『鬼滅の刃』は絵が下手でもストーリーが抜群なら超絶面白いことを証明した奇跡の作品である



鬼滅の刃がめちゃくちゃ面白い。
僕はずっと前から鬼滅の刃の存在には気付いていた。

気付いていながら無視していたのだ。

「絵が下手だ」

という理由だけで、この漫画は面白くないだろうと決めつけていた自分を右ストレートでぶん殴りたい。

『鬼滅の刃』が面白すぎる。

こんなに面白い漫画を3年も読み飛ばしていたなんて、僕は本当にどうしようもない愚か者だ。

壊れるほど漫画を愛しているのに、絶望的に見る目がない。
溢れるほどの愛情を注ぎまくってるのにダメ男に振り回されるメンヘラみたいだ。

余談ながら3ヶ月前に紹介した漫画も不発に終わりそうで、哀しすぎる。
絵が上手でもストーリーが面白くなければ漫画はつまらないということだ。
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たしかに『鬼滅の刃』の絵は下手である。

鬼滅の刃の絵が下手さについては、この辺の絵を見れば異論の余地はないだろう。

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鬼滅の刃 16巻より

2019年7月時点での主人公の絵がこれである。

「アレッ...あらっ...その絵はなんだ!」と、漫画通の皆さんが見たらツッコミたくなるような、ふざけた絵でしょう?


ふざけてないんだな、これが。


全然ふざけてない。そして話がめちゃくちゃ面白い。
こんなにストーリーが面白いなら、絵なんて全然関係ない。

鬼滅の刃はジャンプの歴史に残る超名作である。

そういえば絵の下手さでいうと絶対に忘れてはいけないのが『カイジ』という超名作漫画だ。
主人公のカイジを見てほしい。

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なんだその三角フラスコみたいな鼻は。
なんだその鉛筆みたいに角張ったアゴは。

たった一コマでもツッコミどころが満載で、一見するとクソ漫画に見えるかもしれない。

でも面白いんだな、これが。
話が抜群に面白いですわ。


「ストーリーが面白ければ漫画は面白い」と『カイジ』で学んでいたはずなのに、僕はまた同じミスを犯してしまった。


何度でも繰り返すが、鬼滅の刃は面白い。

何が面白いのか?
なんでこんなに面白いのか?

Kindleで全巻大人買いした僕が、鬼滅の刃の面白さはどこにあるのかを考えてみた。

まずは簡単にストーリーを振り返ってみよう。

鬼滅の刃のストーリー

鬼滅の刃のストーリーを説明する上で重要なのが、「鬼」の存在である。

鬼が何者なのかがわかりやすいのは1巻第4話の次のコマだろう。

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鬼。主食・人間。人間を殺して喰べる。
太陽の光か特別な刀で首を切り落とさない限り殺せない。

そんな鬼を殲滅するために闘っているのが、政府非公認の組織である「鬼殺隊」だ。
主人公の竈門炭治郎も鬼殺隊の一員である。

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人間を鬼に変えられる血を持つ鬼はこの世にただ一体だけだ。
平安時代に一番始めに鬼になった者。その鬼の名は鬼舞辻無惨

鬼舞辻無惨を消滅させれば、全ての鬼は消える。
つまり鬼殺隊の最終的な目標は、鬼舞辻無惨を始末することだ。

主人公の竈門炭治郎は大切な家族を鬼に殺された。
鬼殺隊の隊員のほとんどは、鬼に家族を奪われた人達だ。

「鬼を絶対に許さない」

その想いは全隊員が共通で持つ強い憎しみでもある。

2019年夏、鬼滅の刃は最高の盛り上がりを見せている。
鬼舞辻無惨との決戦が迫っているからだ。

数多くいる鬼の中でも、戦闘力が高い6体の鬼は「上弦の鬼」と呼ばれる。
全部で6体いる上弦の鬼のうち、4体を倒すことができた。
これまで倒すことができなかった上弦の鬼を次々に撃破しているのだ。

話はクライマックスに向けて突き進んでいる。

あとは最強の鬼である「上弦の壱」を倒せば、鬼舞辻無惨にたどり着ける。
その上弦の壱・黒死牟と鬼殺隊最強の男・悲鳴嶼行冥の戦闘が始まったのがつい最近のことだ。

鬼滅の刃は今、少年ジャンプで最高の盛り上がりを見せている。

ドラゴンボールで言うとフリーザ戦、幽遊白書で言うと戸愚呂戦、NARUTOで言うとペイン戦だろうか。ダイの大冒険だとハドラーとの決闘といったところだろう。

みんな乗り遅れるなよこのビッグウェーブに。

今ならまだ追いつける。乗ってこいよ、この決戦に。

鬼滅の刃、読もう。
めちゃくちゃに面白いから。

鬼滅の刃 1 (ジャンプコミックス)

