A君の「あなたのことしか見えない」と、
B君の「あなたのことしか見えない」は違うんだよ
あなたのことしか見えない となること自体がいけないんじゃなくて、その気持ちの伝え方とか距離の詰め方が問題なんだと思う
— 原田 (@harada_dara)
以前、原田さんのツイートへの返しとして、こんなコメントをした。
RTは久しぶりの原田氏。一理ある。
が、俺の実感としては「気持ちの伝え方と距離の詰め方」よりも、
「尊敬できない相手」が「あなたしか見えない」状態で迫ってくると、女の子の「キモいスイッチ」が入るように思う。
逆に「尊敬できる人」が「あなたしか見えない」だとお互い幸せになりそう。
— ヒデヨシ (@np_hideyoshi) 2015, 7月 21
「尊敬できない相手」
という非常に曖昧な言い回しをしたのには理由がある。
女のキモいスイッチの基準自体が曖昧だからだ。
日本で最も有名な恋愛マニュアルである「恋愛工学」では
「非モテフルコミットはいけないこと」
とされている。
非モテフルコミットとは、彼女ができて、彼女に夢中になり、その子しか見えない状態のことである。
わかりやすい特徴は、周りに彼女の話をしまくったり、仕事が手につかなくなったりすることだ。
パワプロでいう「恋の病」で、脳が恋愛に支配されてしまっている。
彼女に夢中になりすぎて”彼女しか見えない”状態になったとき、(一途に付き合ってるにも関わらず)彼女に邪険にされてしまい、最終的に惨めに振られてしまう、というのがお決まりのパターンとされている。
そして、この非モテフルコミットの対策は
「他の女の子にもアプローチして、執着を分散すること」
と言われている。
しかし、この「非モテフルコミット」について、ずっと疑問に思っていたことがある。
世の中には、一途に恋愛して、一途に付き合って、一途に結婚している人が山ほどいるということだ。
むしろ、そっちの方が多数派だろう。
中にはすごく綺麗な彼女と一途に付き合い、結婚した友達もいる。
その友達が色んな女に手を出して執着を分散させていたとは思えない。
婚活サイトですげえ美人を捕まえて結婚した口下手な友人を見て思ったこと。
「一人の女にコミットすると→惨めに振られる」という理論は正しそうに見えて、実は正しくない。
世の中の多数の人が反例として存在するからだ。
反例がたくさんあるとはいえ、自分の経験として、以下の記事のようなことも起こった。
一度も浮気せずに誠実に付き合った子には無様に振られ、浮気してフラフラしながら付き合った子には大切にされた。
何が原因だったんだろうか?
すごく雑な言い方をすると、女と付き合う上で最もいけないことは「ナメられる」ことだ。
「ナメられる」とは、「甘く見られる」とか「軽んじられる」と同意である。
「敬意を持って接する」と真逆だ。
今までの経験を振り返ると「ナメられる」ときの思考回路はものすごく似通っている。
俺の人生を振り返り、彼女にナメられた行動を一覧にしてみた。
「こうなったら終わり」という悪魔のリストだ。
面倒になったら読み飛ばして構わない。
俺も途中で何を書いているのかわからなくなった────
- 彼女の言うことを何でも聞く
- 彼女のドタキャンも笑顔で許す
- 彼女が「ベッドを広く使いたいから床で寝て」と言ったら素直に床で寝る
- 彼女のメールが返ってこないと不安になって一日に何度も携帯を見返す
- 彼女のために授業のノートを取ってあげる。彼女は寝ている
- いつでも彼女のためにご飯を奢る。Giveしかしていない
- なぜか彼女に突然飲み会に呼び出され、彼女の友達の分もお金を払う
- 彼女の気まぐれな行動・発言を全て肯定して、自分の意見は言わない
- 彼女のメンヘラな行動・発言を全て肯定して、自分の意見は言わない
- 予定を全て彼女に合わせる
- 予定の優先順位を仕事よりも友達よりも彼女に置く
- 彼女に言いたいことが言えない
- 毎回こっちから送るメールが暇人かと思えるくらいやたら長い
- 相手から返信がなくても何度もメールを送り付ける
