忘年会を楽しめる人と楽しめない人の違い



12月に入り、「忘年会に行きたくない」というツイートが流れてくるようになった。

「自腹で4000〜5000円払って上司の話を聞くのはハードルが高い」と。


全員が等しく忘年会に参加したくないと考えていて、かつ参加するメリットが全くないのであれば、忘年会は自然と消滅するだろう。

それでも忘年会が残り続けるのは、

  • 忘年会をやりたい誰かがいるか
  • 忘年会のデメリット以上のメリットを期待する何者がいる
  • 惰性でやめられなくなっている

などの理由があるからだ。


ツイッターのようなSNSでは「会社の忘年会なんて行きたくねえ」という意見が主流にも見えるが、「忘年会をやりたい層」はツイッターなどやっていない可能性もある。


この記事では、忘年会をやりたい人は一体誰なのか?
そして忘年会に何らかのメリットを期待するのは何者かを考えていく。

結論は実にありきたりなものになるが、そこに至るまでに

  • その人にとっての忘年会自体の価値
  • その人にとっての時間の価値
  • その人にとってのお金の価値

はそれぞれ違うという前提で、忘年会を楽しめる人と楽しめない人の違いを考えていく。

忘年会に価値を感じるかどうか

「忘年会の価値」と書くとわかりづらいかもしれないが、「忘年会から得られるハッピーな気分」と書けばわかりやすい。

要は忘年会に参加してどれくらい良い気分になるか。あるいはどれくらい不快な気持ちになるかということだ。

忘年会の「ハッピー度」は年配社員の方が高く、若手にとってはゼロかあるいはマイナスになる傾向が強い。

しかしそんな忘年会嫌いの若手も「尊敬できるビジネスマンとの飲み会」にはお金を払って参加することもあるし、美女との合コンであれば、会費が1万円以上だとしても嬉々として参加する男もいるかもしれない。僕なら美女との合コンなら3万円払ってもいい。


若手が忘年会でハッピーになれない原因は

  • 上司の退屈な話を聞くのが苦痛である
  • 年配の方々にお酒を注いだり、気を遣って回るのが苦痛である
  • そもそも友達でもなんでもない人たちと過ごす時間が苦痛である