鬼滅の刃 1 (ジャンプコミックス)


しかし今の展開が面白すぎるがゆえに、少し寂しくもある。
1年もたたないうちに、この傑作が終わってしまう気がするからだ。

どんな冒険にも終わりはくる。
鬼舞辻無惨はどうにか倒してほしいが、鬼滅の刃をずっと読んでいたい僕としては、


いつか倒してほしいけどまだ倒されないでほしい


という複雑な思いを抱えている。

とりあえずジャンプの悪い癖で、鬼舞辻無惨を倒した後に惰性でダラダラ連載を続けるような真似はやめてほしい。『暗殺教室』みたいに綺麗に終わってほしいよね。

主人公・竈門炭治郎の魅力

どんな漫画も主人公に魅力がないと面白くない。

『鬼滅の刃』の主人公は竈門炭治郎は真っ直ぐな人だ。
嘘がつけない。間違ったことはしない。相手が上官だろうと、強い敵だろうと、自分の信念は絶対に曲げない。

僕は炭治郎に似た主人公を知っている。

ハンターハンターのゴン

だ。

真っ直ぐで、ひたむきで、正直。
一生懸命で、努力を惜しまず、困難に立ち向かい、強い心を持ち、そして何か血統に起因する才能を秘めている。


鬼と闘う炭治郎の姿にゴンを重ね、僕は嬉しくなった。

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連載を一向に再開する気配のない冨樫義博先生を一途に待っている間に、ゴンの面影を見つけた気がしたからだ。

主人公の炭治郎は初期は戦闘力のないただの炭売りだった。
しかし修行を重ね、鬼を倒すくらいの戦闘力を身に付ける。

初期の頃は上弦の鬼には全く手も足も出なかったが、後半になるとさらに修行を重ね、超サイヤ人のように覚醒した姿を見ることができる。
この「覚醒」はジャンプならではの中二病をくすぐる場面だと僕は思う。

ゴンさんといい、超サイヤ人といい、僕たちは覚醒シーンに心を踊らせてしまいがちだ。

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敵がわかりやすいのもいい。
ダイの大冒険で勇者が大魔王バーンを倒すために闘ったように、みどりのマキバオーがカスケードを倒すために走ったように、竈門炭治郎は鬼舞辻無惨を倒すために目の前の鬼を斬る。

鬼滅の刃は今までのジャンプ漫画のいいとこ取りの漫画だ。
技も多彩で面白い。

そして鬼滅の刃の良いところは何度も言うように、ストーリーである。
何が魅力なのか?

回想シーンが泣ける

世界で唯一人、人間を鬼に変えることができるのが鬼舞辻無惨である。
鬼舞辻無惨によって鬼に変えられたときに、記憶を失う鬼と失わない鬼がいる。

鬼は首を切れば死ぬのだけれど、死ぬ間際に多くの鬼は人間だった頃を思い出す。

この回想シーンがまた泣けるのだ。

鬼は鬼で、鬼になってしまった事情がある。
人間だった頃を思い出して後悔する鬼もいる。

ネタバレになるので詳細には書けないが、僕が鬼滅の刃で一番泣いたのは、ある鬼が過去を思い出し、

「俺は大切なものを守れなかった」

と懺悔するシーンだった。

吾峠呼世晴先生は、家族の愛を描くのが抜群にうまい

病気の父の薬を買うために、少年は盗みを繰り返していた。
でも父は真っ直ぐな人だったので、息子が自分のために盗みを働いていることを気に病み、自殺する。

父親が残した遺言は次のようなものだった。

「真っ当に生きろ。まだやり直せる。
俺は人様から金品を奪ってまで生き永らえたくはない。
迷惑をかけて申し訳なかった」

自分の命に代えても助けたかった父親が死に、自暴自棄になって街の人に喧嘩を売って歩いていたところ、ある拳法家にノックアウトされる。

「生まれ変われ少年」

その拳法家は心の広い男で、罪人である少年を家に連れていき、息子のように育てた。


「罪人のお前は先刻ボコボコにしてやっつけたからもう大丈夫だ!」

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拳法家の娘の看病をお願いしつつ、道場の跡継ぎにするかのように少年を育てた。

拳法家はいつも笑顔だった。

病気がちだった娘はいつしか元気になり、少年は青年へと成長していた。

ある日、拳法家が青年に言った。


「この道場、継いでくれないか?
うちの娘もお前のことが好きだと言っているし」

「......は?」


青年は自問する。


罪人の入れ墨が入っている自分の未来なんてうまく想像ができなかった。
ましてや誰かがそんな自分を好いてくれる未来なんて尚更。

もしかしたら俺は親父が言ったようにこれから、真っ当な生き方ができるのか?