- 自分でも薄々キモいなと思いつつも、妙に優しい口調で接する
- 相手のことを考えて落ち着きなく、不安になる
- こっちばかりプレゼントしている
- 自分に主体性がない
- 社会的地位・学校での序列(中学・高校まで)が彼女より下
- 自分が主たる活動(仕事・部活・受験生なら勉強)で情けない状態になっている
- 彼女がいないとダメ状態になっていて、それが彼女にもバレている
- 彼女の前で傷ついて泣く(泣き落としにかかる)
- 変なことを言ってるのに、「お前は間違っている」と言えない
- 普段から嫌われることを恐れて軽くディスる(イジる)ことすらできない
- 「優しい彼氏」と「情けない彼氏」の境界線がわかってない
- 主導権が常に彼女にある
- 彼女とやりたくてやりたくて仕方なくて、そのことばかり考えている
- 彼女のことをやたら友達に自慢してしまう(承認欲求を彼女によって満たしている)
- 自分は彼女のために色々尽くしても、彼女は自分のために何かをしてくれていないことに薄々感づいている
- 彼氏がいるにも関わらず、何の迷いもなく他の男と遊びに行く。それに対して文句が言えない
- 彼女が飲み会帰りに「迎えに来て」とか言ってきたら、仕事で疲れてても素直に何も言わずに迎えに行く
- 彼女の愚痴を延々と聞く
- 付き合ってるのに、話すのは彼女ばかり
- 自分の意志、夢をちゃんと語らず、彼女を中心に将来を考えてしまう
- エスカレートするド素人と言わんばかりに、彼女のワガママがエスカレートしていく
- 自分よりも彼女の方がメールの返信が圧倒的に遅いし、適当。それに対して何も言えない
- 適当な連絡されても怒れない
- 言いたいことも言えないこんな世の中じゃPOISON
- 俺は俺をだますことなく生きてゆく OH OH
ざっとこんな感じだ。
上のリストは、俺の失敗の結晶とも言える。
大好きな彼女ができたとき、自分が上に挙げたような行動を取っていないかのチェックリストとして使ってほしい。
女のスイッチは「搾取」→「キモい」の順に押される。
「男がなんでも言うことを聞く」
↓
「こいつは、なんでも聞いてくれる男なんだな」と判断する
↓
「搾取スイッチ」が入る→搾取されてヘラヘラしている主体性のない男を見て「キモいスイッチ」が入る
という流れだ。
残念なことに、「キモいスイッチ」が入ってしまった女に対しては、どんなに誠意を尽くしても全く意味がない。
女は、「キモい」相手のことは、ゴミクズのようにしか考えておらず、傷つけようが何しようが、何とも思わなくなるからだ。
泣こうとわめこうと、誠意を尽くそうと愛してると言おうと、全部「キモッ」となる。
「キモいスイッチ」が入ってからの逆転はほぼ不可能で、唯一可能性があるとしたら、「搾取」から「キモい」になる前に「こっちから突然別れを告げる」ことだ。
別れを告げる事でやっと、関係はイーブンになれる。
対等になったことで、彼女の「こんな素敵な人と離れたらヤバイ」という危機感を呼び起こすことができたら儲けものだ。
一度「キモいスイッチ」が入ったら、女の意識は
「いかに自分が悪者にならずにフェードアウトするか」
に移っていく。
色んな言い訳を探し始める。
仕事が忙しいから。
あなたの向上心が見られないから。
将来を考えられないから。
行儀が悪いから。
他に気になる人ができたから。
あの時のあの行動が嫌だったから。
etc...
色々言っても、結局は「キモいから」の一言を言い換えただけだ。
「触れられたくないから」という意味でもある。
女は言い訳を後付けして、なぜかそれが本当の理由だと思い込むので、いちいち真に受ける必要はない。
別れの言い訳の99%は聞こえのいい後付けと思っていい。
相手に敬意を持って接している女に「搾取スイッチ」は入らない。
逆に言うと、敬意を持てない行動をしなければいいということだ。
その点、サウザーさんが的確な表現で、男はどうあるべきかを書いてくれている。
女は本当に誠実な男が好きなのだろうか?
