いつものようにネットサーフィンをしているとふと、
「俺よりも真剣に俺の人生を生きている奴はいない」
という言葉が浮かんできました。
ここでは「俺」と書きましたが、「あなた」に置き換えても同じでしょう。
自分自身よりも真剣に、自分の人生を生きている人などこの世に存在しないのです。
にも関わらず、インターネットには物知り顔で「正しい人生」を語る人がたくさんいます。
「会社を辞めるのはアホだ」
「大学は絶対に行かなければならない」
「一生懸命会社で働くことが正しい生き方だ」
「大企業に入って出世を目指せ」
インターネットに限らず、親や学校の先生、周りの友達もみんな、彼らなりの「正しい生き方像」を持っていて、その「正しい生き方像」とずれた生き方を無意識のうちに否定しがちです。
僕も同じです。
それでも進路に迷ったときは常に、「自分のことは自分が一番よくわかっている」ということを意識することが大事です。
僕が好きな小説の中で、こんな台詞があります。
「誰だって人生の初心者なんだ。
人生については誰もがアマチュアなんだよ。
人生にプロフェッショナルなんているわけがないんだ」
どんなに成功した人だって、どんなに賢い人だって、その人の人生を一度生きただけです。
再現性のある普遍的な法則なんて誰にもわからないわけです。
自分のことは自分が一番知っているのだから、自分の人生の進路は自分の頭で考えて、自分の意志で選択するべきです。
人生の選択に必要なのは「アドバイス」よりも「情報」
進路を判断する上で必要なのはアドバイスではなく客観的な情報です。
「どこの大学に行こうか迷っている」
と親に相談したら、親は「知っている範囲での有名大学」を勧めるでしょう。
特にその地方の旧帝国大学などは親世代に人気ですよね。
もちろん、親の勧めが正しい場合もあるとは思います。
なぜなら、親は子供よりもたくさんの情報を持っているからです。
進路を決める上で必要なのは「情報」です。
親が与えるべきなのは「決められた進路」ではなく「情報」だと僕は思います。
「大学を出た後の進路はこのような選択肢があるのか」
「どこの大学では何が学べるのか」
「大学ではどんな研究ができて、その結果、将来どんな未来につながっていくのか」
「今の世の中はどうなっていて、この先どうなっていくと予想できるか。それはなぜか」
僕は大学へ進む前に、このような情報を何一つ持っていませんでした。
教えてくれる人もいませんでした。
世の中にどんな職業があって、どんな仕事をしている人がいるのかも全然知りませんでした。
医者とパイロットとプロ野球選手と芸能人くらいしか知らず、あとは大きく「サラリーマン」とくくって世の中の仕事を捉えていて、大学に入った後の未来は何も知らないままで受験勉強をしていました。
情報がないということはすなわち、考える材料がないということです。
だから、未来の選択肢と今の自分の志向を突き合わせて考えることができず、なんとなく入れそうな学部を選び、なんとなく行けそうな大学に行ってしまいました。
ありとあらゆる情報を揃えることは当然不可能ですが、できるだけたくさんの情報を集め、その情報を元に、自分にとって最も魅力的な選択肢を自分の意志で選ぶのが理想だと僕は思います。
そして自分が大人の立場になったら、自分が知っている限りの情報を、できるだけ客観的に若者に与えたいなと思っています。
社会に出た後は親世代のアドバイスは全く役に立たない
TikTokが全米で月間ダウンロード数No.1 になったそうです。
Tik-Tok、全米で月間ダウンロード数No.1アプリに。人気動画は日本とはちがったタイプ?
TikTokは中国企業が開発したアプリで、アジア初のアプリがアメリカで成功するのは非常に珍しい事例だそうです。
親の世代で、TikTokの成功を予想できた人はどれくらいいたでしょうか。
少なくとも僕の父親はTikTokのことは絶対に知らないと思います。
親世代が持っている情報は基本的に古く、現代の変化の激しいビジネス環境においてそのアドバイスは全く役に立ちません。
「偉大な父親」的な人なら現代にもキャッチアップしているかもしれませんが、多くの「普通の親」のアドバイスは、彼らが全盛期だった昭和の、日本が最も輝いていた時代の思い出から発せられるものです。
さすがに価値観が古すぎでしょう。
昭和の日本人にとって会社は家のようなものであり、一度入った会社にずっと勤め上げ、定年まで働くのが標準的な人生プランだったといいます。
しかし今では2人に1人が「転職経験あり」で、転職しない人のほうが珍しいくらいになっています。
それでもちょっと前までは「大企業は未だに終身雇用が前提で、転職する人はほとんどいない」とされていましたが、少なくとも僕の周りを見る限りでは、20代〜30代は割と気軽に転職しているように見えます。
景気の後押しもありますが、若者がカジュアルに転職する流れはこれからもっと加速していくだろうと予想しています。
そんな時代において、親世代に何かアドバイスをもらっても大して役には立たないですよね。
基本的に親は保守的で、退屈で、わかりやすいレールの上を走る人生を期待するものだからです。
子供が心配だから、予想しやすい(=リスクが低いと考える)進路を望むのは当然です。
関連記事:母親は成功の敵、冒険は成功の母
とはいえ、前述したように生きた時代が違う親世代にリスクが正確に見積もれるわけもなく、やはり大事なのは自分で情報を集めて、自分で進路を決めることです。
ノートに自分の気持ちを吐き出して、自分が本心で何がしたいのかを客観視して、それを実現するための手段を自分で選ぶこと。
その選択の積み重ねが人生なんです。
関連記事:親は子供の進路に口を挟むべきなのか?あるいは子供の自主性に任せておくべきか?
あと最後に一つだけ付け加えるならば、ネットに転がってる情報は適当なものが本当に多いから、「自分の頭で考えて納得できて、筋が通っているもの」だけを信じるのが大事。
そうじゃないと、情報の沼に溺れて息ができなくなってしまうので注意が必要です。