人生をやり直せるかもしれないという淡い期待が収集もつかない程大きく膨らんで
この時の俺は命に代えても守りたいと思った二人が─────


───毒殺されるなど夢にも思わなかった。


その後、鬼になった青年は記憶を失い、無意味な殺戮を繰り返す。
守りたいものもいない世界で延々と。強さを求めて。


そして最後、死の間際に思い出したのがかつての妻の姿だった。


「守れなくてごめん!
大事な時傍にいなくてごめん!
約束を何ひとつ守れなかった!
許してくれ......!
俺を許してくれ......!」


亡き妻の姿を見て、自分が何者だったのかを思い出す鬼。
かつて守りたかった人達の姿を思い出し、泣き崩れる鬼。


「私たちのことを思い出してくれて良かった。
元に戻ってくれてよかった。

おかえりなさい。あなた」


記憶の中で妻に抱きしめられながら、鬼は静かに消えていった───。


* * *

上記の回想シーンは文章だけではその感動ポイントが伝わらない。
ぜひ漫画を読んでほしいのだが、

たとえるならスラムダンクで三井寿が安西先生の姿を見て、

「バスケがしたいです」

と泣き崩れたシーンだろうか。

「バスケがしたいです」で泣いた人は、間違いなく鬼滅の刃でも泣けるはずだ。

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吾峠呼世晴(ごとうげ こよはる)先生は家族の愛を描くのが抜群にうまい。
「家族の愛」という人類普遍のテーマをストーリーに惜しみなく織り交ぜて、僕たちを泣かせてくれる。
そこに痺れる憧れるってやつだ。

ちなみに上記のシーンは鬼滅の刃の涙ポイントのごく一部でしかない。
余談ながら、僕はこのシーンを文章に書き起こしながら鼻水を流して泣いた。

何度読んでも泣けるところも鬼滅の刃の素晴らしいところだ。

主人公以外のキャラも魅力的

『鬼滅の刃』で鬼と闘っている集団が鬼殺隊である。

鬼殺隊で最も強い剣士達は“柱”と呼ばれる。
この物語では、主人公の炭治郎が最初から「強い男」として描かれているわけではない。

ストーリーが進むにつれてどんどん強くなっていくが、ハンターハンターのゴンも初めの方は中堅ハンターであったように、炭治郎も“柱”に守られる存在だった。

その若者を守る“柱”の姿がいい。

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『鬼滅の刃』8巻より

漫画は主人公だけが魅力的でも面白くはならない。
スラムダンクで主人公の桜木花道だけでなく、流川楓や三井寿、あるいは敵キャラの仙道彰もが人気となったように、名作漫画には必ず主人公以外に魅力的なキャラがいる。

鬼滅の刃も他の名作と同じように、主人公以外のキャラが抜群に魅力的だ。

なぜキャラにこれほど魅力が出るのかというと、キャラクターに芯が通っているからだろう。


悪に屈しない。
正義を貫く。
弱き人を守るために闘う。
家族を大切にする。


そんな不屈の信念を、読者の心に響くセリフでそれぞれのキャラクターに喋らせてくれるから、僕は鬼滅の刃の登場人物に魅力を感じているのだと思う。


細かいところだが、鬼滅の刃はコマ割りも上手でキャラの魅せ方がうまい。
漫画では絵の巧さだけでなくコマの魅せ方も大事で、数ある漫画の中でも鬼滅の刃はコマ割りが抜群にうまい。

ハンターハンターのコマ割りは天才的だが、鬼滅の刃のコマ割りはこれまでの名作をよく研究した結果のようにも見える。
どちらにしても僕の中二心をくすぐるには十分すぎる傑作だ。

休みの日にぜひまとめて読んでみてほしい。

鬼滅の刃 16 (ジャンプコミックス)

鬼滅の刃 16 (ジャンプコミックス)

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