【感想】映画『キングダム』はストーリーがわかっていても絶対に面白い



映画『キングダム』は、始まる前は「ここを実写化でいいのか」と疑問に感じていましたが、終わってみると「ここしかないな」という感想でした。

映画『キングダム』は原作の1〜5巻が舞台となっています。

信と漂の出会いから成長、そして別れ。
その後、弟の反乱によって王都咸陽を追い出された嬴政が、その玉座を信と共に取り戻すまでの物語です。

『キングダム』の原作の方は、16巻まで読み進められるかどうかが試金石となります。
16巻まで読み進められた人はそれ以降、ほぼ確実にキングダムにハマり、それまでたどり着けなかった人は

「絵が苦手」
「面白さがわからない」

と挫折していきます。

それほどまでに『キングダム』16巻で起こる出来事の衝撃は大きいのです。

しかし映画版『キングダム』では原作の面白さが加速する16巻の戦いは描きません。
初期の初期、『キングダム』の入り口の部分を描きます。

1〜5巻の時点では作者の原泰久先生の画力がまだ成熟しきっておらず、コマ割りやストーリーも現在のキングダムに比べるとまだ若々しさが残っています。

そんな事情もあり、名作『キングダム』の魅力を伝えるのに1〜5巻で本当に大丈夫なのか?という不安がありました。

しかし実際に映画を観ると、現時点で50巻以上ある『キングダム』の中で

「映画にするならここしかない」

と考えを改めさせられました。

監督の佐藤信介さんは天才です。

映画化は1〜5巻以外にありえない。


「夢」

それは『キングダム』を貫くテーマの一つです。

ワンピースのルフィが海賊王を目指すように、信と漂は天下の大将軍を目指します。
何も持たない奴隷の身分から、剣で這い上がる。

そのために毎日毎日修行を重ねてきたのです。

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そして映画の舞台ではまだ力のない秦王・嬴政もまた、大きな夢を持っています。

「中華の唯一王」

という夢です。

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後の始皇帝となる秦王・嬴政の夢と信の夢が重なり、共に歩み始める場面を描くのが映画『キングダム』なのです。


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キングダムはなぜ、ストーリーがわかっていても面白いのか

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僕は原作を5周以上読み返しているので、ストーリーは完璧に把握しています。
把握しているどころか、セリフ一つ一つを暗記しているレベルです。

それでも映画『キングダム』は異常に面白かった。
理由はみっつあります。

ひとつ目は、俳優のアクションが素晴らしかったこと。
ふたつ目は、配役が絶妙だったこと。
みっつ目は、物語のテンポがとても良かったことです。

アクションが良い

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僕たちが映画で『スパイダーマン』を観たり、『アベンジャーズ』を観たりするとき、最後はスパイダーマンが敵を倒し、アイアンマンが無双することはわかりきってますよね。

それでも十分に楽しめています。

映画版『キングダム』も同じです。
ストーリーが完璧にわかっていても戦闘シーンのアクションが素晴らしいので、めちゃくちゃ面白いのです。

特に山崎賢人くんの熱演にシビレます。めちゃくちゃカッコいいです。
ムタの吹き矢が飛んでくるシーンでは思わず首を横に振って避けてしまったくらいでした。

「信が現実にいたらこんな感じだったろうな」というのが見事に表現されていると感じました。

配役(キャスト)が良い

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原作の世界観をそのまま表現するような配役でした。

長澤まさみの楊端和はセクシーで威厳があり、
吉沢亮の嬴政は、端正な佇まいが美しく、セリフからは王としての資質を感じました。

山崎賢人は信の奔放な性格や疾走感を見事に表現してくれています。

原作のイメージ通りでした。
よくここまでイメージに近い人を集めたなと感動しました。

欲を言えば、大沢たかおの王騎将軍と要潤の騰はもうちょっと身体がでかいほうが良かったかなと思いましたが、それ以外は山の民の肉体といい、朱凶の鼻といい、素晴らしい再現度です。

原作大好きだからこそ、再現度の高さに感動しました。

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テンポが良い

原作1〜5巻の重要な部分を全て詰め込みながら、決してダラダラせずに話が進んでいきます。
もう何度も読んだ漂の死の場面でも泣けてしまいましたし、原作を知らない人でも飽きずに入り込んでいけるストーリーです。

場面の移り変わりもスムーズで、それでもなお必要な情報が詰め込まれており、“濃い映画”の印象を受けました。

「退屈な場面がない」

というのも映画『キングダム』の魅力の一つです。

王騎将軍が戦争に加わった理由

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ネタバレ注意です。

僕は読解力が足りなかったので、原作を読んでいたとき、王騎将軍が嬴政と成蟜の争いに手を出した理由がわかっていませんでした。
昌文君が咸陽を脱出するとき、王騎将軍が出てこなかったら逃げ切れていたじゃん、漂も死ななくてよかったじゃん、などと思っていたのです。

関連記事:キングダムの王騎将軍はいつからカリスマになったのか

映画ではその辺の事情も説明されています。

王騎将軍は王宮の争いに登場したとき、こう言います。

「戦争は国内で行うものでなく、中華を相手に行うものです」

くだらない国内の争いだからこそあえて参戦し、民の被害を最小限に留めたのです。
昌文君をわざと逃し、偽の首を差し出すことで昌文君の領土を得て、そこに住む民を守りました。

そんな王騎将軍の一連の行動を振り返り、昌文君はこう言います。

「全ては王騎の盤上の上だった」

と。

僕が愚かにも

「1〜5巻の王騎将軍の行動は意味がわからず、カリスマ性が表現できていない」

と感じていた部分を、映画では見事に描いてくれており、個人的にはそこが一番心に残りました。


後に始皇帝となる嬴政の夢。
天下の大将軍を目指す信の夢。
かつて昭王と共に中華の夢を追いかけた王騎将軍。

3人の夢が重なり、同じ方向に進み始めるところまでを映画は表現していたのです。

キングダムをまとめて読むには何がお得か


キングダム 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

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『キングダム』は原作もめちゃくちゃ面白いので全巻読破強くおすすめしたいです。
人生のどこかのタイミングで一度は読んでほしい漫画だと自信を持って言えます。


しかしコミックスは1冊554円もするので、53巻分集めてしまうと3万円近くかかります。
それが辛い場合は、TSUTAYAでレンタルすれば一冊あたり90円で読むことができます(30冊まとめてレンタルする場合)

宅配もできるので、家にいながらにして安くキングダムをまとめ読みできます。

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DMMの漫画レンタルはさらに安く、1〜54巻まとめて4,320円で読めそうです。

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既に50冊以上あるコミックスを全巻購入するのは心が折れるかもしれませんが、レンタルならそれほど手痛い出費にならず、それでいて内容を楽しめるのでデビュー戦におすすめです。