。
ぼんやりと覚えてはいるものの、内容を思い出せないもの。
読み終えたはずなのに、理解できていなかったため、本なしでは内容を説明できないもの。
知識を吸収するために時間をかけて読書したのに、自分の中には何も残っていない、という経験をしたことがある人はたくさんいると思います。
僕はそうでした。
気になる本は片っ端から買って、そのうちの一部はサラッと読むものの、頭の中に残らない。
読んだという満足感だけが残って、実生活で活かせず悔しい思いをしたことは何度もあります。
そこで今日は、僕の今までの失敗を振り返り、
「どのように読書すれば、内容を頭に残せるのか」
を考えてみます。
ポイントとなるのはやはり「繰り返し」です。
復習が大事
人間の脳は「生命の維持に必要なこと」は重要な情報だと判断するため、記憶しやすいようにできています。
「毒キノコを食べたら死ぬ」
「蛇に近づいたら噛まれる」
などの情報は一度覚えたら決して忘れません。
忘れたら死ぬからです。
一方で、読書によって得られた知識は「生命の維持」には基本的には無関係であるため、一度読んだだけでは覚えることができません。
なので、読書の内容をきちんと覚えるためには、脳に「重要な情報である」と錯覚させる必要があるのです。
そのためには「繰り返し」が必要です。
一度読むだけではなく、何度も繰り返し読むことで、脳は
「こんなに繰り返してるんだから重要な情報やろ」
と判断し、情報を長期記憶にぶち込んでくれます。
その場で覚える
何かを学習したときは、一度その場で記憶してしまいましょう。
記憶した内容であってもいずれは忘れてしまいますが、その場で覚えていない場合は、復習しても記憶が強化されません。
「読む」だけでなく「覚える」ことが大事です。
「覚える」とは、以下のような状態をいいます。
- 本を見ないで暗唱できる
- 本を見ないで人に説明できる
- 本を見ないで内容を要約できる
英単語を覚えるでもない限り、暗唱までする必要はないと思いますが、
「それってどういうこと?」
を本を見ずに自分の言葉で説明できることが重要です。
忘れる前に繰り返す
エビングハウスの忘却曲線が有名ですが、人間は記憶した内容をどんどん忘れていきます。
勉強法の本の多くには、復習について以下のように書かれています。
- 記憶した内容は一日経つとほとんど忘れられている
- 復習すれば、記憶した内容は復活する
- 復習を繰り返せば忘れにくくなるため、復習の間隔を延ばすことができる
だから一日後、三日後、一週間後のタイミングで復習するべきだ...などとよく言われるのですが、そこまで厳密に復習対象を管理している暇がある人はなかなかいないと思います。
学習した内容が増えれば増えるほど、管理のコスト(時間)も増えてしまうでしょう。
なので、資格試験のような「完全な記憶が要求される場合」以外は、もう少しアバウトに「忘れる前に繰り返す」くらいがいいと思います。
本棚をざっと眺めることです。
眺めて、忘れているものは読み返します。
ちなみに僕は今、2ヶ月前に読んだ「ふろむだ本」を読み返しています。
理解してないものは覚えられない
英単語などの単純なものでさえ、文脈と絡めたり実際に使わない限りはなかなか覚えられません。
本を通じて何らかの主義・主張に触れたとしても、その内容を理解できていないと全く記憶に残りません。
ただ読むだけではダメで、大人になると、「理解できていない内容」は覚えられないのです。
僕が新人の頃、上司に仕事の説明をしてもらい、必死になって説明内容をノートに取り、そのノートを何度も読み返したのですが、全く内容が頭に入ってきませんでした。
「なぜそうなるのか」
「どういう理屈でそのようにしたのか」
という基礎となる部分の理解ができていなかったからです。
重要そうなキーワードだけ覚えても、理解が伴わなければ使えません。
なので、覚えると同時に「まず理解する」ことが大切です。
理解するには点と点をつなげる
一度読んで理解できなかったものでも、別の機会に読み直してみたら理解できた、という経験があるかもしれません。
初めは頭の中の知識が断片的で、知識の点と点がバラバラになっている状態です。
一度全体を俯瞰すると、点と点がつながって線になり、目の前が開けたように理解できることがあります。
僕がプログラミングを勉強し始めた頃、本を読んでも何がなんだかさっぱりわかりませんでした。
難しいことばかり書いてあって、読んでも読んでも意味不明だったのです。
