【ネタバレ】デスノート 特別編の読切が最高すぎた



どんなに仕事が大変な時期でも、月曜が憂鬱になったことはない。

少年ジャンプが発売されるからだ。

受験のときも、就活のときも、会社に通い始めてからも、月曜日を楽しみに毎日生きてきた。

ジャンプに生かされてきた、といってもいい。

デフォルトが月曜発売のジャンプだが、月曜が休みになる三連休のときは、土曜日にジャンプが発売される。

土曜にジャンプが出る週の金曜日は決して飲みに行かない。

土曜の朝4時55分に起きて、朝5時に配信されるジャンプ最新刊を待つ。

今のジャンプはアプリで読めるのだ。

いつものように少年ジャンプ+を立ち上げたとき、ふっと懐かしい絵が目に入った。

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......。

..........。


お前は......。

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ニア!?


ニアだ。

デスノートの作画を担当した小畑健先生が画業30周年を記念して、小畑健展を開く。

イベントに先駆けて、読者にちょっとしたサプライズを与えてくれたのだろう。

掲載された作品は2つ。

『DEATH NOTE Cキラ編』と『新作読切ネーム』である。

2019年8月には両方ともWebで無料で読めたが、2020年2月4日では「新作読切ネーム」だけがジャンプ+で無料読めるようになっている。

* * *

【重要追記】
2020年3月3日に発売されたジャンプSQ.(スクエア)3月号に特別読み切り版「今この時代のデスノートの物語」が掲載されました!
ウェブで読むにはジャンプBOOKストアのアプリをダウンロードすればOKです!
600円です(Kindleでも読めます)

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清書版デスノートの圧倒的な画力


2020年3月3日までなら、少年ジャンプ+のサイトで読み切りのネームを読むことができます。

少年ジャンプ+のデスノートの読切のネーム


今回、ジャンプスクエアに登場したデスノートの読切版を読み、詳細なあらすじを最後に追記しました。
当たり前ですが、ネーム時から大幅に進化しています。

この記事であらすじを読んでいただければ、どんな感じのストーリーかがわかると思います。

Amazonのリンクはこちらです→ジャンプSQ. 2020年3月号

* * *


今回の読切はすごい。

現代のテクノロジーに対応したキラが、完全犯罪を計画する。

そして“L”として活動したニアが、初めて敗北する事件にもなるのだ。

デスノート Cキラ編のストーリー

Lが夜神月に殺されて9年。
夜神月が死神リュークに殺されて3年。

ニアはLの代わりとして世界の難事件を解決し続け、人々の中にLは存在し続けた。

キラは抹殺されたのか?
休んでいるだけなのか?

人々が噂する中、新たにデスノートを使う人間が現れた。

新キラがターゲットとしたのは高齢者だった。

死にたい老人を死なせてくれる「復活したキラ」
ネットには死を望む老人や家族ぐるみでキラに死を願う者達で溢れた。

かつてキラと戦った日本の警察も騒ぎ始めていた。

殺人ノートが復活したのか?
死を望む高齢者を殺すのは悪なのか?

世論も揺れる。

そんな中、FBIのメンバーもニアに接触を図る。

「なぜ動かないんだ?」

とニアに尋ねると

「Lならどうするか、考えているんです」

と答える。

今の新しい殺人者を「キラ」と呼ぶのは、Lにもキラにも失礼だと。

Lもキラを悪としながら、自分が命を懸けるだけの意味のある相手だと考え戦っていた。

しかし今、ノートを使っている人間はクズだと。
私欲の為にノートを使った火口と変わらぬ人間。
キラを気取っている馬鹿と言う。

タイトルのCキラは「Cheapキラ」つまり、安っぽいキラという意味だ。

安易な殺人を繰り返すCキラ。
ある日、テレビを通じて暴走し始めたCキラに対し、テレビの電波をジャックした“L”は一言だけ個人的なメッセージを送る。

そのメッセージを受け取ったCキラはある行動に出た──

というのが、Cキラ編のストーリー。
そしてCキラ編から数年後の世界につながっていく。

新作読切のストーリー

Cキラ編の続きが新作読切となる。
新作読切は「もし今の時代にキラがいたら」がテーマとなる。

こっちの読切はもう、とにかく読んでほしい。

最高だ。

スマホで誰でも写真を撮れる時代。
街中に監視カメラがついて、警察がいつでも映像を確認できる時代。
サイバー犯罪の対応のレベルも上がり、ネットの発信元も隠しきれないかもしれない。