難しい問題である。しかし、これだけは僕にも断言できるのだが、女は卑屈で怯懦な男が大嫌い、と言う事だ。誠実さは、それと混同され易い。
(略)
恋愛工学的アプローチは、女の子たちが今なお太古の昔にライオンやストーカー男から追われた記憶に怯えている事を教えてくれた。
ならば男は、女の子をライオンからお守りしなければならん。筋トレして、肉を食って、精神を鍛え、頼れる男にならねばならん。心身ともに屈強の男になって初めて、優しさと誠実さは意味を持つ。
「お前を抱きたい」と言うセリフもサマになる。軟弱な男が言う愛だの優しさだのは、しょせん自分も女も際限なく甘やかすばかりの逃げに過ぎず、女を不安にし、結局、不幸にする。
サウザーさんが3年前に書いたアマゾンレビュー。
— ヒデヨシ (@cook_hideyoshi) 2018年4月17日
プリントアウトして何度も読み返したくなるくらいの名文だから、みんな時間があるときに読んでみてほしい。https://t.co/sBQGslWyly pic.twitter.com/6ObETdXEd2
優しければいいと言うものではないのである。
執着の分散は対症療法にはなるけれど、結局本当にコミットしたいときは、自分自身が強く、たのもしくあらねばならない。
たのもしい自己とは何か?
司馬遼太郎先生が、小学生向けに書いた文章が、「たのもしさ」とは何かを教えてくれる。
何度読んでも身に染みる文章なので、ぜひ読んでみてほしい。
21世紀に生きる君たちへ(司馬遼太郎)
鎌倉時代の武士たちは、「たのもしさ」ということを、大切にしてきた。
人間は、いつの時代でもたのもしい人格をもたねばならない。
男女とも、たのもしくない人格に魅力を感じないのである。
もういちど繰り返そう。
さきに私は自己を確立せよ、と言った。
自分には厳しく、あいてにはやさしく、とも言った。
それらを訓練せよ、とも言った。
それらを訓練することで、自己が確立されていく。
そして、”たのもしい君たち”になっていく。
以上のことは、いつの時代になっても、人間が生きていくうえで、欠かすことができない心がまえというものである。
君たち。君たちはつねに晴れ上がった空のように、たかだかとした心を持たねばならない。
同時に、ずっしりとたくましい足どりで、大地をふみしめつつ歩かねばならない。
私は、君たちの心の中の最も美しいものを見続けながら、以上のことを書いた。
書き終わって、君たちの未来が、真夏の太陽のようにかがやいているように感じた。
http://www.midorii-clinic.jp/images/index/season110905_12.pdf
執着の分散は、非モテフルコミットの対症療法として使われるが、執着を分散させることだけが答えではない。
「強い自己を確立すること」が答えだと俺は思う。
夢中になれること(できれば仕事)を持つこと。
相手の人生を生きず、自分の人生を生きること。
自分の人生の優先順位の最上位に恋愛を置かないこと。
真摯に努力すること。その努力は彼女のためではなく、自分の夢のためであること。
...色々と書いたけど、各自が皆、心の中に持っている「カッコイイ自分」を明確にして、それをまっすぐに追いかけるのがいいはずだ。
<他の本を参考にするなら>
- 作者: 藤沢数希
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2015/06/24
- メディア: 単行本
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主人公のワタナベは彼女に一途に尽くした挙句、最後は30万もするバッグを買わされ惨めに振られるところから物語は始まります。
掃き溜めのような日々を生きるワタナベが、ふとしたきっかけで恋愛工学に出会い、次々と女を落とすマシーンのような男に変化を遂げ、そして最後に・・・。
という小説です。
恋愛って何?
なんで一途に尽くしても報われないの?
なんでいけ好かないチャラい男があんなにモテるの?
俺のほうが絶対に幸せにできるのに・・・!
そんな風に思ったことがある人は多いかもしれません。
恋愛工学は、フワッとしていた恋愛感情の仕組みについて、多数の事例を元に客観的に考察したものです。先人の涙の結晶ともいえます。
恋愛工学が絶対の答えではありませんが、今後の恋愛の参考にはなると思います。
ある人にはバイブルとして、ある人には反面教師として。
「搾取スイッチ」や「キモいスイッチ」に身に覚えがある人は、小説を読むことで何か気付きがあるかもしれません。