など色々とあるが、まとめると

「周りの人(特に上司)が面白くなく、気疲れするから」

というのが若手が忘年会に価値を感じない主たる理由であるように思える。


逆に年配側は忘年会でハッピーになっているのだろうか。

僕の個人的な経験で恐縮だが、僕が見てきた上司の中には飲み会中とても気持ちよさそうに説教する人がいた。

「仕事には哲学がなければならない」

などとドヤ顔で1時間も語り、「昔は終電帰りが当たり前だった」みたいな話を延々と語り続けていた。恍惚の表情を浮かべていた。

彼を観察していてわかったのだが、どうも若手に説教をするのは気持ちが良いらしい。

また以前の飲み会では、「偉くなるとギャグがヒットしやすくなる」という怪奇現象も起こっていた。

会社の飲み会の笑いの基準は「面白いかどうか」よりも「偉いかどうか」に左右される部分が大きい。

偉い人であれば、つまらない冗談を言ってもみんなが笑ってくれる。
若手は偉い人のクソつまらない冗談をスルーせずに、ゲラゲラと笑う。

あれは本当に不思議だった。

何が面白いかは誰もわからないが、僕たちは皆、本心から笑っていたのだ。

お笑い芸人のようにギャグが百発百中でヒットし、若手にチヤホヤされるのは気持ちが良いだろう。
ハッピーな気分になれる。

偉い人にとって、忘年会はキャバクラ以上に楽しめる条件が揃っている。
皆が自分の話をふんふん聞いてくれて、繰り出すギャグは全部ヒットし、お酒も注いでもらえる。

とはいえ、たとえ歳を取っていても、窓際で仕事もせず、日々気まずい思いで会社員生活を送っている人にとっては、忘年会は非常に不愉快な時間になるだろう。

偉くなければ誰もチヤホヤしてくれない。
面白いことを言っても笑ってくれない。

会社のギャグは中身より立場が大事なのだ。

また全ての若手社員が忘年会を不快に思っているわけでもなく、中には上司から有用なフィードバックをもらえる貴重な機会として捉えている人もいるだろう。


つまり、その人が忘年会から得られる幸福度は、その周りの人間関係によって決まるということだ。



飲み会の時間で他に何ができるか

忘年会が苦痛になったらその会社とは合ってない、という意見もある。

忘年会でハッピーになれない人はたしかに会社が合ってないのかもしれないが、中には

「飲み会は嫌いではないが、忘年会に参加する時間がもったいない」

と考える人もいるはずだ。

時間の価値は人それぞれである。

会社が終わると、あとは家に帰って寝るだけの人もいれば、デートを楽しむ人もいる。
就業後に副業に励む人もいれば、将来に向けて勉強したい人もいる。

時間の使い方は人それぞれだが、「他に何かやりたいこと」がある人にとって、惰性の飲み会で時間を浪費してしまうのは苦痛だ。

忘年会で時間を失う苦痛と忘年会で得られる幸福感を比較して、苦痛の方が大きい場合は忘年会に参加する動機づけが弱くなり、手放しでは楽しめなくなってしまう。

忘年会以外の時間をどう使っているかによって、その人にとっての忘年会の重要性は変わってくるからだ。

逆に、家に帰ると妻に小言を言われ、一人虚しく晩酌し、「なんでこんなに寂しいんだ...」と涙で枕を濡らしながら寝るような人にとっては、忘年会は「寂しさを紛らわせることができる、幸せな時間」となる。

お金がもったいない

忘年会の費用が会社負担ではない人もたくさんいる。

1回の飲み会で5000円取られるのを「苦痛」と感じるか「良い時間だった」と感じるかは、忘年会でどれだけハッピーになれるかによるものが大きい。

時間の価値が人それぞれであるように、お金の価値も人それぞれだろう。

来月の家賃を心配している人にとって、忘年会に支払う5000円は死活問題だ。
偉い人だとしても、忘年会で毎回数万円の出費を強制させられるのであれば、忘年会で得られる幸福度に比べて割に合わない、と感じるかもしれない。

お金に余裕がある人にとっては費用の問題というより、その飲み会が有意義かどうか、あるいは会社の飲み会の優先順位が高いかどうかの問題となる。

忘年会を楽しめる人・楽しめない人

まとめに入ろう。
忘年会を楽しめるのは以下のような人となる。

  • 周りの人たちに魅力があって
  • 気疲れもせず
  • プライベートで他に重要な用事がなく
  • 飲み会の費用が家計上の負担にならない


逆に忘年会を楽しめないのは以下のような人で、なんだか当たり前の結論となった。

  • 周りの人たちが退屈で
  • いちいち周りに気遣わなければならず
  • プライベートで重要な用事があり
  • 飲み会代を払うのが辛い


これらを踏まえて職場の飲み会を快適にしたい場合、ベテランの方々は

  • 若手に気を使わせない(偉そうにしない、自分のことは自分でやる)
  • 自分語りに終始しない(人は自分が話せた方が楽しい)
  • 飲み会の費用はできれば経費にする

に加えて、自分自身が若手の手本となるように仕事に励まなければならない。


逆に若手で「周囲の人が全く尊敬できない。会社の飲み会の時間が無駄過ぎて辛い」と悩みがある人は、さっさと転職した方がいい。

結局、周りのレベルが自分のレベルになるからだ。

転職サイトに登録しておくと、エージェントが良い求人を探してきてくれる。
自分が転職活動したときもとても助けられた。



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忘年会に参加するメリットが小さくなってきている

「忘年会に参加するのが嫌だ」という声はSNSによって可視化されただけで、「忘年会が嫌な人」は以前から一定数以上いただろう。
しかし、以前の日本企業には忘年会に参加するメリットが今よりも大きかった。

経済が右肩上がりで伸び、会社の規模は年々拡大し、終身雇用・年功序列を前提としている場合、自分のキャリアは社内での人間関係によって大きく左右される。

飲みの場をきっかけに仕事での円滑なコミュニケーションにつなげるのも良い。

社内で人脈を作り、面白くやりがいのある仕事を回してもらうのもいい。

「ずっと同じ会社で働き続けること」を前提とした場合、飲み会は「自身の出世の期待値が上がる」という明確なリターンが期待できる。

明確なリターンが期待できるならば、不満も薄れるだろう。

忘年会は未来への投資だ。


しかし今は3人に1人が転職する時代である。

また日本経済も収縮していくことがわかりきっており、「今の会社に一生勤めよう」と考える人は昭和世代に比べて格段に少ないに違いない。
そういう人にとって、時間もかかり、お金もかかり、それでいて退屈な話を延々と聞かされる忘年会はメリットがない。

社内の人脈や周囲の人とのコミュニケーションは今でも重要ではあるが、一生を左右する問題ではなくなった。
「一生一社で働くのが当たり前」と言われた時代に生きた人にとっては、面倒な人間関係から逃れる手段はほぼなかったのだが、今ならさっさと転職すればいいのだから。



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忘年会のみならず、飲み会は全般的に、アルコールを潤滑油にして周囲と打ち解ける良い機会となる。
とはいえ「周囲と良い関係を築く重要性」が以前に比べてやや小さくなってきている感は否めない。

そんな時代背景もあり、「忘年会、参加しないっすー」みたいな意思表明が徐々に許容される世の中に......なるまでにはまだ時間がかかるかな。

みんなが参加している中で一人だけ不参加にすると悪目立ちしてしまうからね。