今の時代にキラが生きていたらどうやって“L”と戦っていただろうか。
殺人を犯さずにデスノートを使うにはどうしたらいいか。

しっかりと利益は得るが、罪は犯さず、証拠も残さずに幸せに暮らす。

そのために知恵を絞った新キラの話が新作読切だ。

旧キラ、すなわち夜神月とはまた別の魅力が新キラにはある。
かつてのキラは理想主義で自分の理想のために世界を変えようとしていたが、今回のキラは良い意味で現実主義者。

二人に共通しているのは恐ろしく頭が良いことだ。

読切では

「デスノートを使ったものは不幸になる」

で締めたわけだが、連載に向けてまた別の方向のストーリーが練り上げられていくのかもしれない。



ジャンプスクエアの読み切りの詳しいあらすじ

2013年。

死神リュークはよだれを垂らしながらリンゴを食べていた。

「リンゴ超うめーもっと食いてー」

リンゴをもっと食べるためには他の死神にもらった別のノートを人間に渡さなければならない。

新しいリンゴは人間界にしかないからだ。


長くリンゴを食べるためには夜神月のような賢い人間でないといけない。

アホに渡すとすぐに逮捕されてしまう。

リュークは適任者を探していた。


(この間、Cキラ事件が起きる)


2017年。

田中実は3年連続で知能テスト日本一だった。

学業のやる気はないが、クイズやIQテストの実力は抜群。

リュークが選んだのは田中実だった。

デスノートを渡された田中実は、殺人ノートをどう使うか考えた。

キラがいた時代と現代では世の中が全く違う。

今は街中監視カメラだらけだ。

電車の車両、車、バス。どこでも録画され監視されている。

サイバー犯罪への対応のレベルも上がっているので、ネットでキラのメッセージを流すのは容易ではない。

携帯の通信もチェックされてしまう。


「もし今の時代にキラが生きていたら、どうしていただろうか?」


「キラなら今の時代に合ったやり方を考えだしたに違いない」


田中実はそもそも人を殺すつもりはなかった。

自分が逮捕されることなく金だけを得るにはどうしたらいいか。


(人を殺すことでしか使えないノート...どうする...)


田中実が出した結論は、「デスノートを書かずに使うこと」であった。


殺人を行わず、デスノートを使って利益を得る方法...?

どうやって?

田中実が考えたのは、

「デスノートを公開オークションにかける計画」

であった。

初めてリュークに出会ったのは中学3年生。

そこから2年の時間を置いた。

一度ノートの所有権を放棄して、2年後に会う“約束”をしたのだ。


リュークが信頼できるパートナーであるか見極めるためか、あるいはヨツバ銀行に口座を作るためか。

それともリュークに出会ってすぐに計画を発動すると、監視カメラなどから田中実にたどり着いてしまうからなのか。

「なぜ2年の時間を置いたか」は読み切り内では解説されていないため、読者が読み取るしかない。


初めてリュークに出会ってから2年後。

約束通りリュークは地下から現れた。

そして計画を動かし始める。


さくらテレビを通じて、デスノートをオークションにかけた。

自分が動くとリュークに憑かれていることが他の人間にバレてしまうので、リュークだけを地下から移動させて、さくらテレビの生放送中に画用紙を表示させる。


「遠隔で人を殺せるキラの力を競りにかけ売ります。

買いたい方はTwitterに#kiranochikara でアメリカ$で金額を提示してください」


さくらテレビを見た日本の警察や現在のL、すなわちニアは動き出す。

「買った相手に殺人ノートを手放す瞬間に捕らえる」

「オークション成立後に金を得た者から割り出す」

などを考えてはいるが、ニアの表情は冴えない。


「犯人が割り出せないよう綿密な計画ができあがってる気がしてなりません」

と、ニアは言う。

手強い相手だと気づいていたのだ。


デスノートのオークションは次第に加熱。

中国とアメリカの競り合いになり、トランプ大統領は1000兆円でデスノートを落札することに決めた。


現代のキラである田中実はどうやって金を受け取るのか?