しかし、一度素晴らしい本に出会い、概念を理解できるようになってからは、以前のように本を読んでつまづくことはなくなりました。
なので、本を読んで躓いた方は、
- わからないところを飛ばして、全部読んでからもう一度読んでみる
- 別の本を買って、違う角度から勉強してみる
などを試してみてください。
いま僕は、同じことを統計学やファイナンスの勉強で試みています。
目次を使おう
目次を復習に使う方法は有名ですよね。
目次を読んで、目次から内容を「思い出す」のです。
内容が思い出せなければ復習して、思い出せれば復習しなくてもOK。
復習で大事なのは「読み返す」よりも「思い出す」ことなので、目次単位で振り返ることで、大幅に時間を節約できます。
本を読んでいる途中でも、たびたび目次を振り返り、
「あれ、ここなんて書いてあったっけ?」
と思い出すと効率が上がると思います。
同じような方法に、「読書メモを取っておいて、空いた時間に読み返す」という技もあります。
歩きながら「思い出す」訓練
僕が読んできた勉強ノウハウ本の総まとめみたいになっているのですが、歩きながら「読んだ内容を思い出す」訓練は時間が有効に使えておすすめです。
トイレに行っている時間でも構いません。隙間の時間に
「あのとき読んだ本の内容ってこんなんだっけ?」
と思い出すことで、記憶が強化されます。
歩きながらスマホを見たり、音楽を聞いている人は多いと思いますが、あえて何もせずに脳内で復習する、というライフハックもおすすめです。
暇な会議中でもできるのがポイントでしょう。
カンペを作る
そもそも社会人は受験と違って、いくらでもカンニングすることができます。
理解していない内容をググってもたいして役には立ちませんが、一度記憶して理解した内容であれば、検索したらすぐに使える形で引き出すことができます。
つまり、「記憶する」という作業をグーグルに任せることで、我々は「理解する」「利用する」作業に専念することができるのです。
とはいえ、いちいちキーワードを打ち込んで検索するのもそれなりに時間がかかります。
脳にストックしておけば0.1秒で引っ張り出せるので、「グーグルがあれば勉強不要。なんでも解決できる」みたいな慢心は捨てたほうがいいと思います。
グーグルは「知っている内容」を検索して記憶を強化する場合には非常に有用ですが、「知らない内容」をゼロから理解するには向いてません。
情報が体系的にまとめられているわけではないからです。
なので、まずは自分自身が体系的に何かを学び、理解しておく必要があります。
理解した内容を自分のブログに残しておけば、グーグルの検索アルゴリズムの変動に左右されないカンペができます。
ウェブ上のカンペを上手に利用することは、社会人の生産性を高めるための必殺のライフハックだと考えています。
アウトプットする
「覚えた内容は人に説明すると忘れない」とはよく言われます。
説明の準備をすることで自分自身の理解の確認にもなるし、忘れていた部分の復習にもなります。
また、実際に人に話していると、自分がきちんと理解できていなかった部分を発見することができます。
知識は道具です。
道具は使ってみなければ使えるようにはなりません。
ルールブックを読んでもサッカーができるようにはならないように。
なので、覚えたものは積極的に使っていきましょう。
- 説明する
- 使ってみる
- 応用して何か作ってみる
- 覚えた知識の内容をこねくり回してみる
など、色々と使い倒しているうちに、だんだんと知識が知恵として、自分のものになってくるはずです。
関連記事:ドラゴン桜2の英語勉強法がすごい
ツイッターよりもブログに書こう
読書した内容をアウトプットしよう!ツイッターにつぶやこう!
という主張はよく見ますが、僕の経験上、読書の内容はツイッターに書くよりもブログにした方がいいです。
理由は単純で、ツイッターの140文字の制約の中では、筋道立てて何かを説明することは難しいからです。
140文字で内容を説明する場合は、書籍の一部分を思いっきり要約して結論だけ紹介するくらいしかできません。
ツイッターでのアウトプットに意味がないとはいいませんが、実生活で「140文字で説明して終わり」というケースは多くありません。
それよりも、
「なぜそうなるのか」
「具体的にはどのような事例があるのか」
などを理解し、掘り下げて説明できることが大事です。
なので、ツイッターよりもブログやYoutubeにアウトプットするのを僕はおすすめします。
ツイッターのほうが人の目に触れる機会は多いんだけどね。