キラからトランプへの指示はこうだった。

「落札代金は日本のヨツバ銀行に普通口座を持ち

東京都内に戸籍のある2019年5月24日までで60歳以下の人に等分し、

同年5月27日までに振り込んでください」


これは東京都の60歳以下の人に「一人10億」が転がり込んでくる計算となる。


何十万人はいるであろう口座の持ち主から捜し出すのは不可能。

入金確認後は田中実はデスノートの所有権を手放し、記憶すらなくなってしまう。


ニアはそんな状況を冷静に分析し、こう言った。

「もうaキラを捜し出すのは不可能と言っていい」

「Lになってから初めて負けました」


しかしその後、アメリカにノートが渡る直前に、リュークは死神大王から呼び出しをくらう。

死神大王によって追加されたルールのために、田中実に衝撃の結末が訪れる───


実際の話はぜひ、ジャンプスクエアで読んでみてください。

小畑健先生の圧巻の画力です。かつてのデスノート時代よりもさらに進化してました。


【その他の面白い漫画の紹介】『鬼滅の刃』は絵が下手でもストーリーが抜群なら超絶面白いことを証明した奇跡の作品である


ジャンプSQ.(ジャンプスクエア) 2020年 03 月号 [雑誌]

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  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2020/02/04
  • メディア: 雑誌

感想

「今のスマホ時代にデスノートが存在していたらどうなっていただろう」とは、多くの人が想像したと思う。

かつてLは

「私は自分の写真をどこにも残していません」

と語っていたが、現代では誰もがスマホを持ち歩き、そこら中で写真や動画を撮りまくっている時代だ。

全ての映像から完璧に自分の姿を削除するのは難しい。

そこら中でYouTuberが動画を撮っているのだ。

他人のスマホに映り込むのを避けたいのであれば、もはや外を歩くことなどできないだろう。


Lが出歩けないのと同じように、監視カメラだらけの今の時代では、キラがノートを持って外を歩くことはできない。

キラはさくらテレビを使って世論をコントロールしていたが、現代の世論操作の舞台はツイッターになるだろうか。


夜神月が活躍していた頃、我々が使っていたインターネットはmixiくらいだった。

今ではツイッター、インスタ、Facebookで誰もが好きなように自分の思想を発信できる。

反原発やヴィーガン・フェミニストのような、「今の世の中に不満を持つ活動家」が「キラ礼賛運動」を始めるかもしれない。

実態のわからないネット上の教祖が祭り立てられるインターネットだ。

現代にキラが現れたらどんなカリスマになるかわからない。


もしデスノートが本当に復活したならば、こんな風に並べ立てた僕のちっぽけな想像を越えて、大場つぐみ&小畑健が現代を風刺するようなすごい作品を作り上げてくれるのだろう。

今回の読み切りで60歳未満の「若者だけ」にお金を配るのも、超高齢化社会に対する皮肉のようにも見える。


大場つぐみは次の作品でもきっと、僕たちの想像を越えてくれる。


Cキラ編(今回の読切ではない方)で際立ったのは小畑健先生の画力だ。

バクマンではかなり絵が丸くなって、可愛らしい画風に変えてきたが、今回のデスノートではまたシリアスな画風に戻してきた。

昔のデスノートを超えたといってもいい。

Cキラ編のタロットタワーの見開きは圧巻だった。
凄まじい書き込みだ。


小畑健&大場つぐみのコンビで描く漫画は本当に面白い。
バクマンも最高なので、興味がある人は読んでほしい。


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ジャンプには面白い漫画がたくさんあるので、できる限り紹介していきたい。

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